「ここ」にいたいから
掲載日:2023/12/30
誰になんと言われても。
「ここ」にいたい。
空っぽな家だけど。
ここが帰るべき家だから。
家族はもう皆出ていったよ。
ここにはもう住めない。
危ないからって。
でもね。
思うんだ。
「ここ」以外なんて知らないから。
「ここ」以外で生きる方法はないと思うんだ。
だからずっと
命が
つきるまで
この体が
消えるまで
「ここ」がなくなるまで、「ここ」にいる事にするよ。
ーー私達は家族だよね
ーー同じ建物の中で生活しているんだから
ーー隕石が降ってくる?
ーー逃げよう!
ーーどうして?
ーー無理だよ
病院の、誰もいなくなった廊下を見つめる。
窓に近寄ると空から赤い光が降ってくるところだった。
僕は。
皆と違って、産まれてからずっと、「ここ」にいたんだもん。
「ここ」の外の世界なんて知らないから、生きていけるわけがないよ。
だってここって治す場所で、外は治さない場所でしょ?
欠陥の多い僕はきっと生きられないよ。




