第二十五話 黒い感情
暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い。
暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い
暗い。
その空間は黒に塗れて覆われている。
その暗闇は俺の精神を不安定にさせる。
俺『あ、ダメだ…誰か助けて!助けて助けて助けて!なんか…おかしいよ!やばいよ!』
自分の心の中にこびりつく⭐︎⭐︎⭐︎の声が聞こえる。
いやだいやだ、と俺はそれに訴えかけた。
だが、⭐︎⭐︎⭐︎はそれに応じない。
ロウド『っち…精神面ではまだまだだな、俺様に…』
ロウドは俺の体にある違和感を感じ取った。
ロウド『ん?』
俺を知らないロウドが近づいてくる。哀れだ。この先の展開を想像するだけで哀れに感じる。いや、何言ってるんだ!
俺『俺は!』
ロウドが俺の体を奪おうとしたので殺そうとした。
でも、それは良くないと思ったのでやめた。そんな自分に腹が立った。止まらない口に快感を覚えた。だから、腹が立ち、その口を壊したくなった。
ロウド『なんだ…これは、このドス黒い何かは!』
ロウドの意識を飲み込んだ。美味だ。辛い。まずい。酸っぱい、気持ちいい。気持ち悪い。
全て救って、満足して、愛して、破壊したい。
久しぶりだね、私の旧友。
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『なぁ、暇すぎるんだが』
『それな…ずっとこのままかよ』
ライラの周りにいる者たちがその余りに長い退屈に苦言を呈している。それもそうだ。体感ではかれこれ半日ぐらい経っているような感じだから。
そんな時だった。観客達の不満に応えるかのように黒い煙が薄まっていき、最終的に快晴となり、綺麗な水面だけが残った。
皆は様々な気持ちを抱え、その黒煙の晴れた場所に目を向ける。
ライラ『あ、あれ?マラさんが…いない?』
ライラ含めた皆がそう思った。あの選手はどうなったのか、そして目の前に立つナノルサナマが何を語るのか…
ナノルサナマ『俺がガンノールを倒した!俺の勝ちだ!』
ナノルサナマはそう高らかに叫んだ。
その声に応えるようにジッキが言葉を発し、デミレラに視線を送る。
ジッキ『一体!何が起こったのか分かりませんが!
ナノルサナマの優勝と言うことで、よろしいんでしょうか?』
デミレラ『まぁ確かにガンノールの存在は感じぬから勝ったことで良いのではないか?』
デミレラはよく分からないと首を左右に振りながら、考えても仕方ないと言った。
デミレラ『だが、このまま終わるのは勿体ないじゃろ、黒煙の中で何があったか話してみよ』
ナノルサナマ『え…あ、あの黒煙を放ったのはガンノールという奴です!奴は!汚い方法で!黒煙を放ち!私めに精神魔法をかけてきたのです!そこで私はその!汚いガンノールとやらを返り討にし!ガンノールを消し炭にしてやりました!』
『お、おぉすげぇ!』
『なんか、もやもやすんな〜』
『おい!これで終わりかよ!つまんな!』
そんなナノルサナマの発言に対し、大きな感心と静かな疑問、そして戦闘を見れなかったことに対する怒りが、この闘技場に渦巻いた。
ライラ『ま、負けちゃったんですか!?』
ジノル『でも、マラって精神魔法なんか使えたっけ?』
レリエル『そもそも、あの人はそんなことしないはずよ!しないよね?』
サデラル『いや…何か…おかしい…嫌な予感が…』
ジノル『嫌な予感?』
サデラルは自分が感じた危機をライラたちに伝える。ライラはそれを聞いて、戦いの場であった場所をもう一度よく目を凝らしてみることにした。
ライラ『黒い?何だろう、あれ』
レリエル『ん?黒い煙は全部消えたんじゃなかったの?』
ライラ『い、いや何かおかしい!あ、ああ、あれは空間の捩れによるものです!』
ライラは大声でそう叫んだ。その声は闘技場にいた観客全ての耳に届き、それを聞いた者たちは声を揃えて言った。
『空間の捩れ?』
その声を聞いた一人の人物がそれに呼応するように言葉を放った。
ナノルサナマ『ど、どういう…』
ナノルサナマがそうやって言葉を続けようとした時にはもう…手遅れであった。
⚪︎○◉✖︎×❤︎⭐︎★☆ー〜、?!。−⬛︎◇
彼は邪悪に身を包み、目は赤く、中に星のようなものを宿らせ、目の強膜が黒く染まっていく。
もう白目の中にあった黒い目は消え、黒目の中に赤い目が誕生した。
『へへ』
それらは混沌としている。そんな空間は彼にとって最高、最悪の相性だ。
だからこそあそこに足を伸ばす。
『つまんな』
面白い、あの空間に足を踏み入れた。
『ナノルサナマだっけ?』
やめてくれ、ありがとう、どういたしまして、感謝しますよ、谢谢、アハハッ、いいね、殺すよ。
創造、崩壊、破壊、誕生、混沌、秩序、支配、自由、進化、劣化、その全てが憎い、愛おしい、どうでもいい。
『見つけた』
彼は邪悪な赤眼でそれを捉え、それを掴んだ。
彼は次第にそれに指を入れ、それをこじ開けた。
愉快にこじ開けた。怒りに身を任せこじ開けた。
ーーーおはよう、アラルデルーーー
ナノルサナマ『な、なななんだ!?』
空間の捩れから突如出てきた人間の手に驚いたナノルサナマは情けない声を上げ、鮮やかな放物線を描きながら尻餅をついた。
マラ?『いいね、ゴミだね、悪くないね』
ナノルサナマ『え、え?』
マラらしき人物は文脈が明らかに不自然な話し方をしながら、一歩ずつゆっくりとナノルサナマに詰め寄っていく……
その大きすぎる圧と共に。
ナノルサナマ『あ、ああぁ』
その圧に押されるかのように、マラらしき人物が一歩進むとナノルサナマは一歩退がる。
ナノルサナマ『お、おい!止まれ!止まれよ!』
ナノルサナマが恐怖に怯えている中、観客席は盛り上がっていた。
『おぉ!いいぞ!やれやれ!』
『おいおい、これで終わりかと思ったが、楽しませてくれるじゃないか!』
その観客たちの熱狂さに、ジッキは待ってましたと言わんばかりにマイクを握り締め、前のめりに体を傾け、その声をマイクに思いっきり投げつけた。
そんな盛り上がる中デミレラとライラたち、そしてナノルサナマだけが、そのマラの姿に恐怖を感じていた。
待ち侘びた観客たちの声にマラが応えることはなく、この後、早々に決着がつく。
⭐︎⭐︎⭐︎はナノルサナマをその圧で舞台から押し出したのだ。
ジッキ『おっと…なんということでしょうか、いよいよ盛り上がりを見せてくれると思ったのですが、ナノルサナマ選手呆気なく場外に出てしまいました』
ナノルサナマ『く、くそ!』
場外に出れば即失格、ナノルサナマは頼まれたことを成し遂げることが出来なかったため悔やんでいる。だが、命が助かったから良いだろうと言う自分もいたので困惑しながらもナノルサナマはその場から退こうとした。
ーー命が助かる?そんなわけないでしょーー
ナノルサナマ『え?』
ナノルサナマの脳に響くような声が聞こえた…その瞬間にナノルサナマは死を感じた。
⭐︎⭐︎⭐︎『生きて死ね』
デミレラ『まずい!』
デミレラは実況席をすり抜け、闘技場に真っ直ぐと突っ込んでいった。
⭐︎⭐︎⭐︎はそれに気づいたのか…顔を180度傾け、ニヤリと笑ったかと思えばすぐに姿を消した。
デミレラ『な、どこに』
デミレラが辺りを見渡しても⭐︎⭐︎⭐︎が見つからない。
⭐︎⭐︎⭐︎『ここだよ、かわいくて、ブスなお人』
デミレラは声がした上を振り向いたが、そこにも⭐︎⭐︎⭐︎はいなかっ…
⭐︎⭐︎⭐︎は上を向いたデミレラの背後に周り、デミレラの背中を蹴り、彼女を空高く飛ばした。
すかさず⭐︎⭐︎⭐︎は宙に飛ぶ彼女の上に飛び、両手を握り締め、地に叩きつけるように両手を振り下ろした。
⭐︎⭐︎⭐︎『たしか…ここって死んでも死なないんでしょ?』
⭐︎⭐︎⭐︎はそう言ってナノルサナマに近づいていく。
ナノルサナマはその発言によって安心した。
この空間じゃ痛みを感じない、だから大丈夫だと、そう考えたおかげで、彼は恐怖心を少しは拭えたようだ。
⭐︎⭐︎⭐︎『この空間だったらね?』
安心したのも束の間、⭐︎⭐︎⭐︎はそう言った。
それは今からそれを行うということを暗示している。
ナノルサナマは再び震え上がる。
デミレラ『くっ!あれに干渉出来ればすぐに解決できるのじゃが、頭が!』
ナノルサナマは何故デミレラは助けれないのかと思ったが、すぐに理解できた。自分に協力を求めたあの者が言っていたのだ。デミレラが干渉出来ない魔法を発動させる…と、
ナノルサナマ『や、やばい!助けて!誰か助けて!』
この時、ナノルサナマは思い出した。
ある一人の糸目男の言葉を。
『黒い煙に覆われているから観客には見えないし、
そもそも別空間に転移してるからデミレラにもバレない、本当の闘技場で普通に戦ってるように見せてるから勘付かれることもない、それにデミレラに干渉させないように予防策も貼ってある』
その言葉を思い出した時にはもう手遅れだった。
⭐︎⭐︎⭐︎『…どう?絶望した?希望を持った?どうでもいいと思った?怖いと思った?』
⭐︎⭐︎⭐︎から次々とくる質問にナノルサナマは答えることは出来なかった。
デミレラ『こうなったら…!奥の手ぞ!』
デミレラが倒れていた体を起こし、奥の手と言う名の夢の削除を行う。夢を正統な手段を使わないで削除させると、夢の中にいる者たちの脳に多少問題が出てきてしまうが…この状況ならやむを得ない。
後で夢に入った者たちの脳を元に戻すのは難しいがそれもやるしなかい。だが、
デミレラ『それは二の次!今はとりあえず夢を…』
その瞬間、⭐︎⭐︎⭐︎はデミレラを睨みつけた。
⭐︎⭐︎⭐︎は気絶するほどの圧を放った。
観客のほとんどが気絶した。気絶しなかった者も、魔法を使えなくなった。
デミレラ『意識がある者もいるようじゃが、観客から闘技場に干渉できないように設定してある、しかも脳が痛むせいでその設定も変えることができない。
このままでは夢を終わらせることが出来ない!
どうすればよいのだ!』
ジクジクと痛む頭を右手で支えながら、思考を回転させ、この状況を打開出来る方法を模索する。
そんな絶対絶命の中で、一人の声が聞こえた。
『援護する!』
そう叫んだのはジョルスであった。
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