エピローグ
「ママ、もうこんな時間だよ」
そう言われて慌ててテレビをつける。
するとちょうどテレビから
インタビューの音が聞こえてきた。
◇◇◇
「今日は、先日『君と紡ぐ星座物語』で
グラムセン
まさか自分が書き溜めたものが
こんな風に賞を受賞できるとは思っていなかったので
驚いていますが、とても嬉しいです。」
「この童話は奥様が提案して纏められたんしたよね?」
「はい。妻がせっかくこれだけ話があるんだから
纏めて本にした方が良いと背中を押してくれました。
妻が支えてくれたので、こんな賞までいただけたと
心から感謝しています。」
悠星は少し照れたように話している。
「素敵な奥様ですね。
さて、私も読ませていただきましたが
キャッチコピーにあるようにハッピーエンドの作品ばかりで
気持ちが暖かくなりました。
ハッピーエンドにした理由は何かあるんでしょうか?」
「そうですね。
きっとどんな人でも幸せになる話を読んで嫌な気持ちには
ならないと思うんです。
生きていれば辛いことや悲しいこともたくさんあるので
せめて物語の中では幸せで暖かい気持ちになって欲しいんです。
ありきたりは話だなあと思われるかも知れませんが、
実はみんなそんなベタなストーリーが好きだったり
落ち着いたりする気がします。
『そして末永く幸せに暮らしました。』ってフレーズは
ベタだけど、なにより幸せなことではないかなって思っています。
大きなドラマは無くても穏やかに暮らすって
一番の幸せだとわたしは思っています。」
悠星はしっかりとした眼差しで答えている。
「それでは…」
◇◇◇
ピンポーン
テレビの音を遮りインターホンが響いた。
「あ、パパ帰ってきたね!」
ふたりの子どもたちは玄関へと走っていく。
「今ねー、パパのインタビュー見てたんだよ」
玄関を開けて嬉しそうに話す。
美生も立ち上がりそちらに向かおうとすると
テレビから「最後に一言」と言われているのが
聞こえて足を止めた。
『ハッピーエンドばかりのストーリーは
退屈に思えるかもしれません。
しかし、幸せを願う気持ちは大切です。
わたしは自分のことを理解してくれる大切な人に
出会えて人生が変わりました。
すぐ近くにいる人が自分の理解者になってくれないかも知れない。
だけど諦めないで欲しいんです。
今、人生の不条理に苦しんでいる人であっても
いつかどこかで理解してくれる人と出会えると信じて。
そしてたくさんの人が幸せに暮らしましたと言えればいいなと思います。』
そこまで聞いてテレビを消した。
「おかえりなさい、悠星」
美生は笑顔で悠星を出迎えた。
そしてこの物語もそんなベタなその言葉で終わりにしよう。
―こうして二人はちょっとした喧嘩はあっても
お互いを思いやり末永く幸せにくらしました―
fin
更新が遅い中で、最後までお付き合いいただきありがとうございました。




