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第二十八話 二回戦開始!後半!

 彼は毎度のこと、この武闘会の実況として呼ばれていた。武闘会でたくさんの戦い方を知り、繰り広げられる戦いを見てきた。


 正直に言うとブッタテの圧勝だろうと思っていた。なぜなら、過去の武闘会でも優勝していたのは毎回Aクラスであったからだ。だからこそ、今回の武闘会は驚きしかないのだ。


 Cクラスの者がAクラスの者に勝利したのは前代未聞だ。もちろんそのことにも驚いている。だけど…それだけじゃない。他の選手たちもだ。


 今回の武闘会は予想外が多発していて……

ものすごくワクワクしているのだ。


 ジッキ『さぁ!!参りましょう!二回戦第二試合…

開始!!!』


 今回は正四角形の足場が上下左右に動いてる舞台だ。足場に気を使いつつ相手に攻撃を入れるということが必要になってくるが…。



 俺『これは…足場に気を使ってる暇はなさそう…ぽい』


 その溜息混じりの呟きを掻き消すようにノーメイルは華麗な口調で言葉を放った。


 ノーメイル『では、私から参りましょう』


 立ち止まる俺にわざわざそうやって先制攻撃をすると教えた。

 わざとか、はたまた自然なのか、それは分からないが警戒しておくことに越したことはない。


 ノーメイルスヴァルントスは鞭【氷王(ひょうおう)の鞭】を出現させた。俺もそれに呼応するように『血液操作』によって作り出した剣を構えた。


 ノーメイル『…無駄ですわ…アイスノック!!』


 彼女がそう言うとその鞭は氷の結晶を放ち始めると同時にそれを振り回し、さらに振り上げると叫んだ。


 ノーメイル『氷花蘭月(ひょうからんげつ)!』


 その声に呼応したかのように氷の薔薇が俺を取り囲んだ。


 俺『…寒っ!』


 氷の薔薇から放たられる冷気は想像を絶する程であった。早く逃げなければならない…直感的にそう感じた。


 俺は剣でそれらを切り刻み…


 ノーメイル『無駄よ』


 ノーメイルが視線を俺に向けてそう言った。

どういう意味だと問うとした瞬間、その答えはすぐに分かった。


 俺『か、体が!?』


 俺の体の体温が急激に減ったことが分かった。

そして、体は体温を保とうと体を震えさせたが次第にそれは弱まっていく。


 俺『体が…動かない…』


 ノーメイル『さぁ』


 チェックメイトよ…とノーメイルがそう言うと同時に彼女は指を鳴らした。


 そして俺の体は段々と氷に包まれていく。

痛みは感じない。だが、このまま行けば間違いなく…死ぬ。


 …ここで負けんのか。結局この程度の実力なんだな俺は。


 『何を言っている…貴様は思考を放棄してるに過ぎない』


 明らかな上から目線で物を語ったのは見慣れた顔だった。


 俺『別に…思考放棄なんか…』


 ロウド『少なくとも俺様は何個も案が浮かんだぞ?』


 俺『それはお前が頭いいってだけで…』


 ロウド『確かにな』


 そこは素直に答えるロウドにつくづく頭が上がらないが、俺はその言葉につけ入って言葉を続けようとした。


 俺『じゃあ…』


 ロウド『だが、俺様が浮かべた案は全部貴様の案だ』


 俺『え?』


 何を言っているのだろうか。俺の案?俺は一切そんなこと考えたことはなかった。まさか無意識に?


 ロウド『……ふっ…冗談だ』


 やや少し悩んだ後…俺を嘲笑うかのように鼻で笑い、そう言った。


 俺『え?』


 戸惑いを隠しきれない俺にロウドは、また上から俺を見るようにして助言した。


 ロウド『ノーメイルの動きをよく見ろ、それだけだ』


  ーーーーーーーーーーーー


 ーーその時、一瞬意識が消えた方思えば俺は目を開いた。そしてそこに広がっていたのは溶けた氷とそれを見て驚くノーメイルだった。


 ノーメイル『何を…どうやって…』


 『まぁいいわ!ならもう一度同じことをするだけよ!』


 ノーメイル『アイスノック!』


 ノーメイルは再び同じ動きで氷の結晶を放つ鞭を振り回した。


 俺『あれ?』


 そうだ不可解な点がある。何故振り回す必要があるんだ?俺への攻撃…のわりにはやや当たる気がなさすぎる。


 なら、何のためにあの行動を取っているのか。

考えろ、考えるんだ。ゲームの基本…ゲームではそれこそ技術が必要とされる。攻撃を上手く避ける技術だったり、的確に頭を狙う技術だったり。


 だが、ゲームでの戦いはそれだけじゃない…

知識や思考力も必要なのだ。


 そしてもっとも大事なのは…


 俺『相手の思考を読み解くこと』


 考えろ、相手は何を考えているか。

彼女は今のところ一歩も動いていない。


 何故なのか…


 俺『巧みに移動することができないからだ!』


 俺はそう言って、ノーメイルとの距離を縮めていく。彼女は焦っている。だからこそ分からなければならない。彼女の使う固有魔法がどんな魔法か。

武器魔法にどんな効果があるか。


 時間は少ない。動かせ頭を。ゲームで培った思考力を全て活かすんだ。


 その時、ノーメイルは叫んだ『氷花蘭月』と…そして俺の体温は急激に減少した。だが、微かに感じた。

 一瞬だったが寒さの中に温かさを感じた。


 俺『そうか!わかったぞ!』


 そう…水だ。目に見えない水の分子。それを放つ…いや、放ってたんじゃない。恐らく吸収してたんだ。


 それを密着させ、動かなくすることで多分、氷が…


 俺『それで?なんだ?どうしたんだ?』


 駄目だわからない。こればかりはどうしても知識の問題だ。だがここまで来てしまった、そんな悠長に考える暇はない。


 動かなくさせることで水の分子は氷となり、それによって周りの温度を下げた。


 でも、何故体温までもが急激に下がった?しかもあの一瞬の温かかさは一体…いや、駄目だ。日本の常識で考えるな…ここは異世界だ。



 分からないものは試すしかない。


 

 俺『血液操作!』


 俺は力一杯にそう叫び、指を噛みちぎった。

そこから出た血は自らの体を覆った。

そして氷はそれを覆った。


 この行動の意味は簡単だ。体温を下げないためである。

 実際、今は体温が減らなくなった。


 体温が下がっていたのは氷の寒さによるものだと思っていたが、これで合点がいった。一瞬温かく感じたのは…それが作業に必要な過程であったからだ。


 俺の予想通りであればこの血の壁はどんどんと消えていくはずだ。


 俺『血を糧とした氷っぽい薔薇を作り出す…的な魔法か?まぁどちらにせよ…』


 俺は血を大量に放出させた。


 ーーー何故一瞬温かく感じたのか…それはあの氷の薔薇が氷出て来ているわけじゃないからだ。

 じゃあ何で出来てるのか…先程話に出た水分子と血だ。


 どういう方法かは知らないが今までに導き出した答えを組み合わせれば自ずとそうなってくる。


 そしてそれを破る方法…


 何においても容量という物がある。人間で有れば自分の限界値以上のご飯の量を食べようとすると拒絶反応を起こしたりする。


 この薔薇の糧は水と血。それを容量以上の量を与えれば…


 この世界では、痛みを実際に感じることはない、あったとしても『今、攻撃されたな』としか思わない。


 俺『だから…こうやって!』


 俺はそう言って指から出ていた血を『血液操作』によって大量に放出させた。

 放出された大量の血を喰らうべく、氷の薔薇は俺を包み込んだ。


 そして…氷の薔薇は溶けた。


 ノーメイル『なっ…アイスノック!』


 俺に話す暇すら与えない速度で彼女は鞭を振り回した。

 しかし、それはこちらも同じ…ノーメイルに隙を与えまいと俺は風魔法『サイクロンリターン』を小声で唱えた。


 俺はノーメイルに水分子を吸収させまいと自然な動きで構えを取った。その瞬間に風で水分子をかき集めた。


 ノーメイル『氷花蘭月!』


 ノーメイルがそう唱えると…ノーメイルの鞭から何も放たれることはなく、逆に俺の手が急激に冷めた。


 俺『受け取れ!!』


 ノーメイル『な…』

 

 俺の手の中に出来た小さい氷の薔薇を俺は風魔法で分解し、ノーメイル目掛けて解き放った。


 ノーメイルは必死の抵抗で、鞭でその氷を砕こうとした。が、それはさせまいと俺の血を使ってその鞭を取り上げた。


 そしてその氷はノーメイルの体に突き刺さり…その衝撃によって場外へと押し出されてしまった。


 ノーメイル『ぶっ……!』


 俺『おし!』


 これで俺の勝ち…



  ノーメイル『……らぁ』


 俺『ん?…らぁ?』


 ノーメ『おんどらぁ!!!』


 俺『えぇえぁ!?』


 ノ『くそが!何で防げたんだよ!くそ!』


 その豹変っぷりに俺は『えぇ…』と呟くことしかできなかった。



次回 ジョルスとの対決

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