表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RAT DANCE  作者: 華街
廃夢篇
10/22

初任務

前回のあらすじ:裸を晒した

 阿鼻叫喚が落ち着いた後、分身の扱い方や消し方を俺は十分に練習した。

 どうやら分身は13体までしか出せないらしい。それより多く出そうとすると疲れすぎて出せない、と言うわけではない。分身をどれほど出そうとそこまで疲れは感じないが、上限が13体と言うだけだ。

 疲れると言えば、分身を操る方が疲れる。

 俺の分身は自動ではなく、俺が脳から指令を出して初めて動ける。

 だから、どちらかと言えば体力的ではなく頭を使いすぎて疲れるといったような感じだ。


「もう扱い方には慣れた?」


 キメラがガチ睨みをしながら俺に問う。

 __その件は本当に反省してます……

 俺はその言葉に肯定して、ついでにちょっとした謝罪を入れた。

 

 執務室にいるあの人らに俺は声をかけた。


「おう、今行くぞ!」


 Bの大きい声が聞こえた。

 その後、一拍置いて執務室から3人が出てきた。


「これつけろ」

 

 そう言いながら手を出したリーダーの手のひらには、大きい補聴器に小型のマイクが付いているようなものがポツンと置かれていた。


「これは俺がお前に指示を出しやすくする無線機だ」


 リーダーの話によれば、この小型無線機には精巧な技術が積まれているらしく、無線での通話、周囲の音をとらえられる傍聴機能、画質は荒いが小型のカメラでの録画、またリアルタイムで執務室のテレビに中継ができるらしい。

 なんでもリーダーの叔父がいいところの家系らしく、そこから盗ってきたらしい。

 さりげなく犯罪をしていたことに引いたが、その前にこんな小ささでここまで技術を詰められることに驚きを隠せなかった。


「さ、早くつけて出発するぞ」


 リーダーがそう言って俺に補聴器型無線機を渡す。

 ちなみにこの補聴器型無線機は『CRーPIGEON』と言うらしい。

 みんなは『ピジョン』と呼んでいる。


「__聞いていなかったが 準備は大丈夫か?」

「え? 練習は十分したから大丈夫だよ」


 リーダーは真剣な眼差しを俺に向ける。


「違う お前の『心』の準備の話だ

 今からミイラがするのは命に関わる任務だぞ」


 ___なんだ そのことか。

 実際、記憶を失った直後に 俺が何者かもわからないのに「『命懸けの任務』をしろ」なんて無理な話だ。情けないが、俺もこの初任務に恐怖を抱いている。

 簡単に言えば「帰れるかわからない幽霊屋敷」に単騎で挑むのだ。それも実践経験のない者に。

 浅はかだ。帰れることが奇跡に等しい。

 俺の脳は「断れ」と全身に指令を出している。

 でもそれが。その感情如きが。

 俺が逃げていい理由にはならない。


「___ああ 大丈夫だよ」


 俺は逃げない。


「完璧だ!」


〜初任務〜


 玄関でリーダー達に見送られた後、一人で廃屋(はいおく)に向かう。

 廃屋(はいおく)は徒歩で2時間ほどかかるのだが、ダニエルの【加護】で『足が速くなる加護』を受けたため、とんでもなく足が速くなった。そのおかげで30分で廃屋(はいおく)につけた。

 廃屋についた時には加護がちょうどきれた。

 ___『足が速くなる加護』ってなんだよ


 廃屋の実物を見た時の第一印象は『不穏』だった。

 その廃屋は商店街の外れにあるのだが、その商店街は賑やかだったのに対し、この廃屋は実に不穏だ。

 

[さあ、捜索を始めるぞ]


 リーダーに無線で指示され、俺は行動を始める。


 第一ステップ『周囲を撮影』


 デジタルカメラで周囲を撮影する。

 このデジタルカメラは撮影した画像を執務室にあるパソコンに自動ですぐ転送できる優れものだ。

 廃屋を外から細かく撮影する。まず全体像、そこから木の形や壁についた苔を撮影する。

 任務は大体リーダーが指示をして、ボタンが情報を整理する。それ以外の団員が1〜4人で現場に向かうというような物らしい。

 だが、今の俺は初任務ということもあり、俺以外の団員が執務室で俺の任務を見ている。

 そのため…………


[ねえミイラ そこはもういいから別のとこ行ってー]

[いや!細かいところまで撮影することが大切よ]

[ボタン オヤツいる?]


 ___ものすごくうるさい


「あの!集中できないんだけど!」

[はあ!?お前誰に向k][そうよね!うるさいよね!ほらBうるさいだってよ]


 何せBとダニエルがことごとく喧嘩するからそれで耳が痛い。


「ダニエルの怒鳴りが一番うるさい……」

[へーい言われてやんの!][ミイラくん……覚えておいてね?]


 ダニエルがくっっそ怖い。

 今じゃ廃屋にへの恐怖よりダニエルが怖い。


[二人!うるさいぞ!もういいから外で頭冷やしてこい!!]


 ついにリーダーが耐えかねて二人を怒鳴る。

 そのままキメラが二人を外に連れ出して仲裁をしに行った。

 そしていつも通りの二人が執務室に残った。

 俺は廃屋の玄関の壁にかけられた一つの札に目が止まった。

 そこには『金枝家』と書かれていた。

 

[金枝か……リーダー聞いたことある?]

[私は無いな……]


 二人に『金枝』という名字の人に面識はないらしい。

 とりあえずその札を撮影して、もう一度廃屋の全体像を見ることにした。

 すると……


「ねえ!あれって!」

[ああ話に出てたな]


 木の枝に青い鳥が1羽、とまっていた。

 俺は急いでカメラに青い鳥を撮ろうとする。

 しかし、青い鳥はどこかへ消えてしまった。


[ああ……残念]


 ボタンのしょんぼりした声が右耳から流れる。

 しかし、俺はそんなことは思ってなかった。


「なあ……これ」


 そう言って青い鳥がいた木の枝をカメラに撮る


[ああ! 羽だ!]


 青い鳥は飛び立つ時に羽を一つ落としていた。

 俺は【増殖】を駆使して木の枝の上の羽を取る。

 その青い羽をカメラで撮った後、俺のポケットにいれる。

 そこから第一ステップは何事もなく終わり、第二ステップに移行する。


[もう一度聞くが 準備は良いな?]

「___ああ 完璧だ」


 第二ステップ『捜索』


 廃屋の古びた扉に手をかける。

 自分でもわかるほど、心臓の鼓動が早くなっている。

 そんな心臓に耳を傾けないように、思い切って扉を開けた。

 どうもこんにちは筆者の華街です。

 今回はやっと任務が始まりましたね。

 青い鳥もちゃっかり登場しちゃったりしてね。

 これからの展開が気になる!どうなっちゃうんだ!?

 次回、城之内氏す

 デュエルスタンバイ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ