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第三十四話 目を塞いだ過去

 荒川魔羅。名前以外はごく普通の高校生。


 母、荒川羅と父、荒川道房の元に生まれた子供。


 小学生の頃は名前こそバカにはされたもののそれは単なるいじりで止まっていたし、俺も対して気にしていなかった。中学校の頃も小学校からの友達もいたから然程問題なかった。


 ーーー今日は待ちに待った新しい高校生活。新しい高校では同級生だった人たちは誰一人としていない。そのせいでめちゃくちゃ緊張したが、何とかクラスメイトとはまぁまぁ馴染めた。


 普通の生活を送ってきていた頃。


 「でさ…あれ見た?」


 隣から会話する声が聞こえてくる。若いことはいいことや〜、え?俺?俺は…今絶賛寝たフリ中〜。


 いやーなんていうかねー…まぁ…?俺は一人でも何も問題ないし?大丈夫だし?


 そんな風に言い訳を繰り返して、無理矢理自分の惨めさを拭おうとしている。そんな時だった。




 「あ、あの〜、え〜と」


 最初に話した時、あいつから話しかけてきたんだったな。


 葉山 修(はやま  おさむ)。それがあいつ名前。


 プリントを配ってたらしくて、俺にプリントを渡してきた。どうやら俺が机の上に頭を置いていたせいでプリントが置けなかったら話しかけてきたらしい。


 そこからだった。あいつと仲良くなったのは。


 「葉山!昨日のアイチューブ見た?」



 「えーと、誰の?」


 「決まってんだろ!○○キンだよ!」


 「分かるわけないよ…荒川くん〇〇キン見てる

んだ…」


 「まぁね、なんていうか聖人だから。やっぱ不快感がないっていいよな!」


 「荒川くん、キレ芸とか嫌いそうだもんね、僕はむしろ好みだけど」


 「めっさ嫌い!」


 葉山…そうだ。あいつだ。この当時俺は気づいていなかったんだろうな。こいつがいじめられていたってことに。


 いつだったけ。俺がクラスメイトともある程度仲良くなってた。葉山とも、親友になった。でも、でもでもでもでもでもでもでもでも。


 ある日

 「え…」


 俺は思わずそう口を溢した。


 「お前、葉山と仲良いよな?でも、関わんのやめた方がいいぜ、あいつ、きもいし…それにさ…これは花島から聞いたんだけどさ…」


 信じられなかった。何故こんなにも簡単に人は嫌なことを言うのだろう。何で俺の目の前でそんなことをあっさりと…。



 なんでそんなにもありもしないことを言えるのか。

俺はこいつにムカついた。でも、言い返せなかった。俺はビビってたんだ。俺もいじめられるんじゃないかって…。



 ーーーーーーーーーー


 「つかさ、葉山……あのさ」


 「?…どうかしたの?」


 「いや……」


 「誰か助けて!私の犬が!」

 女性の声だ。俺はその瞬間に走り出した。変わりたかった。情けなかった自分を。震える足を無理矢理動かして、川の中に飛び込んだ。


 「……はぁ…はぁ…」


 「何であんなことしたの?」


 「助けたかったからじゃ、ダメか?」


 「馬鹿だよ、勇敢と無謀を履き違えてる、結局、君は犬を助けられなかった…他の人が助けてくれたから良かったものの、もし、あの人がいなかったら君は無駄死にしてたんだよ」


 「じゃあ黙って見てろってか?」


 思えばその日が初めての喧嘩だった。


 「そうだよ、僕たちに出来るのは助けを呼ぶくらいのことだけだ」


 「んだよ!それ!俺は助けようとしたんだよ!それの何が悪い!なんでそんな攻められなくちゃいけないんだよ!


 「君のあの時の目は死のうとしてた時の目だ!」


 「……!」


 あ、そうか、俺、いつのまにか死にたくなってたのか。この面倒くさい人間関係を早く終わらせたかったんだ。


 「君に何があって、そう思ったのかは知らないけど、そう簡単に死のうとしないで、君はたった一人の僕の大切な親友なんだから…」


 今にして思えば、その時、それが俺の唯一の生きる理由になってたんだと思う。マイクが来て、友達が増える前までは。




 「ハハッ健ち!やめてあげてよ〜可哀想じゃん〜」


 「…」


 ギャルが二人。陽キャが二人。葉山をいじめていた。


 あたかも四人が一人をいじめるように。でも、いじめてる側の奴らだって結局一人ぼっちなんだ。どいつもこいつも友達を側だけで演じている。みんな心の底では…。俺もだ。俺も、葉山のことなんて…。本当に?俺はどうするべきなんだ?


 何もかもが分からずに思考が止まった俺はその場を去った。その光景を見ていなかった体にして。


 葉山はいくらいじめられても俺に真実を話さなかった。何であいつは…言わなかったんだ?きっと、俺に迷惑をかけたくないからだろう。俺はそう無理矢理自分を納得させた。



  「転校生を紹介する」


 「俺のナマエはマイクです、ヨロシクおねがいします』


 所々、片言で黄色い髪を持つ彼はマイク。いかにもな名前のマイクはあっという間にクラスに溶け込んだ。ギャルたちとも仲良くなった陽キャとも。そして、俺らとも。


 「明日、どっかイカナイカ?」


 「うーん…僕はいいけど…」


 「俺もいいぜ!何処行く?」


 それから前より楽しくなった。いつも三人で遊んでいて充実した日々だった。あの時までは少なくとも…仲良く暮らしていた。



 そう、あの時までは。


 「荒川、葉山どこ行ったか知らね?」


 マイクは転校初日の片言はほとんどなくなっており、すらすら…とまでは行かないものの、彼の姿勢や雰囲気は日本人と何ら変わりはなかった。


 「いや、知らんわ」


 俺はその答えを知っている。俺は見ていたから。葉山がいじめられていたところを。でも教えはしない。葉山がそれを願っていたから。直接頼まれたわけではなかったが、大体俺は察していたのだ。


 だから…


 「じゃあ多分、トイレか?」



 「え?い、いやそれは…」


 俺は何としてでも止めないといけなかった。それが葉山の願いなんだから。でも、この時少し思ってしまっまんだ。こいつなら何とかしてくれるんじゃないかって…。


 「オマエラ、何してんだよ!!」


 マイクが怒声を浴びせた。葉山をいじめていた陽キャ二人に。


 「ま、マイク?なんだ…あ、あぁ!君もする?」


 「…」


 「え、」


 マイクは一人殴った。そしてそいつは涙を流し始め、助けを乞い始めた。


 「助けて健ちゃん!!!」


 健ちゃんと呼ばれた男は少し嫌そうな顔をしたがすぐにマイクへと殴りかかった。が、それは避けられ、健ちゃんはマイクの拳を受け、まるで紙のようにすっ飛んだ。


   その後、こっ酷く先生に怒られた。いつものいじめには目を瞑ってるくせに。こういうときだけは…。腹立たしくて仕方なかった。


 でも、何でなんだろう俺は先生の気持ちも分かってしまった。いじめてる奴の気持ちも。分かってしまったんだ。



 何故腹立たしく感じるのに憎しみを感じないのだろうか。


 その答えは後に分かった。


 

 ある程度マイクのおかげで葉山へのいじめが起きなくなっていて、いよいよ一年生としても終わりを迎えて来てた頃だった。

 




 『最悪の親友』それは俺が最期に聞いたあいつの言葉だった。




       ーーーーーーーーーーーー

 声が聞こえた。一人の少女の声が、俺は耳を塞ぐ。

その声を消し去る。無意識。


 それは無意識でありながらも、真実を隠そうとする。

俺の思考に安らぎをもたらす。


 間違いなくこれだけは言える。俺はずっとビビってる。


表面をいくら覆い被そうが、心の底はずっと震えている。失うのがたまらなく怖い。この世界に来れて何もかもが変わるとそう信じんて疑わなかった。


 暗い底に堕ちていく。現実から目を逸らしていく。


 『それが…』


 少女は言う。だが、声は届かない。見たくない。聞きたくない。死んでほしくない。


 俺を…


 『なんで…』


 少年は俺を叱る。だが、知りたくない。考えたくない。

死んでほしくない。


 俺を…助けてくれ…



 ロウドは言う。


 『エルノを…』




 『思い出せ!!!』



 

ーーーー

   ーーーーー


       ーーーーーーーー



 見たくない聞きたくない知りたくない。


 「なぁ葉山がどこ行ったか知らネ?」


 見たくない聞きたくない知りたくない。


 「え?まさか…またいじめられて…………?」


 見たくない聞きたくない知りたくない。


 「い、いやぁ僕は知らないよ〜?」


 「隠しても無駄だろ、多分屋上だ」


 見たくない聞きたくない知りたくない。


 「クソッ!荒川屋上行ってくれ!!」


 「え?あ、あぁ…」


 見たくない聞きたくない知りたくない。


 「屋上の扉が…開いてる…」


 見たくない聞きたくない知りたくない。


 「は、葉山?何してんだよ…さっさとこっちに戻ってこいよ、危ねぇぞ!?」


 「……」


 「は、葉山?」


 嫌だ見たくない。嫌だ聞きたくない。嫌だ知りたくない。


 「じゃあね………『最悪の親友』…」


 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌ぁ、だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。



  「なんで…おい、荒川…なんで!止めなかった!」


 マイクは言った。


 いじめの対象がいなくなったら次は代わりを探し始める。そうなったら次は誰がいじめられるのか…決まってるだろ?



 「あいつ、昔はいい奴だったんだけどな〜」


 「いや、俺は前から分かってたぜ、ああいうのは生まれてからずっと嘘しかついて生きていないタイプなんだよ」


 「あーあれね、友達はいるけど、親友はいないっていうタイプだな」


 「いるいる!そう言うの無キャって言うらしいよ!」



 ありもしない話をする。自分たちにとって都合の良い話をする。マイクだってそうだ。あいつは葉山が死んでから俺を目の敵にして俺へのいじめに加担した。俺だってそうだ。


 今まで名前のことなんて、大した気にしてなかっし、それが理由でいじめられることはなかった。だけど、途端に人はそれを馬鹿にし、途端に俺はそれを理由にしてこの怒りの気持ちを両親に向ける。


 「お前らなんか俺の親じゃねぇ!!」


 両親に悩みを打ち明けることも出来たはずなのに……。


 そうやって目を背けて背けて、この世界に来てやっと…解放されると思ってたのに…もう嫌なんだ!見たくないんだ、聞きたくないんだ、知りたくないんだ。


 …死んで…ほしくないんだ。


 俺の心は葉山を、失った時から壊れていた。今まで葉山のおかげで俺は苦痛を感じなかった。葉山が俺と一緒にいてくれるだけで何だって許せた。葉山が…望んだことなら…。



 何だってやる……そう言おうとしたが、それを発することが出来ない。あぁそうか…俺はどこまで行っても臆病者でどうしようもない奴なんだ。


 そして声が聞こえる。その声は深く、暗く、闇であったが、俺を優しく包み込んでいく。間違いなく分かる、俺はこの闇を欲している。


 星は言った。『そのままでいい』と、俺はその言葉に頷くようにして体の意識をどんどんと手放していき、そして最後には…


 声が…聞こえた。この声は闇ではない。複雑な感情…でも、これは光だ。



 『聞こえているか…ガンノール』


     ーーーーーーーーー


 足が痺れるような感覚を感じながらも、その者は足を止めることはない。今、自分を変えてくれるきっかけをくれたあの者の元へと向かうために。


 ジェンナード『ハァ…ハァ……どうやら…っ…着いたようだな』


 息を切らしながら膝に手をついた。それからゆっくりと呼吸を整え、扉の前にそっと立ち、静かに、ただ声に魂を溜めて…



 ーーそこにいた者たちはただ聞いていた。ジェンナードの声を…。そしてそれに拍車をかけるようにして各々が扉の前に立ち、彼への本音を打ち明けた。




       ーーーーーーーーーーーー


 皆の声が聞こえる。慰めの言葉あるいは怒りの言葉。


 そのどれもが、俺を闇から引き上げようとしてくる。

………聞きたくない。そう思っているはずなのに…


 …………図星だった。ジェンナードに言われた言葉の全てが。



 ジェンナード『武闘会の時、お前は私に慈悲を与えた。覚えているか?…私には分かる……。私もいっしょだったからな…。あの時、お前の目は私を同情の目で見ていたのではない…自分自身と重ねていたのだろう?』


 ジェンナード『もしかしたら違うのかも知れないな…だが、少なくとも私はそう思っている。…私はお前がかつてどんな過去を、歩み、ここに来たのか、詳細なことは知らないが…それでも、どうしようもない私だからこそ言えることがある』



 ジェンナード『………私は、どうしようもない人間だった。自らの生まれた環境を呪い、道を踏み外した。自分で変われる機会があったのにも関わらず、私は生まれた環境のせいにして目を背けてきた。どうしようもない人間だった。だが…私は変わろうとしている。少なくともその自負がある』


 ジェンナード『君には私を殺す資格がある。私への憎しみが生きる糧となるならそうしてもらっても構わない。いや、私にそんなことを言える資格はなかったな……』


 ジェンナード『だが、私はお前がいたから変わろうと思えたのだ。だから…』


 『当然!私を頼れとは言わない!だが、お前のクラスメイトを、お前の仲間たちをもっと頼れ!何もかも一人で抱え込むな!』


 『君は私のようにはなるな!』


 俺は今までずっと葉山の死と『最悪の親友』と呼ばれたことを引きずっていた。やるせない気持ちを何かに預けて、現実から目を背け続けて…きっと未来は何とかなると思い続けて…。

 


 


『最悪の親友』…あれは間違いなく、葉山の本心だった。

俺はあいつの本心を見て、聞いて、知って、ずっと後悔してたんだ。



 そんな中で異世界に転移してきた。




 この異世界に来てエルノと出会って…何か変わるって…!



 俺『信じてたんだ……!!!』


 でも!…そんな世界はあっさりと終焉を迎えた。

ミネルネも…ナンジェルさんも…。

 嫌だった。何出来なかった自分が。逃げたくなった自分が。何をすればいいのか分からない自分が!



 どうすればいいのか…分からないんだ…!教えてくれ!



 『仲間たちをもっと頼れ!』


 だって…!



 『何もかも一人で抱え込むな!』



 だって……!



 『このお馬鹿さん!』


 その時、甲高い声が聞こえた。それは、よく耳に馴染んでいた声で、緑のメッシュの入った髪を持つ彼女。



 え…エルノ…?



 その声が聞こえると同時にいつも肌身離さず着けてきた黄色いアクセサリーが光を放ち始めた。そしてその光は真っ暗な世界を一瞬で消し去った。



 今までずっと下げていた頭をゆっくりと上げると、そこにはエルノがいた。




 俺『あ…あぁ…え、エルノ…えるのぉ…』



 情けない声を出すと、無意識に涙が頬を伝う。

これが自分の作り出した自分のための幻覚だと分かっていながらも、俺はそれに触れようとする。



 エルノ『もう…何で…泣いてるの?』



 俺『だってぇ…だってぇ……』


 ずっと心で望んでいた再会に涙を流さない人がいるのだろうか。いくら滑稽だと言われてもいい。だから…。


 ずっとこのまま…。


 エルノ『駄目だよ!そんなこと言ったら!』



 俺『…え?』



 エルノ『私には分かるの…早く友達に会いたいんでしょ?みんなに助けてもらいたいんでしょ?』



 俺『…したいよ…でも、出来ないんだ!俺は!どうしようもない人間で!臆病者で!』



 エルノ『…それで?』



 俺『……え?』


 これで口籠ったのは二度目だ。でも、それも仕方ないことだと思う。何せ、それは幻覚と言うには、あまりにも彼女に似すぎていたから。


 優しい口調に少し怖い所がある彼女に…余りにも。



 エルノ『臆病者だからって人を助けられないの?私はそうは思わないよ、だって臆病者でも足を地につけて歩くことは出来るんだもの』


 エルノ『それに人間みんな、童話に出てくるような英雄じゃないんだし。うーん…なんていうか、難しく考えすぎだと思うよ?』




 俺『じゃ…じゃあどうすればいいんだ…教えてくれ!』



 俺はそう叫んでエルノに近づいていき、助力を願った。

そんな俺を抑止するようにエルノは俺のおでこに人差し指を当て、俺の動きを止め、静かに呟いた。



 エルノ『もう、分かってるんでしょ?その答えが何なのか。マラくんはそれを見て見ぬ振りしてるだけ』


 俺『…』


 エルノ『思い出してよ、君の親友との思い出を』


 思い出なんか…無意味だ。


 俺は…。誰かに言われないと何も出来ないんだ。誰かに頼まれないと何も出来ないんだ。


 …でも、知ってるこれは単なる言い訳にすぎない。本当の自分はそうじゃないって自分がよく分かってる。




 …でも、お願いだエルノ、もし幻覚なら俺を勇気付けてくれ、俺に頼んでくれ。どうすればいいか分からないこの俺に…。



 だが、少女は何も言わない。



 ーーーいつも矛盾ばっかで、どっちつかずの臆病者。


 ーーーいつも、中途半端で冴えなくて卑怯者。



 でも…。


 エルノ『でも?』




 俺『でも…!!』



 ーーー「なぁ葉山、今日どっか行かね?』


 ーーー「荒川くん」


 ーーー「ん?何?どした?」


 ーーー「ありがとう」


 ーーー「え?な、何だよ急に…」


 




   ーーーー「なんで、なんで自殺なんかしたんだよ…葉山…俺のせい?…俺のせいで!!」



 俺がエルノを好きになったのは見た目…それもある。でも…俺が、エルノに惹かれたのは…。優しそうに見えて何処か怖い所がある葉山に…似ていたからだ。


 もちろん俺は葉山に恋愛感情があった訳じゃない。でも、間違いなくあいつの人間性には心を惹かれていた。


 何処か葉山に似ていたエルノに惚れた時、俺は不安で仕方なかった。もしかしたら、また何かを失うかもしれないって…

そう思ってたのに、俺は何もしなかった。


 怯えて怯えて、震えて震えて、ただひたすらに神に祈った。ただそれだけ。



 でも…



 今だって怖い。震えが止まらない。何も出来なかった自分だけど。



 でも…!仲間を助けたい!



 俺はみんなを助けたい!例え、俺が臆病者でも卑怯者でも!もう二度と誰も失いたくない…………だから!俺が全部守ってやる!!



 ありがとうエルノ。



 エルノ『うん、いってらっしゃい………私の永遠の英雄さん、貴方はいつもそうだった』


ーーーーー俺『ロウド…俺』


 先に迷惑をかけたと謝ろうとその者の名を呼び、もし、怒られたらスーパー土下座をかましてやろうとしたが、ロウドはただ目を瞑り言った。


 ロウド『言葉はいらない。決心したのなら、さっさと行くぞ』


 俺『……あぁ!』



 俺はロウドの優しさに感服しながらも、仲間たちにこれ以上迷惑をかけられないと思い、

 

次回 荒川魔羅参上!


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