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第十九話 仮面レジスタンス


後、第十七話に多々変更点ありです。


 一筋の光が鋼鉄で覆われた体を包み込む。

その光が降り注ぐのは決していいものとは呼べない。彼にとっては絶望そのものであったが、今、彼はその光を心地よく感じている。


 あぁ…暖かい…そうか…私は生存に失敗したのか…だが、あのカードだけはもうすでに仮面様にお送り出来た。計画には一応成功したのだ。


 そんな言葉を並べた男は、彼の…彼自身のものではない、機愛の記憶を思い出していく。


 はは…これが、と嘆息し言葉を発すると、少しの間言葉を詰まらせ、出ないはずの涙を堪えると言葉を続けた。


 35号『走馬灯…ですか』


 35号はそう呟いた。


     ーーーーーーーーーーーーー

 『……』


 一人の悔の感情を示す仮面を被った男が沈黙の空気に包まれながら、まじまじとある資料を読んでいる。


 そんな時だった。見知った真っ白の無表情の仮面を被った少女がその男に話しかけた。


 『仮面レジスタンス、大帝星(エンペラー)悔血(くけつ)様…葬式が始まります』


 少女がそう言うと男は頷きこう言った。


 悔血『あぁ…もうそんな時間か…では、向かうとしようか、少将星(ジェネラル)無女(むにょ)くん』


 男はそっと手に持っていた紙を机に置き、無女と共にその長い廊下を歩き始めた。


        ーーーーーーーーー

 『…ったく、楽夢の野郎…死に急ぎやがって』


 一人の男が苛立ちを隠せないまま、足を床を何度も踏み鳴らした。


 その男の名は


 『鬼面星(デーモン)怒鬼(どき)もう少し落ち着いてくれないか?…なんていうかさ……ハァ…飽き飽きしちゃうんだよね』


 一人の男がその行動にウザいとは直接言わずに

その男の逆鱗を無駄に買わないように言葉を並べた。


 怪金『そう言うな…仲間を失ったのだ、それぐらいは普通だろう?』


 ペスト仮面にそう言われ、その男…悲壮星(トゥレジィク) 悲呆(ひほう)は目を右に逸らし、その口を閉じた。


 そして沈黙が流れる中、剣を突き立てた男が声を上げた。


 『一つ…貴様らに聞きたいことがある…機械星(マシーネ)の行方を知っているか?』


 その男がそう言うと怒鬼は手に持っていた自鳴琴(オルゴール)を回し懐かしい音楽を流した。


 怒鬼『確かに…いつもならぜってぇに顔出すはずなのにいねぇみたいだな』


 憎海『さぁね、どうせ裏切ったんでしょ!憎海がウザいからって理由で!』


 悲呆『自分がウザいって自覚あったんだね』


 憎海『はぁ?憎海はウザくないし、例え話だし!』


 荒喜『相変わらずだな、お前らは、一体どれだけお喋りしたいんだか』


 両剣を携えた女が二人の会話を遠目に見ながら、そう言った。


 『機愛の件もそうだけど…相変わらず、白光星(ライト)は来ないんだね』


 そう言ったのは白い和服を着た優しそうな表情の仮面をかぶった男…妖術星(ソーサリー)優呪(ゆうじゅ)である。


 悲呆『なんなら…称号だけで、名前ですら…情報がないしね』


 悲呆は首を左右に振りながら、溜息をつきそっと

優呪の発言に言葉を添えた。


 怪金『どちらにせよ、いつも来ない暗殺部隊の暗霧(あんむ)でさえ、今日の葬式に来てるのに、来ないってのは確かに不自然だね』


 そんな会話は一人の剣が地面に突き刺さる音によって消滅した。


 『今はそんな話どうでもよいだろう?それよりもだ、なぁ蝶憂(ちょうゆう)貴様は何か知らんか?』


 ライトの話題を断ち切るために、剣を突き立てた男は蒼紅星(クリムソン)の蝶憂に問いかけることで機愛の話題に戻した。


 蝶憂『……』


 蝶憂は戸惑いながらも何も言わずに首を左右に振り、知らないということを伝えた。


 『そうか…サバカル律令国家のスパイである君ならば、サバカル律令国家に向かった機愛の情報を掴んでいたと思ったが…』

 

 憎海『はん!使えないね!』


 憎海は飛び跳ね座っていた椅子を足場にし、仁王立ちになりそう言った。


 『ならば、何かお前は知っているのか?憎海』


 剣を突き立てた男が威圧的にそう言うと、憎海は焦ったように、椅子に再び座った。


 悲呆『…ハァ…情けな…』


 悲呆は毎度のように騒ぐ憎海にまたか、と落胆し


 悲呆『期待してたんだけどな…ハァ…』


 また溜息をついた。


 憎海『はぁあ!?あんた!何様のつもりなのよ!』


 そんな怒る憎海と呆れたように言葉を返す悲呆の

ニ人の戯れを見ていた人達がいよいよ口を開き、その戯れを止めようとした。


 荒喜『まぁ落ち着きなよ、そんな焦ったっていいことないよ?気楽に行こうよ気楽に…』


 そんな緩い荒喜の発言に真っ先に異論を唱えたのは戯れていた二人ではなかった。


 その男は獣の仮面を被り、ジュルルーと鳴きながら、言葉を発した。


 『気楽でいいのは…強い奴…だけダァ、おいそれと逃げた奴ガァ、そんなこと言えると思うなヨォ…ジュルル…』


 そう涎を垂らしながら言葉を発したのは、死んだ楽夢の代わりに同じく九の星についた少女。九の暴獣星(ビースト)狂獣(かくじゅう)である。


 荒喜『ん?あっさりやられた楽夢の弟子が何言ってんだか』


 荒喜は仮面の下でもひしひしと伝わる真剣な面持ちでそう言ったが内心、笑みを浮かべながら、狂獣を煽った。それに対して狂獣は怒った。しかし、それは

自分のことを煽ったのを怒ったのではく…自分の師匠をバカにされたことに対する物だ。


 狂獣『何イィ?師匠の悪口は許さないゾォ…ジュルル……』


 今にも喧嘩が勃発しそうな雰囲気の中で、その集団を細い目で見つめている男…彼は先程話題にも出た、暗殺部隊の暗殺星(アサシン)がボソッと呟くやくように『まだ始まんないのかな?』と、そう言った。


 雰囲気が悪くなる一方であったが…途中、二人の足音が聞こえた。


 その足音が聞こえた十二面星の彼らは口を閉じ、二人が来るのを静かに待ち、来たのを確認すると剣を突き立てた男が会釈し、自らの名を騎士星(ナイト)と名乗り、言葉を続けた。


 敬王『この敬王(きょうおう)…お待ちしておりました、悔血様、無女様…』


 そんな敬王の様子を見るや否や、悔血は懐から何やら黄緑の四角上の宝石を取り出し、それを地面に置いた。


 悔血『今宵、選ばれし仮面の星々が集った。

これより、我が同胞の追悼を行う』


 悔血はそう言って、視線を無女に向けた。

そして無女は何かを感じ取ったのか、ゆっくりと

頷き、紙を取り出して、言葉を紡いだ。


 無女『我が…えぇと、星々を統べる御方からの…お言葉….だ』


 無女が紙を凝視し、言うべき言葉を覚えていないのか、途切れ途切れにそう言うと、先程悔血が置いた宝石が黄緑の光が真っ直ぐ天に向かって伸びた。


 その光やそれによって出来た影は仮面様の威厳を象った(かたどった)かのような、そんな美しさであった。


 そんな景色に魅了される星々たちはさらなる驚きの光景に目を見開いた。


 その光景と言うのは…


 悔血『仮面様より、お言葉だ…口を閉じて、目を瞑り、しかと受け止めよ』


 なんということだろうか、その光から仮面様が現れたのだ。


 そして、仮面様は息を吸い、少しの間黙り込むと…彼は再び息を吸い、追悼の言葉を述べる。


 仮面『楽夢…貴公はよく働き、よい成果を残してくれた。だから…例え、我らの命が消えようとも…貴公の死は無駄にしないと…誓おう…また新たな命として生まれた時、貴公はまた…我々と出会えることだろう…』


 仮面『なぜならば…』


 仮面がその言葉を発すると、ほかの星々は目を開き、その言葉の続きを紡ぐ。


 『我々は同じ終着点に向かう星々なのだから』


 皆がそう言うと仮面様は割れた一つの仮面と対峙し、そして敬意の意を込めて目を瞑り、他の星々と共に一つの星の終焉を見届けた。


         ーーーーーーーーー


      


 また一つの星が終焉を迎えた。


 そんな光景を目にした男…ソルサもかなり瀕死状態にある。というのも…


 ソルサ『天使…これほどまでとは…』


 ソルサは右腕を失い、血反吐を吐き、体中から出血している。


 ソルサ『一応…できるところまで止血はしたが…これだけでは、所詮死を先延ばしにした程度…』


 このままリベルター様の助けを待つという選択肢もあるが…


 ソルサ『リベルター様はそのようなお人柄ではない…』


 そう、リベルター様が助けに来るなどという願いは絶対に叶えられないのだ。


 ソルサ『……本当に…どうするか…』


 そんな思い悩んでいるソルサに一人の人間が…魔の手を近づけ、一言呟いた。


 『フフッ、クフフ…死んでください?』


 ソルサ『なっ!の、脳が!破裂…する!』


 本来なら届かない攻撃だったが、瀕死状態のソルサにとっては絶望でしかなかった。そんな彼に一つの声が聞こえた。その声は直接脳に語りかけてきたかのような声だった。


 『なぁ!俺と!探偵やろうぜ!』 


 『ん?それが契約内容ですか?』


 『違う違う!そうじゃなくって!相棒としてだよ!』


 『は?』


 そうか…最後に思い出すのは、お前か…どうでもいいと思っていたはずなのにな…


 『山田探偵事務所なんてどうだ!』


 『貴方の名前をくっつけただけじゃないですか』


 『え〜駄目〜?』


 『んぐっ…まぁ悪くないと思います』


 あぁ、


 『所でお前って何を司る悪魔なんだ?』


 『ガリシア料理です』


 『ん?もう一度』


 『ガリシア料理です』


 『え?』


 つくづく…


 『ハハッ情けないよな、お前に散々死ぬなって言ってきたのに、俺が先に死ぬなんてよ…』


 悪運の強い…


 『探偵事務所のことは頼んだぜ…相棒!』


 人生…


 『吾輩の下僕になれ…さすれば…山田くんを蘇生させてあげるよ!まぁもう一生、山田くんとは出会えなくなるけどね!』


 だった………


 魔の手はソルサの頭を掴み、メキメキと音をたてながら、徐々に力を入れていき…いとも容易く彼の頭を握り潰した。


 その魔の手を操っていたのは悪魔崇拝教団の大司教を務めるゾゼルであった。


 そんなゾゼルは、顔の向きを変え、ある一人の男に

言葉を伝えた。


 ゾゼル『いくら、貴方と言えども…自分自身の手を血に染めないのはいくらなんでも…酷くありませんか?…クフフ…まぁ私は楽しかったので良かったのですけれど』


 その男というのはリベルターという存在を誰よりも崇めている信者であり、枢機卿であり、リベルターからのお言葉を受け、前々からここに身を潜め、着実にソルサの命を狩る準備をしていた…漆黒に包まれた目を持つルウネロウであった。


 ルウネロウ『……』


 ルウネロウはそんなゾゼルに何も言わずに背中を向け、帰るぞ…とでも言ってそうな眼力で見つめてきた。


 ゾゼルはクフフと不敵な笑みを浮かべ、ルウネロウの辿る道を進んだ。


    ーーーーーーーーーーーーーーー


      ーーーーーーーーーーーー


        ーーーーーーーーー


 やぁどうもみんな疲労のせいか、ぶっ倒れたマラ・ガンノールだよ!


 誰に向けて言ってんのか分かんないけど…

そんなことよりもだ。俺があのループを終わらせ、機愛との戦いを終えた後の出来事を知る必要がある、と思う。ノルマレスから貰った手紙には…。


 ノルマレス『教会の件のせいで、この国は大騒ぎだったんだよ?あのループの出来事を君だけじゃなく、みんな覚えていたんだよ。どちらかと言うとそのループの記憶を思い出した。と言う表現が適切かな』


 どうやらそのようなので賢者のノルマレスがまたもやその記憶を消したらしい。流石『賢者』と言った所だ。それがいいことなのか、俺には分からないが。



 そうして、ループの出来事を覚えているのは俺とロウド、リベルター…あとどうなったか分からないソルサさんや機愛のみとなった(はず)。後は俺たちが体験した出来事を聴いたノルマレスもだな。


 ちなみにだが。ヒィセスさんは機愛とやらが作ったものらしいのだが、未だ営業中らしい。(まぁ、あくまで作ったのが機愛ってだけで、それを使ってるのはまた別の会社だからな)


 先ほど前述した内容はヒィセスさんから届けてもらった手紙による物です。



 俺『にしても…いろんなことがあったな…てか、ありすぎじゃね?』


 確かにサーカスでの戦闘に、神殿での戦闘…教会でのループにまた戦闘…思えばこの数日間いろいろありすぎた。元の世界にいた時はこう言うのを待ち望んでいたと言うのに…いざ、そうなってみると…。図々しい話だが、元の世界でゲームしてた方がずっと気楽だ。


 だが、まぁ来てしまったからには、とことん遊び…いや生きていかなければならない。ちなみに、スエルスたちは神話教会の本部がある国に戻ったらしい。


 ということで…


 俺『寝ま〜す!!』


 俺は難しい考えを放棄し、また明日考えらばいいと言う逃避を行なってぐっすりと眠りについた。


   ★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 一人の少女が一人の男をまじまじと見つめている。


 その二人と言うのは無女と悔血である。


 流石にその様子に不思議がったのか、悔血が無女にどうしたのか?と問うた。


 無女『いや…なんだか…いつもの悔血様じゃなかった?…感じがした…何か……嫌な事でもあった?』


 悔血『仲間が死んだのだ…当たり前だろう?』


 そう言う悔血に無女は首を振り、


 無女『ううん、それだけじゃ…なかった…』


 どこか確信を持ったかのように話す無女に悔血は君には敵わないな、と呟き…先ほど見ていたあの報告書の内容を思い出す。その報告書には、楽夢を討ったとされる者達の情報があった。


 悔血はそれを見るまで、そのような運命を辿るはずがないと…鷹を括っていたが…


 悔血『マラ・ガンノール…つくづく上手くいかない物だな…全く運命は忌々しい物だ』

次回 学園生活再始動



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