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RAT DANCE  作者: 華街
廃夢篇
11/22

不思議なマボロシ

前回のあらすじ:青い羽を拾った

〜不思議なマボロシ〜


 古びた扉に手をかけ、一思いに開く。

 そこには、壊れた家具が横倒しになっている玄関だった。

 腐臭は感じないが、それでも嫌な気分になる。

 嫌悪感だ ただ嫌悪感を感じた。

 

[ミイラ まずは玄関に『奇妙な置物』があるか調べろ]


 リーダーの声でフッと我に帰る。

 そうだ、今は任務中だ。

 横倒しになった靴ばこの中を見たり、床に頬をつけてくまなく調べた。

 どこを探しても『奇妙な置物』はなかった。

 それどころか、あるのは壊れた家具だけで、それ以外の小物も見つからなかった。


「見た感じ どこにもないよ」


 リーダーにそう言って返答を待つ。


[わかった じゃあとりあえず玄関の全体を撮影して、その後次の部屋に行ってみてくれ]


 リーダーのいう通りにして、次は玄関から進んで右の部屋を見てみる。

 扉を開くと、そこは洗面所だった。その奥はおそらく風呂場だろう。

 洗面所には洗濯機が置いてある。これにもこけが生えており、若干気分が悪くなった。

 リーダーからの指示で、次は風呂場と思われるドアを開ける。

 そこにはバスタブやシャワー、蛇口などが置いてあった。

 そしてそのバスタブには

 血溜まりができていた


「ッッッッ!!」


 覚悟はしていたが、いざ目の前に現れると心に来るものがあった。


[ミイラどうした?何かあったか?]

「はい 大丈夫です……」


 しまった…動揺で敬語になってしまった。


[おい、敬語になっているぞ

 腕立て10回!]

 

 いつ帰ってきたのか…。Bの声が聞こえた。

 だが、今は仲間の声が聞こえるだけ嬉しい。

 とりあえず俺はその血溜まりを写真に撮ろうとした


「あれ……?どうして?」


 どういうわけか、カメラにはその血溜まりは映っていなかった。


[お どうかしたか?]


 リーダーが俺の疑問の声を聞いて、俺になにかあったか問う。

 俺は、その声に返事する。


「この血溜まりがカメラに映らないんだ」

[血溜まり?私には何も見えないよ?]


 ダニエルもいつの間にか帰ってきていたらしく、俺にそう言った。

 なぜだ?俺の瞳にはこうも鮮烈に赤い水たまりが映っているのに。

 血生臭さは確かにしないが……ん?


[同じく俺にもー ミイラ大丈夫?幻覚見えてる?]


 …………


[なるほど 大体わかった]

[え?何が?]


 Bはおそらく俺と同じ結論になったのだろう。反応を聴くと、おそらくキメラ以外の全員が気づいたようだ。


[キメラ もう一回さっきのことを言ってみろ]

[え?何が?]

[違う]


 キメラはまだ気づいていないようだ。

 この小休憩を生かして俺は頭の整理、それと心の回復を試みる。


[もっと前だ]

[その時はミイラに幻覚でも見てるのって言ったよ……あ なるほど]


 キメラも気づいたようだ。


「幻覚 そうだ俺は今幻覚を見ている

 見せられている(・・・・・・・)

[そのようだなミイラ。お前は今普通ではない廃屋に足を踏み入れている]


 これらのことから俺は今廃屋の【異常】の中にいる。

 そして……その【能力】は


[[[[[「【幻覚】」]]]]]


 全員の声が一つに重なる。

 今、確信に変わる。

 

[ボタン]

[うん]


 リーダーがボタンの名前を呼んだ。

 ボタンが返事をしたのと同時に、椅子がいきむ音が2回きこえる。


[これからはボタンが【異常】の【鍵】を見つける。その間はダニエルが書記を担当する]


 俺は「わかった」と返事をした。

 とりあえず、俺は何か異変を見つけた時はカメラ越しにそのものを見ることにした。

 カメラには【幻覚】の効果が発揮されないらしく、その対策方法を俺の中で確立させた。


 それからは順調……とは言えないが何事もなかった……とも言えないな。

 誤魔化しても無駄だな。そうだ 俺がところどころで止まってしまったのだ。

 いくら幻覚と言っても見えるものは見えるのだから、それがとてもキツかったのだ。

 生首の幻覚や目の前から襲われる幻覚。首をくくった人の幻覚を見てしまった。

 この廃屋はその【幻覚】以外は何事もないただの廃屋であり、心霊現象が目の前で本当に起こることもなかった。

 あの3人組がほとんど幻覚を見なかったのは本当に奇跡だな。

 とても運が良かったのだろう。

 かくいう俺は運がとても悪いらしい。


[ミイラくん……大丈夫?]

「はい…………大丈夫です」

[また敬語になってる……]


 俺は相当喰らっていて、今もまた止まってしまっていた。

 逃げると止まるは全然違うのだ。

 そう自分に言いきかせて

 ここで止まるだけではなく逃げ出してしまったらもう終わりだ…そう思い自分を鼓舞した。


 そして、最後の、4階の部屋の前に辿り着いた。


「開けるよ」

[よろしく]


 俺は古びた扉の前にたち、そのドアのぶに手をかける。

 その扉だけドアのぶがついていた。

 手首を捻り、扉を奥に押し出す。

 奥には、窓など一つもない密閉な部屋があった。

 床には五芒星が白いチョークで引かれてある。

 それらの端には長い蝋燭が立てられていた。

 それは、なんとも……


「不気味だ」


 カメラ越しに見ても、何も変化はない。ならば、それは現実だろう。

 突如、後ろから音が響く。

 ひとつ、ふたつ、みっつ、一定のリズムで俺の方へ近づいてくる。

 誰かの足音だ。

 呼吸を整えて、ドアを見つめる。

 扉から赤い布の端が見えた。

 分身を出す。

 そこまでした後に、扉からその人物の全てが見えた。

 

「玖人、よくここまで来たな」

 

 その声はどこか平坦だった。

 目の前には、見知った人がいた。


「……リーダー?」


 そこにはリーダーがいた。

 なぜ?だって……リーダーは今執務室に


「お前一人に重荷を背負わせすぎたと思ってな、ほら行くぞ」


 リーダーが俺に近づきながら言う

 俺の一歩前で立ち止まった。

 俺はそこで今まで思っていたことを言う。



「お前は誰だ」



「…………何を言うと思えば お前、まだ幻覚を見ているのか?ほら、早く行くぞミイラ」

「違う お前はリーダーじゃない。リーダーは俺を『玖人』と呼ばない。今さら気づいたって無駄だ」


 臨戦体制に入る。


「……今更気づいて無駄なのはお前だ 玖人。お前はこの【幻覚】の世界に完全に入っている。少し手こずったが、ここでお前を捕獲できた」

 

 俺は目を見開く。そうだ、俺はカメラを見てもこの【幻覚】に気づくことはなかった。おそらくどこかの一部屋で眠っているのだろう。もしかしたら、もう命すらないのかもしれない。


「お前はこの世界から出ることも、あいつらの元に帰ることもできない」


 リーダーの姿をした何者かにそう諭される。

 だが……

 それはこいつからでた、それだけの言葉だ


「俺は逃げない 立ち止まっても、逃げ出しはしない」


 すぐさま状況確認をする。

 ここは目の前の何者かにドアを閉められ完全に密閉されている。

 おそらくこの部屋から抜け出しても、俺が現実に戻れはしないだろう。

 だが、諦めるにはまだ早い。

 一つの可能性が、俺の頭に浮かぶ

 何かを察した目の前の幻覚は、一瞬嘲笑い、そして無表情に戻る


「何をしても無駄だお前は何もできない」


 部屋の扉がなくなる。

 完全に密閉、密室の状態になる。

 いつの間にか部屋の五芒星はなくなり、世界は俺と目の前のマボロシだけになる。

 周りの世界が徐々に色が失っていく。

 部屋が拡張され完全に白い世界になった。

 無限であり何もない世界が、ただ広がる。

 

 マボロシが刀を抜く。


 呼吸を整えろ。肩の力を抜け。50分前の練習を思い出せ。

 一つ息を吐く。拳を握る。

 できるだけ平常心で、それであり熱情を忘れない。

 今、心は完璧になった。

 

「お前を倒す」

 どうも作者の華街です。

 いやー……くるよ

 次回……ついに初のバトルです。

 Fooooooooo!!!!!

 アツいよー!!

 でも動きのある描写って絶対難しいよね……がんばります!!

 期待してください!

 それでは次のお話で…華街でしたー

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