第五話 幸せな生活
ちなみにあの後どうなったかと言うと、まぁ普通に帰って風呂に入って、特に何も起きずに寝ましたね。
で、次の日からなんですが、まず、ミネルネたちが帰ってきたらしい。
ま、そっから普通に仕事が始まりましたね。僕の最初の仕事は掃除でしたね。
ちなみに他の女性陣は、メイド服着てましたね。眼福でした。あと、おとこの娘のライラもメイド服着てました。
んで、ありとあらゆる埃を消し炭にしてやりました。
うん、すごく疲れた。
ネルエに『まだまだだなぁ!』と、笑顔で言ってきた。地味にうざかった。
んで、午後から自由時間だったので、
前に行った村…なんだっけ?えーと……
もういいや!とりあえず超絶美少女、エルノがいた村に行って…んで、いろんな話をした。
『好きな食べ物は?』とか『好きなタイプは?』とか……。
そんで、一応、俺が吸血鬼の眷属だって言うことを、話した。…え?そのこと言っていいのか?…だって?
……いや、自分でも困惑したよ…恋は、盲目。ってこのことなんだね!ついつい言っちゃったよ。
一応ミネルネたちには、そのことを伝えたんだが
ネルエに『貴様は、アホか!』と、こっぴどく叱られた。
そりゃそうだよね。本当に申し訳ございません!
ネルエたちの立場になって、考えるなら敵対してる人間を、しかも仲間が人間を連れてくるなんて裏切りに近しい行為である。
むしろ説教だけで許される方がおかしい。いや〜ほんとすいません。
そんなことを頭の中で喋っていると
『来たよ〜!』と、美しく可愛らしい声が聞こえた。
俺『あ!これは…………麗しきエルノ様の声!今向かうべし!』
そして、自分の寝室の扉を開き、玄関へと向かっていくと…突如何かにぶつかる
俺『いてて、あれ?前もこんなことあったような…』
そして俺は、ぶつかった方に視線を向ける
すると、そこには、おばさんと慌てているネルエの姿があった。
ネルエ『お、お前!今すぐに!土下座して謝れ!』
俺『へ?』
おばさん『ハハハ!別に謝んなくたっていいわよぉ!ハハハ!』
と、おばさんは、明るい笑い声と共にそう言う。
ネルエ『今日は機嫌が良かったか…』
俺『えーと、』
俺は、とりあえず土下座して謝った。
おばさん『そんな、謝んなくたっていいわよぉ!ハハハ!』
俺『あ、はい…………えーとあなた様の名前は?』
ネルエ『馬鹿者!この方の名は、ミネルネ様の母にして!サーバントリーダー!ミデルダ=ミネ様であらせられるぞ!』
もの凄い早口でネルエは、言った。
サーバントリーダーってあれだよな…えーと確か、
執事とかのリーダーだったはず。ん?ミネルネの母?
うっそだぁ!まじか…俺は、咄嗟に口を開き、『本当にすみませんでした!』と言う。
ミデルダ『ハハハ!別に気にしてないから!ほら、お友達が来てるんでしょ?早く行きなさんな!』
俺『あ、じゃあ、行ってきます!』
ネルエ『では、私も行かせてもらいます。』
ミデルダ『あぁ、優しく接するんだよ』
ネルエ『……』
ネルエは、不満げな顔で『はい…』と、答えた。
ミデルダ『…まぁ、人間を恨むのは分かるわ…でも、まだ会話もしてないのに、その子たちに強く当たるのは違うんじゃないのかい?』
ネルエ『そうは、言いますが…………』
ミデルダ『あれ?そういえば今日ってエルフの儀式は、休みなのかい?』
ネルエ『あ、』
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俺は、走る走る走り続ける。
そして、玄関へとたどり着くと、そこには、赤髪レリエルと、そして麗しきエルノ様とシゲルダとジノルがいた。
レリエル『遅かったわね?何かあったの?』
俺『いやさ、ミデルダさんにぶつかっちゃて…』
レリエル『あらそう、良かったわね。今日は、気分が良くて』
俺『ん?気分?』
レリエル『あら?私言わなかった?』
俺『いや、言ってなかったけど』
レリエル『あらそう、よかったわ!今日は、ミデルダ様の気分が良くてこれで、もし、気分が悪かったらあなた木っ端微塵だったし、私のせいになるものね!』
俺『へ?木っ端微塵?』
(いや普通に怖いんだけど)と、俺は、思った。
ジノル『あのぉ中に入っていいか?』
レリエル『えぇ、いいわよ!もしこれで入れなかったら私が木っ端微塵ですから!オホホ!』
お嬢様言葉でレリエルがそう言う。
そうするとジノルたちが屋敷に入っていく。そうすると『良く来たな!』と、階段の上に立つ、見知った何者かがそう言う。
そしてその人物が階段から飛び降りてくる。
ドーン!これぶっ壊れるんじゃねと思うぐらいのでかい音をたてたその人物は、ミネルネだった。
登場ど派手すぎだろ!と思ったが流石に口には、出さなかった。
ミネルネ『よく来たのおぅ、子供たちよ』
ジノル『よろしくお願いしま〜す!』
シゲルダ『……っす』
エルノ『今日はよろしくお願いします!可愛い服装ですね!』
ネルエ『ふん、人間のくせによく分かってるじゃないか』
エルノ『え?』
シゲルダ『なんだ?こいつはいきなり偉そうに』
ネルエ『は?おい、勘違いするなよ、貴様らは客人だから、仕方なく……』
これ以上喋らせるのはまずいと思ったのか、ミネルネがネルエを無理矢理引っ張って、俺に『案内は任せたぞ!』とだけ言って中に入っていった。
ミネルネ『では、子供たち!心ゆくまで楽しむといい』
そんでその後に食堂に行ったんだけど、うまいのなんの、ミデルダさんが作ったらしい。
ちなみに言うとミネルネ姫のお父さんは、昔、ゼイルと名乗った人間に殺されたらしい。うん、なんか暗いし、ミデルダさんは、笑って済ませてたし、
まぁその後は、普通に雑談した。
例えば……
エルノ『シゲルダやジノルには話したよねー』
シゲルダ『ん?唐突になんだ?』
エルノ『私の夢について…』
俺『夢?…その夢!俺が手伝ってあげる!』
エルノ『それでね…』
無視…ですか。
ジノル『もしかして…エルノちゃん、夢って…星を掴むとか言ってたやつ?』
エルノ『そうそう!』
シゲルダ『何?…まだ言ってたのか…絶対に無理だろ、宇宙船でも作る気か?そんな物作ってもろくなことにならないとこぐらい分かってるだろ、そもそも物理的に不可能だ』
エルノ『むぅ〜そんなことやってみないと分からないじゃん!』
俺『星を掴む…なんでそんな…』
エルノ『…?それはね…』
俺『それは?』
エルノ『綺麗だから!ただそれだけだよ!』
俺『す、すごいね』
俺は驚愕し、ジノルは笑い、シゲルダは呆れた様子でおでこに手を叩きつけた。
エルノ『皆んな、そうやって…私の夢を笑ったり、呆れたりするんだから!いいもん!いつか綺麗なあの星をこの手で掴んで……幸せになるんだ!』
エルノはそうやって手を天に掲げるとこう言った。
エルノ『皆んなを驚かせてあげるんだから!』
俺『本当に…綺麗だからって理由なんだ……』
ジノル『エルノちゃんのことだから本気なんだろうね!ハハっ…!』
俺は不思議とそんなエルノに視線を釘付けにされていたが、どうやらどんどんと人が集まってきたようだ。
エルノ『やっぱり大人の恋愛って…』
レリス『まぁ、私は、生まれてこの方大人の恋愛なんてしたことないけどね!』
ナンジェル『まぁいつもレリエル様たちにかまっておられますからな、たまには、大人の恋愛。をしてみるのは、如何ですかな?』
レリエル『そうよ!ナンジェルの言う通りよレリス!いい加減私たちをからかうのは、やめて、大人の恋愛とやらをやればいいじゃない!』
今までに見たことないほどの感情を爆破させ、そう言う。
レリス『そう言ってもなぁ…私はかわいいのしか興味ないし………』
俺『ん?いつも何されてんだ?レリエル』
レリエル『そんなの数え出したらきりがないわ!』
一番最初に出会った時なんて…
レリス『あら、あなたたちが?』
ライラ『は、はい、そうです!』
レリエル『よろしくお願いしますね!』
そうすると、途端にレリスが近寄り、ライラとレリエルを抱きしめる。
ライラ『え、え?』
レリエル『ちょっ、ちょっと急に何よ!』
レリス『いや〜あんたたち、かわいいからついつい…』
・・・・・・
俺『出会って初対面でか、もしかして変態?』
シゲルダは、思った。お前が言うな。
レリエル『それだけじゃないわ!』
急にほっぺにチューされたり、
ライラ『僕もされました』
レリス『弟のように思ってるからね』
ミネルネ『わしもじゃ』
レリス『妹のように思ってるからね』
ナンジェル『爺は、されたことありません…』
レリス『かわいくないからね』
そう言うとナンジェルは、ちょっと寂しそうな顔をした。
レリエル『とにかくぅ!もう、本当にいろいろ苦労したわ』
ミネルネ『まぁ、レリスのあれは、今に始まったことじゃないからのぅ』
ナンジェル『えぇ、一番最初に会ったときもひどいものでしたからなぁ』
俺『なら、まぁ抱きつきたくなったら、俺に抱きつけば?』
冗談のつもりで俺は、そう言った。
そうすると、みんなは、ドン引きしていた。
シゲルダ『お前、本当に変態だな』
ジノル『本当だよ…………最高だよ!』
シゲルダは思った。ジノル……お前は黙ってろ。
エルノ『フフ!本当にマラさんは、変態なんだね!』
シゲルダ『エルノ、気をつけろよ、こいつがいつお前を襲うか…』
エルノ『安心して、やばそうになったら去勢させるから!』
え?きょ、去勢?
俺『え、あ、いや、冗談…』
レリエル『あんた、後悔することになるわよ…』
俺『いや、あの冗談だからね?みんな?』
レリス『大丈夫よ、そんな嘘つかなくて、本当は、してもらいたいんでしょ?』
ちょっとだけ、してもらいたいと思ってしまったが
その気持ちを黙らせて、話を逸らした。というかしないと去勢されかねない。
俺『いや、まず、俺は、かわいくないからね!?』
レリス『そうか?結構子供っぽくてかわいいと思うけど…』
俺『え?え?』
俺は困惑した。なのでとりあえずシゲルダに聞いた。
俺『なぁシゲルダ、俺ってかわいいか!?』
シゲルダ『は?何言ってんだお前は変態だろ』
俺『…そうだな!』
確かに!俺は、シゲルダに感謝した。
俺『だ、そうですよ!レリスさん!僕は、変態です!』
ジノル『それ、自分で言ってて悲しくない?』
その瞬間だった。ゴンゴン!という鐘のような音が、響きわたる。
ジノル『あ!もう時間だよ!エルノ、シゲルダ!』
エルノ『あ、そうなんだ、時間って早いね!』
俺『じゃあ、またいつの日か!』
シゲルダ『意外だな、』
俺『え?何が?』
シゲルダ『てっきり、泣き叫びながら。まだ、帰らないでぇ〜、とか言うんだと思っていた』
俺『いや、だって迷惑かけるわけには、いかないでしょ?』
そう言うとシゲルダは、俺を見つめた。
俺『えーと?何?どした?』
シゲルダ『何でもない。』
ジノル『おーい!シゲルダー!』
エルノ『早く〜!』
ジノルとエルノが手を振りながらそう言う。
シゲルダ『あぁ、今行く』
そして、シゲルダは、ジノルたちのところに移動した。
エルノ『じゃあね〜!また明日!』
ジノル『また、お会いましょう!ミネルネさん!そして、みなさん!』
ミデルダ『気をつけて帰るんだよ!』
エルノ『は〜い!』
その日からみんなで遊ぶことが増えた。シゲルダは嫌そうながらも、エルノが心配らしく、毎回来ていた。あ、ちゃんと仕事もしてるからね!ちなみにネルエは、エルフの儀式とやらで、ここ数日間いなかった。
それだけじゃなくこの世界についても勉強した。
金貨とか神魔金貨という聞いたこともないものも。
あと、ナンジェル爺さんと、剣の特訓した。魔法も教わった。えーと、確か普通魔法ってのを扱えるようになった。異世界に来たからには、剣とか魔法は、扱えるようになりたいしね!
あと、ミネルネとジノルは、とても仲良くしてるらしい。そのせいか知らんがネルエは、一日中布団の中にいた時があった。
失恋、というやつだな。まぁミネルネもジノルも全くその気は無さそうだが……。どうせだし黙っておこう。
あ、そうそう、ミデルダ様の機嫌が悪いときは、本当にやばかった。一つでもヘマしたら、うん、やばかった。思い出したくもない。てことで思い出すのは、やめておきます。
そして次の日……。
俺は今、エルノと二人っきりです。
待ち侘びていた展開なのに。…いざそうなるとめっちゃ緊張する。
俺『えっと急にどうしたの?』
エルノ『このネックレス……私が作ったんだ』
そういってエルノは服の下に隠していたネックレスを取り出した。
俺『黄色の円型のネックレス…何で急に…』
エルノ『これは私が作ったものでも、これを私に最初に渡してくれたのは……私の初恋の人』
俺『え?』
え?やべぇもしかして、私には初恋の人がいるから無理みたいな話?まじ?やべぇ震えが止まんねぇ…。
エルノ『私ね、今もまだその人が好き。…』
エルノはそう言うと、長い沈黙が続いた。
エルノ『ご、ごめん!やっぱりまだ心の準備が出来てない!また、明日この星空の見える場所に来て!そうしたら…全てを話すから……』
俺『う、うん』
エルノは俺が頷くのを見るとニコリと笑って、俺に手を振りながら、その星空へと向かっていった。
村の少し離れた崖の上で俺は少しの間、そこに立ち止まっていた。
今日は疲れたから早く寝ることにした。
明日もまた幸せな生活を、そう思いながら、窓を閉めに行った。
俺『てことで窓閉めて…寝ま…』
俺は、外の景色を見て窓を閉めようとした時だった。
突如、村…エルノたちがいた村に炎が舞い上がったのが見えた。俺は、顔から血の気が引いたのを感じると同時に思い知る。この世界は楽しみだけが溢れている訳ではないという当然のこと。
夜中に光る星々たちはその炎に呼応するように光出した。彼女が夢見ていた星は到底掴めるものではなかったのだ。
次回 俺の、私たちの夢