刺客
前回のあらすじ:任務無事達成?
夏 それは蝉時雨
夏 それは入道雲
夏 それは風鈴の音
夏 それは祭り囃子
___のはずだ そう、決して
刀を持った女子が駆けて来て良い季節ではない!
〜刺客〜
女子はこの季節に似合っていない、紺色の少し模様の入ったラバースーツを着ている。
きっちりとハマるように、金属のようなもので作られた分厚い首輪をしている
深い紺色の髪をたなびかせる。俺に向かってくる。
走ってくる。襲いかからんとする。
眼の前の刺客は既に左手の親指を鍔にかけている。
そして腰に携えられた深く黒い鞘から、鈍く水色に光る刀身が姿を見せる。
刀は、抜かれた。刃はその全貌を見せる。
刃は白く、それ以外の部位が水色になっている。
女子はとの間合いは、既に10mをきっている。
「蒼海薔薇 渚だ、御命頂戴する」
そう呟くように目の前の渚と名乗った女子は、刀を両手で振り上げる。
[蒼海薔薇!?蒼海薔薇家の令嬢か!?まずい逃げろミイラ!]
既に、相手の間合いに入られてしまった。
「覚悟」
刃が、襲いかかる。
俺は反射的に体を右に乗り出し、転げながら攻撃を躱した。
急いで俺は体制を立て直し、次の攻撃に構える。
相手の右肩から刀身は斜めに斬りかかる。それをすんでで後ろに避ける。
下げられた切先は弧を描き俺の右脇腹を殴打した。
「ッグ!?」
「安心しろ、模擬刀だ」
刃は猛攻を続ける。
右手、左肘、腰、右膝と順に切りつけてくる。
刃は止まることを知らず、ただ的確に俺を狙う。
なんとかこの間合いから抜け出せなければ!
俺は急いで分身を2体出し、後ろ飛びをして距離を空ける。
[ミイラ!大丈夫か!]
「大丈夫に見えるか!?」
[急いでそこに俺様が行く!それまで耐えろ!]
ピジョン越しにBの声が聞こえる。
それと同時に声が遠ざかっていって、扉が力強く閉められた音がした。
「誰と話しているかは知らないけど、厄介だね」
2体の分身は溶け出している。どうやら俺の意思関係なしにダメージを負いすぎると溶けてしまうらしい。
なんて戦闘スキルだ。仮にも俺が電話をしていたからと言っても2対1だぞ?
ずっと見ていたが、刀一本で防御も攻撃もこなしていた。
「話しは、終わったか」
渚は中段の構えをとる。
そのまま一歩、また一歩と間合いを詰めてくる。
とんでもない威圧感が、肌にひしひしと伝わってくる。
「待ってくれててどうもありがとうな、騎士道精神ってやつか?」
「君にも説いてやろうか?極悪人でも変われるかもな」
「極悪人とは聞き捨てならないね。俺と君は初めましてのはずなんだけど」
「確かに初めましてだな。今までに君みたいな人間と会ってこなくて良かった」
「なんでそんなに俺のことを嫌っているのかいまいちわかんないんだけど……誰かに俺のことを聞いたのかな?」
「依頼されたんだ。その時に君のことを聞いて」
依頼?待てそれに俺のことをきいただって!?
「待て!?それは俺のことを、過去について知ってるってことだよな!?」
「…? そうだが」
「過去の俺は、どんな感じだったんだ!何をしていた!?」
「なんだ急に…いや、そこまで言うなら教えてやろう」
「君はあの組織に、【G.D.】に所属していた。そうだろ?白井捌守」
どうもこんにちは作者の華街です。
いや〜、え、誰?
蒼海薔薇渚とか言う自分の名前書くだけで手こずりそうな人も出てきたし、それに、白井捌守?だれぇ?
だれだれほんとに誰?作者である僕ですらわかんないんだけど。
……まあそんなことは無いんですけどな。
先に行っておくと、この話でめっちゃ物語進みました。
ミイラと捌守との関係は?蒼海薔薇って一体何?
楽しみにしておいてください!
それでは次の話で。華街でした〜