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第二十七話 一つの星が奥底に

 

    ーーーーーーーーーーーーーー


 どこまでも広がる邪気に包まれたこの空間で一人彷徨う者がいた。それは狐耳族の異端として扱われ、世に偉人として名を揚げた者…デミレラであった。


 デミレラ『邪気…夢の世界であるにも関わらず、これほどの弱体化を受けるとは…しかも何故か夢の内容を変更しようとすると頭痛を起こす…夢を強制終了することも出来なくなった』


 完全に詰みと言わざるを得ないこの状況だが、何もしないわけにはいかない。大幅な弱体化を受けたとはいえ、この世界の夢の主が私であることに変わりはない。感覚さえ…取り返してしまえば…。


 歩いているのかいないのかも分からない状態でデミレラは感覚を取り戻せるようにと懇願した。

 しかし、そのある意味消極的なデミレラの思考は決して神に届き得ることはない。


 これは実に絶望的な状況だろうか。ジョルスとブッタテは現在…⭐︎⭐︎⭐︎にボコボコにされ、ナノルサナマも怯え切って動かない。ライラたちも透明な壁に阻まれているせいでこちらに加勢することはできない。


 デミレラも何もできない。これを絶望と呼ばずなんと言う。


       ーーーーーーーーーー

 ⭐︎⭐︎⭐︎『つまんない』


⭐︎⭐︎⭐︎はそう呟いた。感傷的に、楽観的に、消極的に、積極的に、抽象的に呟いた。


 偽善で塗り固められた正義、自らを正義だと思い込む悪、何事にも無関心な思考、自分の思い通りにならなければ気が済まない思考。



 ⭐︎⭐︎⭐︎『その全てが…』


 つまらない。面白くない。興味がない。価値がない。


 だから、壊して造って、また作り直す。

想像し、創造し、再建し、工夫し、腐敗し、破壊する。


 そうやって世界は回ってきた。それらの物事において、思考や正義などの物はゴミにもなり得ない。



 そうしてただ邪念を口にして、脳の神経まで届かせる。ただ、それだけでいい。それだけしていればこのゴミ、二人は魔物に変わり果てるのだから。


 武闘会が現実の世界で行われていた時の世界…

それを同一させる。ただそれだけで、簡単に終わる。こいつらを終わらせたら次は…


 ⭐︎⭐︎⭐︎『お前だぞ?』


 そう言って、足をすくめていた奴を指差した。


       ーーーーーーーーーー

 ライラ『か、感じます…』

 ライラのその発言にレリエルは困惑し、思わず首を傾けた。


 サデラルは終始、何が起きているのか見逃さないように、ドーム状の壁に包まれた無限の闇を見つめながら、ライラに問いただした。


 サデラル『何を……感じた…?』


 ライラ『邪気の中に数多の光と、光を探す魔力が…』


 サデラル『なら…どうする…』


 サデラルの問いに対してライラは顔を下に向け、目を瞑り、一考した。



 ライラ『固有魔法…』

 結論を導き出したライラはそう言って、顔を真正面に向けて、手を胸に当てた。そしてこう叫んだ。


 ライラ『青助魔導!』



    ーーーーーーーーーーーーーー



 ⭐︎⭐︎⭐︎の『別界同一』は自分に発動する時はすぐに発動する。

しかし、今回は変える規模が大きいため、やや少し時間がかかる。


 面倒くさいかぎりだが、ジョルスとブッタテの行動を封じる必要があった。ナノルサナマはそもそも動けないため、気にする必要はない。


 そして今恐れるべき人間はあの青い光に導かれるデミレラである。『別界同一』を発動する時は動くことができない。その上先程語ったように時間がかかる。


 このまま行けばデミレラに追いつかれ、別界同一を発動出来ずに、また別のことをする羽目になるだろう。


 それは面倒なことだ。それは楽しいことだ。それは憤りを覚えることだ。


 相手に苦痛を感じさせようとしたが、やめだやめだ。もう一気に潰す。


 ⭐︎⭐︎⭐︎は気を失った二人を投げ飛ばし、デミレラに突進する。


   ーーーーーーーーーーーー

 デミレラ『感じる…感じるぞ』

 青い光が直線に進んでいく。そしてその光にデミレラが導かれる。


 デミレラはただ青い光に導かれていく。何も感じられないデミレラはその光について行く。


 ライラの固有魔法『青助魔導』は青い線を操り、対象にいろんな絡ませ方で支援する魔法。絡ませ方によって与えられる効果は様々。

 本来であれば主に身体強化に使われるものだが、このようにしてただの道導として使うことも出来る。

しかも、どんなデバフ効果がかかっても有効な優れ物。


 そしてこの線を通して会話が出来る。通信機としても使用可能だ。とはいえ、もちろん相当な集中力を必要とする。そのため今回は道導としてしか使ってない。


 二人の死のタイムリミットは刻々と近づいている。

急がなければならない。


 デミレラは自覚こそしていないが、現在…⭐︎⭐︎⭐︎からの猛攻を避けている。


 ライラは感じただろう。デミレラの常人離れした身体能力を。いくらライラが導いているからとはいえ、ここまでスムーズに体が動いているのは驚かずにはいられない。


 しかし、こうも感じていた。


 『攻撃の隙がない』と、⭐︎⭐︎⭐︎の攻撃を避けているとはいえ、こちらが攻撃を加えさせるよりも早く攻撃してくる上に無駄のない動きなのでこちらが攻撃を加えさせる想像(ビジョン)が浮かばない。


 ライラ『どうすれば…』


重い悩むライラに眼帯をつけた彼は…サデラルは言った。


 サデラル『勝てそうにないなら…賭けるのも…あり…』


 ライラ『か、賭け?』


 サデラルの「賭け」という言葉に戦場から目は離ず耳だけを傾けた。


 サデラル『我…考える必要がある。あのマラが…どうして…こうなったのか…』


 確かに、とライラは思った。このままではいずれ倒されてしまう。しかも倒す手段も思いつかない。


 ならば、マラ自身に解決してもらう方がいい。

だから、自分がすべきことは二つ…デミレラを支援し、マラを導くこと…。


 あのマラのような物に糸を通せば…。


 だけど…自分にそんなことが可能だろうか?

それだけの集中力が自分にあるのだろうか?



 そう自信を持てずにいたライラの手に暖かい感触を覚えた。


 レリエル『大丈夫…お姉ちゃんも手伝うから!』

レリエルがそう言って手を握ってきた。


 サデラル『我も…手伝う』


 焦りが顔に出ていたのだろうか…

だけどそんなことは気にしなくていい。僕には仲間がいたのだから。


     ーーーーーーーーーーーーー

 暗い。怖い。なのに暖かく感じる。ここにいたいと感じさせてくれる。そうか。俺は疲れてたんだ。


 未だに過去を後悔して…みんなに嫌われないようにと頑張って…。友達をまた失わないように頑張って…。


 それに疲れてたんだ。ならいっそのこと、この暗闇に堕ちていこう。


 ⭐︎⭐︎⭐︎『そう…それでいい。貴方はそれがいい。

貴方のそれを、私は気に入った。』


 誰かがそう言った気がした。でも、どうでもいいや。

 ここに居続ければそれで…


 その時…微かな青い光を感じた。



     ーーーーーーーーーーーー

 暗闇へと沈んでいくマラを何とか引き上げようとする。しかし、暗闇に沈んでいくのはマラだけではなく、自分もだ。


 ロウドは正直、焦っていた。

このままマラが帰って来なければ、間違いなくこの世界は終わりをむかえるだろう。勘がそう言っている。


 そうさせまいとマラの手を握ろうとするが…

暗闇のせいなのか。自分の体すらあまり動かない。


 ロウド『おい、起きろ!』


 そう叫んでも無意味…決してその声が届くことはない。そして、ロウドもマラも深い深い暗闇へと堕ちて行く。堕ちて堕ちて…そして消える。


 消える消える消える消える消える消える消える消える消える消える消える消える消える消え…


 青い糸がロウドを突き刺した。


 ロウド『これは…』


 ロウドが言葉を続けるよりも早く、青い糸はロウドの中で円形を描き体を突き抜け…マラへと向かった。


 ロウドは感じ取った。自分が暗闇の影響を受けていないことに…


 ロウド『でかしたぞ、後は俺様がやる』


 そう言ってマラの手を握った時、謎の黒い手が現れた。そしてその黒い手はマラを掴み逃げさせないとでも言うように激しく掴んだ。


 ロウド『フッ…俺様の実力を舐めるな!』


 黒い手の力に…ロウドが負けるはずがなかった。


      ーーーーーーーーーー

 デミレラは青い光に導かれていた。


 それは突然だった。突如青い光が導くのをやめたかと思えば、先程まで大量にあったはずの邪気が綺麗さっぱり消えているのだから。


 そして目の前には…倒れ込むマラの姿が…。


      ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎

 ⭐︎⭐︎⭐︎は暗闇に堕ちていく。そして、笑って、泣いて、怒って、こう言った。


 ⭐︎⭐︎⭐︎『いくら、足掻いたって…真実は変えられない

過去から逃げ続ける事はできない。ハハッ!ハハハハハハ…ハ!』


その言葉が妙に耳に残ったんだ。


⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎



次回 ニ回戦開始!

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