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第ニ十六話 君に残した言葉は

 ライラ『ぼ、僕たち…どうしますか?』


 次々と起こる出来事を何とか整理したライラは不安そうに何をするのかと他の仲間たちに声を掛けた。


 サデラル『我も…分からない…だが…』


 ライラ『だが?』


 この場にいたレリエル、ライラ、サデラル、ジノル、メローの内、意識を保てているのはライラとレリエル、サデラルのみ。


 目の前では戦闘が繰り広げられているが、自分たちがあの戦闘に加わることはこの世界のルールのせいで不可能。

 もし、あちらが助っ人を欲するならそれを可能にしてくれればいいが…それが出来る余力がないのか、はたまた自分たちの助けはいらないのか…


 頭を巡らせて最終的にサデラルが取った行動は…


 サデラル『…待つ…』


 待機という形で機を窺うことであった。


       ーーーーーーーーーー


        ーーーーーーーー


         ーーーーーー

 時は第三試合が始まる直前まで遡る。


 ジョルスとモッルネスが第一試合と第二試合の結果について語り合っていた。


 モッルネス『強いなお前…………お前にワンパンで沈められたしまったのは流石に驚いた』


 ジョルス『お前も優勝者だと自称するだけの強さはあったぞ』


 モッルネス『本当か?慰めはいらんぞ?』


 ジョルス『本当のことだ』


 モッルネスはどうやらジョルスの言葉をお世辞だと思っていたようだが、ジョルスはありのまま感じたことを話しているだけで、そこに嘘や遠慮というものは存在しない。

 だからジョルスはモッルネスの問いかけに頷いて答えた。


 モッルネス『第二試合はブッタテの野郎が勝ったらしいな』


 ジョルス『次の相手か…楽しみだな、確かAクラスだったか?』


 モッルネス『あぁ…あの「剣聖」に並ぶ「賢者」がいるクラスだな』


 モッルネスが何気なくその二つの言葉を口に出すと…ジョルスは眉をピクリと動かした。

 ジョルスは溢れそうになる怒りを抑えるために

誰にも聞かれない声で吐き出した。


 ジョルス『何が「剣聖」だ、何が「賢者」だ…友すら救えない奴に大層なあだ名だな』


 モッルネス『ん?何か言ったか?』


 ジョルス『いや、何も』



 モッルネス『……にしても外がやけに静かだな、そんなにつまらない試合なのか?』


 ジョルス『あるかもしれないが…見に行くとするか』

 モッルネス『お、なら俺の部屋に来るか?いろいろあるぞ?』


 モッルネスはジョルスの発言をモニター越しに見る

意味で言ったと思っていたようだが、それは否だ。


 ジョルス『ん?いやいや、直接に見に行くんだよ』


 モッルネス『いやいや、どうやって見に行くんだよ』


 ジョルス『ん?それはもちろん…』


 ジョルスが続けて『強行突破だ』と言葉を発しようとした途端、外が騒ぎ出した。


 モッルネス『おぉ…なんか急にうるさくなったな』

 ジョルス『急ぐぞ』


 ジョルスがそう言って走り出そうとした時、

耳鳴りがした。


 耳鳴りがしたかと思えば、バタリと誰かが倒れた音が聞こえた。


 その音の方向を辿って見れば、モッルネスが気絶していた。


 ジョルスは圧を感じた。どす黒く、生命全てを震えさせる程の圧を。


 ジョルス『くっ…!何が』


 ジョルスは何が起きたか理解出来ていないが、闘技場に向かうべきだと勘がそう伝えてーーーかー


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー『お………』ーー

ーーーーーーーーーーーーーー『おい!』


  ーーーーー『…っち!さっさと起きろ!』


 誰かがそう叫んで必死に俺の手を握ろうとしてくる。誰だ…でも、どうでもいいや、ここには心地良い幸せが存在してるんだ。それだけでいいんだ。


 もうちょっと…眠らせてくれ


 

 彼は黒く覆われたこの世界の中でマラの手を掴もうとするが、⭐︎⭐︎⭐︎はそれを許さない。⭐︎⭐︎⭐︎は彼とマラを深淵へと引き摺り込んでいく。


 彼の…ロウドの自由を持ってしても深淵という未知数な恐怖には敵わない。


 

      ーーーーーーーーーーーー

  


 ジョルス『行くぞ!』


 ジョルスは活を入れるために叫んだ。

 そこにいたブッタテとデミレラはそれに呼応するように⭐︎⭐︎⭐︎に攻撃を仕掛ける。


 ⭐︎⭐︎⭐︎『何してる?無意味、無価値。いや、逆にありか?いや、そんなのないよ』


 そんな⭐︎⭐︎⭐︎の言葉に構うことなくジョルスが腕を曲げ、腰を唸らせながら勢いよく拳を突き出した。


 ⭐︎⭐︎⭐︎『ハハッ、なんてつまらない攻撃、なんて面白い攻撃、実に遺憾です』


 ジョルスの拳を⭐︎⭐︎⭐︎は軽々と右手で受け止める。

ジョルスはその⭐︎⭐︎⭐︎の右手を左手で強く握り締め、掴んで離さなかった。


 その行動が計画通りだったかのようにデミレラとブッタテは素早く動き、⭐︎⭐︎⭐︎に殴りかかった。


 しかし、そんなのは⭐︎⭐︎⭐︎に通用しない。通用するわけがないのだ。


 ⭐︎⭐︎⭐︎はジョルスを蹴り飛ばた。そして刹那の速さで空を切り、二人の背後に立ってその二人の後頭部を握って壁に投げ飛ばした。


 そして⭐︎⭐︎⭐︎は再び動き始めた。動かないナノルサナマに近づくために。

 そうはさせまいと三人は⭐︎⭐︎⭐︎に再び攻撃を仕掛ける。


 ブッタテの盾による突進、ジョルスの力任せの拳、デミレラの的確な攻撃。


 そんな三人の攻撃を⭐︎⭐︎⭐︎は避ける。ブッタテの突進を受け流し、ジョルスの力任せの拳を足を振り上げ地面に叩きつけた。


 そしてデミレラの魔法である『フレイムバイト』に対しては、足を勢いよく地面に落として、地面の破片を浮かせた。


 ⭐︎⭐︎⭐︎『しつこいね、いいね、最悪最高最強』



 ⭐︎⭐︎⭐︎が目を瞑ったかと思ったその瞬間、⭐︎⭐︎⭐︎は『邪気無量』と呟いた。そして⭐︎⭐︎⭐︎から放出された暗闇は辺りを包んだ。


 ジョルス『何も見えない…』


 それどころか感覚すらない。ただし、感覚がなくても分かる…これは


 ジョルス『勝てねぇ、身だけの力では』


        ーーーーーーーーー

 暗闇に包まれたことで焦っていたのはジョルスたちだけではない。観客席にいたライラたちも同義だ。


 レリエル『ね、ねぇ…その…私はビビっていないのだけれど…こ、この暗闇は何!?』


 レリエルは深淵の闇に恐れ、慌てふためいた。


 ライラ『わ、分かんないです』


 ライラはそう言いながら、思考をフル回転させていた。どうすればこの状況を打破出来るのか、どの魔法を使うべきか、と。


 そんなライラであったがその時、ライラは一瞬…暗闇の中に光を…マラを感じた。


     ーーーーーーーーーーー


 『くそっ!思い悩んでても仕方ねぇ!』


 ブッタテ『おらぁ!!ソートロード!』


 ブッタテは感覚がない中で盾【神兵の盾】の武器魔法を使って突進する。

それによって作られた道は光り、偶然か否かその場に触れたジョルスは感覚を取り戻した。


 ジョルス『くっ…これは血?身の血か、手酷くやられたな』


 ジョルスは自分の姿を見つめてそう言いながら、ブッタテの開けた道を辿っていく。後方には光を覆いつくす邪気が迫ってくる。


 ジョルス『ブッタテの開いた道にも限界があるようだな、急がねぇと』



 ーーーー!!ーーーー!ーー暗い何も見えない!

『くそっ!どうすれば…』

ナノルサナマは暗闇の中で無気力に叫んだ。


 積み上がる恐怖心という檻に支配された哀れな小鳥を⭐︎⭐︎⭐︎は楽そうに悲しそうに見つめた。


 そして豪快に嘲笑った。そして、高圧的に耳元で呟いた。

⭐︎⭐︎⭐︎『死ね』


 その時、哀れにも突進してくる男が一人…

何の考えもなしに突っ込んでくる。

⭐︎⭐︎⭐︎はそのブッタテの盾を三発殴って破壊した。


 ブッタテ『嘘だろ!?特注品だぞ!長年愛用してきたのに!』

 ブッタテは唐突な別れに涙を溢しそうになるが、そこは流石にAクラス…なんとか体勢を立ち直しすぐに防御の姿勢に入る。

 

 そのブッタテの背中を踏み台にし、ジョルスが後ろから飛び出した。


 ジョルスは固有魔法を発動して⭐︎⭐︎⭐︎に殴りかかろうとしたが……ジョルスは固有魔法を発動する暇もなく、⭐︎⭐︎⭐︎に足で地面に叩きつけられた。

 ⭐︎⭐︎⭐︎『あぁーもう、本気出せたら一瞬で殺せるのに…雑魚共が…もういいよ!残酷に楽に酷く殺してあげる、フフ』


 ⭐︎⭐︎⭐︎はそう言ってジョルスとブッタテの首を掴み、一言。呟こうとしていた。


 ⭐︎⭐︎⭐︎は先程使っていた『邪気無量』の魔法の効果は無限に邪気を生み出すものだ。

 この邪気というものは、言わば負のエネルギー…そしてこれは外界から来るもので、太古の昔に「第一次宇宙大戦争」にてこれによって苦しめられた過去がある。未だにその影響を受けているなが荒廃の地…サンロールだ。


 そしてその「第一次宇宙大戦争」にて猛威を奮ったのが邪気だ。弱い人間や動物、植物が邪気に触れてしまえば魔物となり、強い人間であったとしても、邪気に触れてしまえば相当な飢餓やデバフを背負う。

 それだけでなく…邪気の分子である魔素も邪気程ではないものの、充分に危険だ。


 今、彼らは夢の世界にいるからこそ、邪気の力に対して何とかなっているのだ。もし、現実世界に邪気を放出されようものなら…


 ⭐︎⭐︎⭐︎『全員…化け物になっちゃうね?』


 ⭐︎⭐︎⭐︎は泣いた。笑った。怒った。喜んだ。


 ⭐︎⭐︎⭐︎は力を最大限に使い、あの言葉を口にする。

⭐︎⭐︎⭐︎『別界同一』


 ⭐︎⭐︎⭐︎の手は光出した。

そして言った。『君たちの死へのタイムリミットは近づいてる…』

 それが、死へと向かう君に残した言葉だった。

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