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第八話 もう1人の俺

 


 アレン『吸血鬼連れてきたぞ!イカル!』


 アレンは、ミネルネを担ぎながら扉をコンコン!と叩く。

 そうするとガチャという鍵をかけたような音がしたので扉のドアノブを押す。


 イカル『以外と早かったな』

 アレン『まぁ俺たちは、最強だからな』


 イカル『そうか、じゃあさっさとその吸血姫を置いて、出ていくんだな』

 アレン『はいはい……ったく、人使い荒いぜ』


 アレンは、そう愚痴をこぼし扉の外へと出ていった。


 そうして、アレンは、自分たちの会議室に入り、置いてある椅子にもたれる。それから足を机の上に置き昼寝をすることにしたその時、


 『また、ここで昼寝するつもりですか?』と、騎士の鎧を見に纏った女性が厳格のある面持ちでそう言った。


 アレン『ん?あーラメライか何か用か?』

 ラメライ『報告に来ました』

 アレン『そんな堅苦しくなくていいって言ってるだろ?もっとゆる〜く』

 

 ラメライは、そんなアレンの言葉を無視して、報告する。


 ラメライ『住民からの…』

 アレン『また、文句か?差別の問題は、解消されたはずだろ?』

 ラメライ『えぇ、ですが。法律でそれを、認めらていても、まだ差別を続ける(やから)がいるようです』


 アレン『ふーん、で、俺たちに頼ってきたと…ったくこういう時だけ、助けを求めてくるんだな、いつまで被害者でいるつもりだよ…はぁ〜めんど』


 



  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 俺『んぁ?え?』


 ……俺は、ゆっくりと目を開けた。と、そこには暗闇と1人の人物が玉座らしきものに悠々と座っていた。


 俺『起きたか、我が身よ』


 俺『いや、誰?』


 急に偉そうな口調で言われたので、思わず、怒りの表情をして、質問してしまった。


 しかしもう1人の俺は、それを気にすることなく、質問に答える。


 俺『まぁ流石に名は、教えないとな、ジェンロウド…いや、ロウドと呼んでくれ。ちなみに俺様は、もう1人のお前だ』

 俺『ロウド?もう1人の俺?』

 俺は、困惑しながらそう呟いた。


 ロウド『まぁそんなことよりもだ、さっさと思い出せ何があったか』

 俺『何が?…あったか…たしか……あ、あ、あ、ァァ』

 ロウド『おい、いくらなんでも精神崩壊するの早すぎるぞ』

 俺『あ、』


 その後正気を、取り戻した、俺は、ただただ黙り込む。


 ロウド『いつまで黙り込むつもりだ?』

 俺『あぁ、いや、話すことないし、どうすればいいか分からないし』

 ロウド『そんなの適当でいいだろ?ほら、さっさと行け』

 俺『どこに?』


 俺が疑問を問いかけた途端、急に視界が暗くなっていく。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 俺が目覚める数時間前

 

 レリス『で、何すんの?』

 ロウド『俺様は知らん、お前が決めろ、記憶喪失ってことも考慮しろ、なるべく思い出させんようにな』

 レリス『成程…う〜ん、まぁ行く当てならあるけど』


 ライラ『行く当てって、あの騎士団たちのいる、マサライト国ではないですよね?』

 レリス『当たり前よ、誰も行きたくないでしょ。行く当てはあるのだけれど、遠いのよね』


 ロウド『まぁそのぐらいなら手伝ってやる、その目的地に近い場所に送ってやる、俺様の瞬間転移でな』


 ネルエ『おい、待てよ、今なんて?』

 ロウド『だから何度も言わせるな、俺様の瞬間転移の魔法で』

 ネルエ『な!?』


 ネルエ『じゃあなんで!なんで、ミネルネ様を助けに行かない!』


 ロウド『は?行くなら貴様が行け、そもそも、俺様は言っていたはずだぞ』

 ネルエ『何!?俺はそんな話聞いてない』

 レリエル『あら、すみませんネルエ様はずっと放心状態でしたから、言わなかったんですよ、だから私のせいではないと思います。え?私悪くないよね?』


 誰もその質問には答えなかった。


 ネルエ『……』

 ネルエは、考え込んだ後、結果的にその思考を破棄し、言葉を続けることにした。


 ネルエ『俺の能力、瞬間転換は、自分を転換させることはできない』


 そして、言葉を少し切り、また話し始める。


 ネルエ『だから、さっさと瞬間転移で…』

 ロウド『断る』

 ネルエ『俺だけでいい、お願いだ、俺を城に連れて行ってくれ』

 ロウド『断る』

 ネルエ『なんで!』


 ネルエは、全てを拒否した、ロウドに怒りをぶつける。


 それに対してロウドは、実に冷静にそして無慈悲に理由を語る。

 ロウド『なんでも何も俺様が認めないからだ、それに今行ったとて、返り討ちに合うだけだ』

 レリス『ネルエ…あんたの気持ちも分かる…でも、少し冷静になってよ。この世界に生き物がいるかぎり、戦いは続いて、そして、誰かが死ぬ。それがこの世界の摂理。もちろん。だからってそれを受け入れろとは言わないけど……』


 ロウド『()()……ねぇ…』


 ロウドは、レリスの言葉に意味ありげに反応したが誰も大して気にすることなく、会話は続く。


 ネルエ『摂理がなんだ!だからって、死んでいいわけじゃない!』


 レリス『確かにそう、でもなによりもミネルネ様が私たちを逃したのよ、あのお方の気持ちを無下にするつもり?』


 ロウド『まぁ落ちつけ』

 ネルエ『落ちつく?そんなこと!でき…』

 ロウド『貴様、冷静になれ…俺様を苛立たせるな。それに失った物ばかり見て何になる』

 ネルエ『お前みたいな、無慈悲(もの)には、わからないだろうな!』


 そのネルエの言葉が効いたかは、定かではないが、

ロウドは、『ならば』と言って、言葉は、続ける。


 ロウド『取り引きだ』

 ネルエ『取り引き?』

 ロウド『ミネルネは、まだ死んでない』

 ネルエ『!?なら今すぐに…』


 ロウド『話を聞け。お前たちの知るもう一人を救え』


 ネルエ『救う?』

 ロウド『そうだ、今、奴は精神崩壊状態にある。それをお前たちの手で回復させる』


 レリエル『そんなの精神回復の魔法をかければ…』

 ライラ『で、でも精神回復の魔法は危険だよ…マラさんの精神は壊れすぎてるし、3回使っただけでも中毒になる人もいて、毎日、精神回復の魔法をかけなきゃいけなくなる。リスクが高すぎるよ』


 レリエル『なるほど、それは危険ね!ライラ教えてくれてありがとう、ですわ!このままじゃ、マラに大変な思いをさせて、結果的に私のせいになるものね!』


 ロウド『もし、もう一人の俺様を救えばそいつがお前らを助けるだろう。この体に秘められた潜在能力は計り知れないからな、それに俺様も少しだけだが、手助けしよう』


 ネルエ『……』


 ロウド『どちらにせよ、今の俺様は不完全。固有魔法一つすら一度ぐらいしか唱えられない軟弱な体だ』


 ロウド『さて、この中にネルエ以外にミネルネを助けたいもの。お前たちの知る俺を助けたいものたちも協力してもらうぞ』




 レリス『私は問題ないよ』

 ライラ『ぼ、僕も!』

 レリエル『流石にここで、見捨てたら、私がクズということになってしまうわ。だから!私も行くわ!』

 ジノル『僕も〜』


 様々な形ではあったが、ミネルネを助けたいという気持ちは共通しているようだ。


 ロウド『そうか、ならまず、お前たちに第一の試練を与える!どこに行くか、決めろ!』


 ロウドは、そのあまりにもアホめいた発言を見下すような目でした。


 レリエル『え、あなたが決めるのではないの?』

 ロウド『生憎、今の時代のことは分からん!』

 レリス『……ならいい案があるよ』

 ロウド『ほう』


 レリス『学園はどうかしら?』

 ロウド『学園だと?』


 ロウドは、興味深そうに疑問を口にする。


 ライラ『も、もし、学園なら人外保護団体のいる…法の国サバカルの学園しか行く当てないけど…』

 ロウド『ふむ、サバカル…今でもその国は残っているのか…なら……あれを……回収できるか…』

 レリエル『いい案じゃない?きっと学園に行けば友達も増えるでしょうし』


 ロウド『待て、いじめられたらどうするのだ?』


 レリス『殴る』

 ジノル『え?いや単純すぎでしょ』


 そのあまりに唐突で単純すぎる答えにジノルは驚いてしまった。


 ロウド『なるほど』

 ジノル『え?』


 その単純な意見に賛成した単純すぎるロウドに思わず驚いてしまった。


 ロウド『よし、決まったな』

 ジノル『ハハっ…!超適当!』

 ロウド『ほう、ならば他に意見が?』


 何か、意見があるのか。と言われれば、いくら考えても思い付かないので、とりあえずジノルは、賛成することにした。


 ジノル『いや、何も』

 ロウド『そうか、ならばそれでいいな?』


 ネルエは、不満ながらも頷き、他のみんなも潔く頷く。


 ロウド『瞬間転移!!』


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして、今…


 俺『………』

 ライラ『あ、あ、目覚めたんですね!』

 俺『……』


 ライラが俺に話しかけてくるが、それを俺は、聞こうとしなかった。


 ライラ『と、とりあえずみんな呼んできます』


 そして、数分間後。

俺の所にみんなが集まってきた。


 レリス『話があるんだけど、聞いてくれるわよね?』

 俺『……』


 俺は、相変わらず喋らずに黙り込む。


 ジノル『え、えーと…多分聞いてる体で話しましょう』

 レリス『そうだね』


 そしてそこから、レリスは、今後の話しを語った。

学園に行くという話、みんなで暮らすという話などなど、様々なことを話す。


 なんでかは、分からないが俺は、その話をちゃんと聞いていた。

 

 聞きたくないはずなのに。


 そんなことを考えているうちにレリスが、話を終えた。


 レリス『てことなんだけど…』


 俺は、素直に返答した。


 俺『賛成するよ』


 自分でも驚いた。そんなのどうでもいいはずなのに…誰かに押された気がして……


 レリス『え』


 あまりにも以外だったのだろうか、レリスは思わず、目を見開き、驚愕する。


 ジノル『あ、じゃあ、そういうことで!今日は、もう寝て休めよ!』


 ジノルは、そう言って真っ先に木にもたれかかり寝る。


 ライラ『あ、じゃ、じゃあ僕も、もう寝るね!』


 ライラ、そして他のみんなも眠りに落ちていった。



 そんな中、俺は、首にかけてあるネックレスを見た。

 不思議だったそこに、彼女は、いないはずなのに……いたような気がした。


 俺『そうか、君が俺にああ言わせたのか?いや、そんなわけない』


 俺は、疲れてるんだ。と思い、


 他のみんなと同じように眠りに落ちていった。

 

次回 いざ、学園へ

できれ

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