第二十八話 二回戦開始!前半!
俺は目をパチパチと開き暗闇から光の世界へと訪れた。そんな俺は驚くように勢いよくベッドから起き上がった。
俺『ここは…』
周囲を見渡せばそこには武闘会の参加選手たちや観客の人達が目を閉じながら並んでいた。その様子を少々気味悪く感じた。
『お、どうやら起きたみたいね』
まだあまり働かない脳でもその声の主は分かった。そこにはエロメラ先生ならぬメルメラ先生がいた。
俺『ここは?』
メルメラ『え?それはもちろん武闘会への入り口よ』
俺『入り口?』
あれ?武闘会に入った時の記憶が無い。今まで然程気にしていなかったが、言われてみればおかしいよな。
メルメラ『あら、貴方本当に知らないの?ここはデミレラ先生の夢へと入るための入り口…まぁ細かいことはいいわ…とりあえず体力は回復したっぽいし、これからのことを説明しておくわね』
まずは…と言葉を紡ぎ、メルメラ先生は淡々と説明を始めた。
メルメラ『武闘会の一回戦についてだけれど、無事に終わったわよ』
メルメラ『…そしていよいよ二回戦が始まるわけだけど…貴方に聞いておきたいの、武闘会を棄権するかどうか』
そう言われるのはなんとなく分かっていた。
あの時は暗闇の中にいたせいで外がどうなっていたかなんて分からなかったけど、ロウドのおかげで何があったか知ることができたからだ。
俺『やっぱりした方がいいんですかね?』
正直俺はどっちでも良かった。そもそも武闘会に参加したのは自分の実力を知るためで…そりゃあもちろん優勝賞品も欲しいけど…でも、そこまで積極的なのかと問われれば違うと答えるだろう。
それに、観客たちからしてみれば俺のした事は傍迷惑なことで、到底許してもらえるような物でもない。
俺『俺…』
その言葉の続きを言わせまいと、意志を持ったかのように勝手に口が動いた。
俺『棄権しない』
メルメラ『そう、行ってらっしゃい』
俺は頭を掻きながら思った。つくづくお節介な奴だな、と。
そんなことを思いながら、視界がどんどんとぼやけてきた。ぼやけてぼやけて…
メルメラ『ま、そもそも誰も覚えてないんだけどね』
そんな言葉が俺に届くことはなかった。
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再び目を開けてみれば…そこは武闘会でよく見る受付場所だった。もちろん人はいないが。
『来たか、ガンノールよ…』
後ろを振り返ってみればそれは、この学園で多分めっちゃ偉い人であるデミレラがいた。
俺はすぐさま姿勢を整え、体を90°曲げて深くお辞儀した。勝手に体が動いた。そうさせる程の圧を放っていた。
デミレラ『うむ……棄権はしなかったのだな』
俺『はい』
デミレラ『なら、急げ!もう少しで二回戦が始まるぞ?』
俺『はいぃ!』
俺はその圧に流されるようにしてせっせと走り出した。
対戦相手についてはすでに脳の中に入り込んで来ている…二回戦第二試合の相手は…ーーー
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一回戦第四試合にてーー
ジッキ『おぉ!?これは…すごい!すごいぞ!
氷を巧みに使い、対戦相手を翻弄し…勝利を収めました!!』
ジッキはそう声がカスカスになる程の熱量で目の前に起こった出来事を説明した。
『ふん…私に屈服しなさい!』
そう宣言したのはノーメイルスヴァルントス…自らを華麗な女王と名乗った彼女こそが…二回戦第二試合
の相手だ。
ノーメイル『全員…ねじ伏せるわ!』
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観客たちは声を上げる。雄叫びを上げる。
この試合がどんな結果になるかを見届ける。
そんな空気の中に入り込んだのはCクラスのジョルス…そしてAクラスのブッタテであった。
ジッキ『さぁ!!いよいの二回戦が始まるわけですが!誰がこの戦いを乗り切るのか!?楽しみですね!』
ジッキはその熱演で観客たちを鼓舞した。
実況と呼ばれている彼だが、正直…ただ叫んでいるようにしか見えない。
ジッキ『盛り上がっていきましょう!!二回戦第一試合!!ジョルスVSブッタテ!!』
実況であるジッキはそう言って隣にいたデミレラに視線を送り、デミレラはそれに頷き、言葉を紡いだ。
デミレラ『開始!』
そうして戦火は切られた。どちらが強く、どちらが弱いかを決める戦いが。
ブッタテ『モッルネスを一撃で倒したんだ…手加減はせんぞ!』
ジョルス『来い』
双方は互いに構え、見合った。
そして、待つ事はせず戦闘を開始する。
最初にジョルスが拳を捻るように突き出した。
その攻撃を強靭な盾で防ぐ。
そこから繰り広げられる戦いは観客たちの心を鷲掴みにした。目を離す暇すらないその戦いに誰もが、心を踊らさせていた。
かくいう俺も自然とそれに夢中になっていた。
そしてその戦いにも区切りがついた。
戦いは互角に思えたが、ブッタテは感じ取っていた…
このままでは間違いなく負けてしまうと…。
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一つのモニターに映し出された映像を囲むようにして見つめているのは、この学園の教師と呼ばれる者たちだ。
『頑張るのよ!!ブッタテちゃ〜ん!』
そう高らかに叫んだのは自称物理最強の男であり、Aクラスの担任教師。そしてオカマであるダマルンデだった。
その耳が痛くなる程の声に眉を顰み、やや怒りのオーラを漂わせながらその声に反応したのは…
メルグェル『少々うるさいですよ…拷問してあげましょうか?』
メルグェル教授であった。
ダマルンデ『息を吸うように「拷問」って言うのやめない?』
そんな二人の会話に割って入ってきたのは猫背のイジルと呼ばれる奴だった。誰だっけ?
そう言った感想が出てくる程に彼の存在は影が薄いのだ。
イジル『え、えーと…あの…カッサム先生とパリパ先生は何処へ行ったのでしょうか?』
ダマルンデ『そう言えば…珍しいわね、こういうときパリパ先生はすぐに来る印象があるわね』
ダマルンデ『ヌルデール先生はどう思います?』
急な振りにヌルデールが応えることはなかった。ヌルデールは何か考え込んだ様子でただ武闘会を見ている。
そんな彼女の対応に感化されたのか、他の教師たちも黙って武闘会に目を打ち付けることにした。
そして、今教師たちが見ていた武闘会での戦いに区切りがついた。結果はジョルスの勝利で幕を引いた。
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黄色のネックレスを握り締め、『よし!』と声を出す。
俺『絶対に勝つ!』
二回戦第二試合がいよいよ始まる。




