第二話 ロリ婆からのご褒美
…ん?…あぁ俺死んじまったのか……
まだこの世界のこと何も知らねぇのに…嫌だ…死にたくねぇ!死にたく……。
ペシン!!と、随分とはっきりとした音が聞こえた瞬間、強烈な痛みが俺のほっぺを襲った。
俺『痛っ!?』
ネルエ『さっさと起きろ!人間!』
俺『お、お母さん!?な、なんだよいきなり!』
ネルエ『は?お前のお母さんな訳ないだろ』
ミネルネ『流石にやりすぎじゃ、ネルエ』
ネルエ『……』
ネルエは、不満そうな顔をしながらこう言う。
ネルエ『…なぜ人間を生かすんですか!いくら命の恩人であるミネルネ様といえども理由を聞かないと納得できません!』
ミネルネ『簡単な話じゃよ、わしがこいつは大丈夫だと思ったからじゃ』
ネルエ『そ、そんなので納得できるわけ……』
ミネルネ『まぁわしの言うことが納得できないのならここでわしと戦ってわしをひれ伏せさせても良いのじゃぞ』
ネルエ『…………そんなの…………』
ネルエは自分の頭をかいて悩む。
ネルエ『はぁ…酷い姫ですよ、そういうふうに言われたら従うしかないじゃないですか……』
ミネルネ『ウワハッハッハッハッ!そうじゃよ。わしは、傲慢で酷い姫じゃから受け入れるしかないんじゃよ!』
ネルエはその笑顔を可愛いと感じた。………だが、その気持ちはそっと奥にしまった。
ミネルネ『さてと…』
ミネルネがそう言ってこっちを向く。
ミネルネ『マラよ、そろそろ元気になったかのぅ?』
俺『あぁうん、えっとそれよりあの後どうなったんですか、俺の腹突き刺されたんですけど…』
ミネルネ『そうかなら次にお主が気絶した後どうなってお主がなぜ生き返ったのかそれを話そう』
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ミネルネ『くっ!とりあえず撤退じゃ!こんなところにいたら皆を死なせてしまう!』
ネルエ『仰せのとおりに!』
その時、騎士の鎧を着た人物が勢いよく上から飛んできた。
謎の騎士『おいぃおいぃ、そう簡単にはぁ、帰らせねぇ!てめぇら人外は皆殺しだぁ!!』
謎の騎士は逃がさない、と言わんばかりの剣幕でそう言う。
ネルエ『クソ人間が!!』
ネルエは弓を引き、謎の騎士の頭を射抜こうとする
謎の騎士はネルエの放った矢を受け止め、こう言う。
謎の騎士『おいおいぃ酷えなぁ俺にはぁテンセルってぇ名前があるんだよぉぉ、まぁぁ近衛剣士団副長と呼んでくれてもかなわないがなぁ!』
ミネルネ『死ぬがいい!フレイムノウ!!』
ミネルネがそう叫ぶ。
テンセル『おいおいぃ人の話をぉ聞こうぜぇ』
ミネルネはテンセルの言葉を無視してそう叫び、赤く照り輝いた火球をテンセルに向けて放つ。
テンセル『いいねぇえ!今までぇ王しか守って来なかったからなぁやっとぉ殺せるぅ!!久しぶりにぃ燃えてぇきたぜぇ!!』
2本の突撃槍【真実の槍】を持ちながら、そう言う
テンセル『俺のぉこの攻撃ぃをすべて受けきれるぅかなぁ?』
テンセルは槍の先をミネルネたちに向け、そう話して攻撃態勢に入った。
(あれを使うとするか…)
ミネルネは、二つの鎌【炎血の鎌】を出現させた。
ミネルネ『ブラッドソウル!』
二つの鎌に大量の波動を収束させ、テンセルに向けて鎌を振り、血の波動を解き放つ。
ミネルネ『はぁぁ!』
テンセル『これだよぉぉ!これぇ!!』
テンセルは、【真実の槍】を地に突き立て波動を受け止めた。
テンセル『暴けぇ!真実の槍ぃ!!』
テンセルが【真実の槍】を構え何かの光をミネルネとネルエに当たる。
テンセル『見えたぜぇ?てめぇらの魔法がなんなのかぁ!!そこのぉエルフはぁ?しゅんか…』
その瞬間にネルエが口をあけて『瞬間転換!』と、叫んだ。
そうするとテンセルが消えて、そのテンセルがいた場所にキノコが現れる。
ネルエ『逃げましょう!姫様!』
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ミネルネ『ということがあったんじゃ』
俺『へぇ、てか瞬間転換ってなんだよ。フレイムノウってなんだよ。テンセルって誰だよ』
ミネルネ『まぁそれは、おいおい話すとして、
まずは、お主に謝らなければならない』
俺『ん?なんで?』
ミネルネ『お主を生き返らせるためとはいえ、なんの許可も得ずにお主を眷属にしてしまったことじゃ』
ネルエはその発言に対してものすごい顰めっ面をしていた。
(何故人間なんかが!この眷属第一号であるネルエでさえミネルネ様にあんなことされたことないというのに!!もしもこれで「許しません」とか言ったら殺すからな!)
忌々しい人間!とネルエはそう心の中で怒りを露わにする。
俺『なんかすごい圧を感じるが…』
ミネルネ『お主を助けるためじゃったんじゃ。
あの場には、回復魔法を使えるものはおらんかったし』
(回復魔法ってあれだよな体の傷とか治るやつ)
まぁつまり何だ。俺は吸血鬼様の下僕になっちゃった訳ですか。
俺『まぁ別にいいですよ。死ぬよりは、マシですから』
ミネルネ『そうかありがとう』
ミネルネは、手を差し出す
俺『いえいえこちらこそありがとうございます』
俺は、身長を合わせるために膝をつき、その小さな手を掴み握手した。
ものすごい怒りの感情をネルエから感じたが俺は、気にしない
これは、ちょっと、ちょーとだけだがロリ婆の眷属になったのは、ご褒美だと思ってる。
ていうか普通ならそうなるだろ
こんな白髪美少女。あ、俺ロリコンではないからね!?
ま、そんなことは、さておき。
俺『ちなみに眷属にされたことで、何か身体的なものは、変わらないんですか?』
ミネルネ『そうだな、それも話さなければならん』
俺『あ、ちなみに俺この世界のこと何も知りませんので異世界人なのでお願いします』
ミネルネ『む、そうなのか』
ネルエ『お前異世界人なのか!?』
え、何?もしかして異世界人は、生きてちゃいけないとかある?
うわぁミスった〜これ、殺される?
ミネルネ『まぁ今は、気にしなくてよいぞ』
何それ超気になる反応…いや、今はそんなことよりも!
俺『じゃあまずは、魔法について聞いていいよな……』
鋭い視線が俺に突き刺さる。誰の目線かは何となくわかる。
俺『…いいですかな?』
ミネルネ『そうじゃな、魔法は、おおまかに5種類あるのじゃ』
普通魔法、固有魔法、武器魔法、影響魔法、魂装魔法。それらを使うためのエネルギーである「魔力」があるとのことだ。魔力はそこら中に漂っていて、空気みたいなものだそうだ。俺たちはそれを吸い込み、体の中にある魔法の器の中に保管しておくらしい。場所によっては魔力が少なく、魔法が使いにくい所もあるそうだ。
また、どうやら魔力を一気に放出すると魔力切れという症状を起こすらしい。滅多にないことらしいが…。
ミネルネ『説明するより、実践してみるのが早いじゃろう』
ミネルネはそう言って手を前に出し、『フレイムノウ』と言って炎を出現させた。
ミネルネ『まずは、普通魔法じゃ。ミネルネが発動させた〈フレイムノウ〉のように魔力と知識させあれば発動できる魔法じゃ。』
ネルエ『次はわたくしめに…』
ネルエ『瞬間転換!』
そう言うとネルエの前にあった本が一瞬で石に変化したように見えた。
ミネルネ『これが固有魔法じゃ。自分にしか使えないという訳でもない魔法で、生物なら必ず1つ以上持っているらしい。例で言うとさっきのネルエの瞬間転換みたいな魔法じゃな』
ミネルネ『続いて…いろいろあるのじゃが、簡単な説明をして、後は慣れていけばよい』
ミネルネ『そして眷属になったことでお主には、
自動回復(劣等版)の固有魔法を得た。ちなみにこの固有魔法は自分が無意識下でも勝手に回復を行うから、気をつけるんじゃぞ、それともう一つ呪いのような魔法…まぁさっき言った影響魔法なんだが、わしの言うことに反抗できないようになっておる』
俺『え、』
ミネルネ『安心せい、反抗できないだけであって意見はできる。何よりわしが意識しなければそもそも発動せんしの。あ、ちなみに身体的な変化だがお主の腹は、痛覚を感じなくなっておる。一応、自動回復で治っておるがな…』
俺『へぇそうなんですね理屈はよく分かりませんが…』
俺はお腹を触りながらそう言った。
ミネルネ『ところでお主はこれからどうするのじゃ?』
俺『え?』
ミネルネ『いや何、気になったから聞いただけじゃよ』
(目標ってことかぁまぁやりたいことと言えば
この世界を隅々まで探検したいってことだけど…流石に武の基礎すら知らないのに流石にそれは危険すぎるよなぁ)
俺『訓練とかってしてくれますか?』
ミネルネ『まぁ流石にタダとは、いかんが』
俺『条件は?』
俺は、前のめりになってそう聞く。
ネルエ『おい、おまえ急に馴れ馴れしいぞミネルネ姫様にぶれ…』
ミネルネは、手を上げネルエの言葉を遮った。
ミネルネ『別に良いぞ』
ネルエ『は、はい姫様がおっしゃるなら』
ミネルネ『条件はここで執事とした働くことじゃ』
働く!?まじかよ!しかも執事……。
俺『えーと、でも僕執事とかやったことないですけど…』
ミネルネ『安心せい、ちゃんと教えてやる。ネルエがのぉ』
ネルエ『え!?ほ、本気ですか!?』
俺『教えてくれるんでしたら遠慮なくやらせてもらいます』
ネルエ『い、嫌ですこんな人間などと…』
ミネルネ『わしの言うことは〜!』
ネルエ『え、え?』
俺『絶対!!』
ネルエが困惑していたので言ってしまった。
ネルエ『は、はぁ……?』
ミネルネ『ほらほら行った行った』
ミネルネは、そう言って困惑するネルエを、無理矢理医務室の外に出す。
ミネルネ『マラ、苦労すると思うが悪い奴じゃないんじゃ』
俺『別にいいですよ、慣れてるんで嫌われるのは、』
そう言えば俺の名前ってマラ=ミネだったな忘れてたわ。
ミネルネ『!!そうなのか…すまない』
俺は、ミネルネの謝罪を無視して、元気に言う。
俺『じゃ!お願いいたします!ご主人様!』
ミネルネ『うむ』
俺は、医務室の扉を開けて長い廊下をネルエに誘導されながら歩いていく…そして沈黙が続くこういうのは、まず相手の出方を見る無駄に相手を刺激させるとそれこそ本当に嫌われてしまう。(経験者は語る)
だからこの沈黙を維持する。ネルエも話すつもりないみたいだし、別に問題ないでしょ。そう考えてると
ネルエ『お前は…』
唐突に開いたネルエの口を見て、
俺『え?』
と、思わず口にしてしまった
ネルエ『いや、なんでもない。ここが更衣室だ』
ネルエは、そう言って指を指す
俺『あ、あぁはい』
ネルエ『お前は、入って右の前から2番目に青色の
石が置いてあるそれに触れて、そこでワープするはずだからそこで着替えろ』
俺『はい!』
ネルエ『ちなみにミネルネ姫などのようなお偉い様方には、「承知致しました」と言う。分かったか?』
俺『え、でもどうやってお偉いさんってわかるの?』
ネルエ『ミネルネ姫のような服を着ている人達だ』
俺『なるほど』
たしかにミネルネが着ている服は、ザ・貴族って感じの服だったしな
ネルエ『今日は、もう寝ろ詳しいことは、明日言う。ちなみにここがお前の部屋だ』
そう言って地図を取り出し指で場所を指す。
ネルエ『持っていけ』
俺『あ、ありがとう』
ネルエ『…』
ネルエは、何も言わずに立ち去る
う〜んここをこ〜行って〜
俺は、地図を確認しながら歩く。
俺『てか、でっかいなこの…城?でいいのか?、内装が豪華すぎるだろ』
そう言って角を曲がろうとしたとき
ドン!!と、誰かとぶつかり合い、倒れ合う
『いてて大丈夫?』
俺『いてて、大丈夫ですよ!すみません!』
『そうそれは、よかった。私のせいで怪我なんてしてほしくないしね』
『じゃ!私行くわ!』
俺『え、あ、はい!』
赤色の髪の毛か…染めてんのかな?それとも地毛?
まぁいいや。さっさと部屋に入って寝るとしよう。
地味に痛かったし……
そう思いながら俺は、部屋に入り、
ベッドに倒れ込み、まぶたを閉じる。
次回 一目惚れ