第五話 楽しいサーカス
ノルマレスが愉快な地に足を踏み入れる。
ノルマレス『到着〜!』
ジノル『お、ついたついた!』
地味に長い道のりだった。だが、俺たちはやっと辿り着けたのだ。
ノルマレス『じゃ!入る前にみんな自己紹介しとこ!』
ジノル『そうだね…じゃ!僕から!』
ジノルはそう言って挙手して言葉を続けた。
ジノル『Bクラスのジノルと申します!』
ノルマレス『じゃ、こっから円になって時計回りで行こうか!』
1人1人で円を作り、そしてジノルの右隣にいた奴から自己紹介を始めた。
ナオマ『Sクラスのナオマです』
サミナ『Sクラスのサミナと申しますわ!』
いつも通りの2人に続き、次に自己紹介したのは
チャイナ服を着た女の子であった。
チャイナ服『Aクラスのミムミムなのね!よろしくなのね!』
その予想通りの喋り方の後に続いたのはあの忍者男であった。
忍者『拙者!忍者ザガマルと申し候!』
そんなちょっとおかしそうな忍者の後に続いたのは
狐耳の男であった。
狐耳『本来ならば自己紹介なぞ、面倒だがノルマレスがおるのだ。特別に自己紹介してやるぞ。こちはAクラス所属のメルモールと言う。覚えておくといい』
うわ〜こいつめっちゃウザそうだな〜
なるべく話すのやめとこ、と俺は心に誓った。
ノルマレス『僕はAクラス!ノルマレスだよ!』
レリエル『同じくAクラス!レリエル!よろしくですわ!』
ライラ『同じく!Aクラス…ら、ライラです!』
俺『Sクラスのマラ…』
そしていよいよ自己紹介は残すとこ最後の1人と
なった。
『ぽんぽこ!ぽんぽこぉ!Aクラスのポンポ!』
身長の小さい狸っ子の自己紹介も終わり、いよいよ
赤と白の入り混じった巨大なサーカステントへと足を踏み入れたのだった。
そして、俺たちはそのサーカステントでいろんな物を買った。ポップコーン、飲み物などなど。
俺『ま、こんぐらいあれば問題ないでしょ!』
ポンポ『何買ったの?ぽん!』
ぽんと発した際に両手を合わせて手を高くのばした。その様に俺は思わず微笑んでしまった。
ザガマル『うわ、気持ち悪い顔でござる』
俺『いや、酷ッ!』
そんな会話をしていた俺たちの後ろではノルマレスたちが会話していた。
メルモール『いやはや、あの賢者に会えるとはこちも嬉しいかぎりでございます』
ノルマレス『やめてよ…賢者なんて!』
口ではそう言ってもまんざらでもないような顔をしていた。
サミナ『そんな謙遜しなくてよいですわよ!』
ライラ『そ、その通りです!ノルマレスは素晴らしいですから!』
ノルマレス『え、え〜?やめよ〜照れるな〜』
何かよく分かんないけど、メルモールがキレた。
メルモール『口を慎めよ…Sクラスのゴミ』
サミナ『え?それわたくしに言っているのですか?』
メルモール『こちは、貴方みたいな野蛮人共が
大嫌いなのですよ』
サミナ『な、何ですって!?』
ナオマ『まぁまぁ落ちついてください短気なお嬢様』
メルモール『ふん!これだから野蛮人は…何が
ノーシティヤ一家だ!あんなの何もかもがゴミで
気持ちの悪くて汚い貧乏一家だ!』
ノルマレス『メルモー…』
ノルマレスがメルモールの名を呼ぼうとした途端、ナオマが怒りを露わにする。
ナオマ『あなた…今なんて?』
メルモール『ふん!気持ち悪くて汚い貧乏一家だと言ったのですよ!』
ナオマ『死ね』
ナオマがそう言うと、ものすごい速さで剣【従忠の剣】を出現させ、音を置き去りにする速さで半月の弧を描くように振り下ろした。
だがメルモールも負けずと対抗しようとを人差し指と親指で受け止めようとする。
それを止めるべく、ノルマレスが中に割って入り、
サミナがナオマを止めようとした。
ナオマ『どいてください…ノルマレスさん、
バカお嬢!』
サミナ『ナオ!いくらなんでもやりすぎですわ!』
メルモール『ふん!あの程度の攻撃なぞ、こちは
簡単に止めれる!』
ノルマレス『メルモール…君はちょっと口を慎んだ方がいいよ…』
ノルマレスはメルモールを睨みつけた。
メルモール『………ふん!』
メルモールはそっぽ向いた。
そして、騒ぎに気がついたのかぞろぞろと人が集まってくる。
『なんだ?何があったら』
『あれ?もしかしてあの人…ノルマレス様!?』
その騒ぎにやばいと感じたのか分からないが、途端にノルマレスは目を瞑り、うっすら聞こえる程度に
呟いた。
ノルマレス『記憶消去』
そうすると、
『あれ?俺ここで何したんだっけ?』
成人男性は思い悩む表情をしたが、
『……ま、いっか!』と言って陽気に会場に
向かって行った。
そして、たちまち他の人々も何事もなかったように歩き出した。
ライラ『さっすが!ノルマレス様!』
ノルマレス『…ねぇ、メルモールくん…僕たちはわざわざ喧嘩をするためにここに来たんじゃないよ。みんなと仲良くなるために来たんだよ。分かる?』
メルモール『……』
メルモールは何も言わず会場に向かった。
ナオマ『おい、謝罪の1つもなしかよ…間抜けだなお前』
メルモールはその挑発には乗らず、歩きを止めなかった。
ナオマ『……』
ナオマはものすごく睨みつけている。そんな様子に見兼ねたのかサミナがナオマの耳を引っ張った。
サミナ『ナオ!いつまで怒ってるんですの!?
それじゃあ、わたくしよりバカになってしまいますわよ!』
ナオマ『!?』
ナオマ『……バカなお嬢様にしては正しい判断ですね』
ナオマはそう言って矛を収めた。
その状況を見た2人は呆れていた。
ミムミム『最初から険悪ムードなのね。最悪な空気感なの』
ジノル『確かに』
そんな2人に割って入ってきた人が1人。
ジロル『え、え〜と何かあった話ですか?』
ジノル『うわぁ!!』
ジノルは思わず大声を上げた。
ミムミム『急に現れるのは心臓に悪いなのね』
ジノル『今まで一体どこに?』
ジロル『え〜と朝からお腹が痛かったので、たくさんお花をつみました』
ジノル『お、おうそうなのか』
そして俺たちはそんな会話をして、会場に向かった。
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ボン!という音と共に壮大な音楽が流れ出して、世界を作り込んでいく、楽器ひとつひとつが世界に協調していく。その世界は美しく面白い…まるで経験したことのない景色がある。虹のいろどりで見たことないほど美味しそうな木、幻想的な紫の空、きらきらと輝く川などをたくさんの楽器で表現していく様はまさに
オーケストラでも聴きに行っているかのようだった。
そして、音楽はいよいよ最後の盛り上がりを迎え、それと同時に1人のピエロが出て来た。
そのピエロは笑顔のまま裏声で、全体に響く声を
発した。
『やぁ!皆さん!今回はこのサーカスショーに来てくれてありがとうぅぉお!』
そしてそのピエロは愉快に1個赤い球を右手で高く上げ、空に舞う。それと同時にまた1個右手で高く上げ、最初に投げた1個の球を左手で取る。
それを連続させていく。その姿はとても陽気で
見る人見る人が笑顔になっていく。
それは俺たちも例外でなく、見てたほとんどの奴らが笑顔になっていた。
『それでは…次のショーは!ライオンによる
火の輪くぐりショー!!』
おーあれだな…なついなぁ……小学生の時あいつといっしょに…見に行った…な。
俺がそんなことを思い出していると、
最初のピエロとはまた別のピエロが出てきた。
『やぁ〜!皆さん!私!今からこのライオン君と
いっしょに火の輪をくぐろうと思います!』
俺『ん?』
俺は今の言葉に疑問を抱いたが、気のせいだと
思い、黙って見ることにした。
ジノル『どうかした?』
俺『いや、何でもない』
レリエル『叫ぶなら、静かにお願いしますわ!
私まで同類だと思われたら困りますから!』
俺『いや…そんなつもりないから』
そんな些細な会話をしていると…わ!と、歓声が沸き上がった。
サミナ『ねぇねぇナオ!今の観ましたか!?
いっしょのタイミングでしたわ!!』
ナオマ『はいはい、分かってますから少々静かに…
バカが進化してしまいますよ』
サミナ『!!…それもそうね。騒ぐのはやめとくですわ!』
メルモール『……』
メルモールはそんな2人を見て、思い悩んでいるようだ。
そんなメルモールにノルマレスは喋りかけた。
ノルマレス『ねぇ…仲直りしたいんでしょ?助けてあげようか?』
メルモール『こちは貴方に助けてもらうほど、落ちぶれておりません!』
ノルマレス『そう?…ま!その話はこのショーが
終わった後で…』
メルモール『……』
俺はそんな会話していたのが聞こえたような気がしたが、そんなことよりも、と目をショーに釘付けにさせた。
『次はもっと小さく〜!』
そう言うと輪っかの大きさが直径1mほどの物に
なっていく。
ライオンとピエロは息を合わせ、ピエロが右足を出すなら、ライオンは右腕を前に出す。このようにして、テクテク!と走っていく。
そしていよいよ輪っかのすぐ前…1匹と1人は息を合わせ、同時に飛び立つ。1人は上に一匹は下になるべく体を細くして、トルネードのように回転して、
輪っかを跳んでくぐり抜けた。
そんなすごい光景を見て、そんじょそこらから歓声が沸き上がった。
ポンポ『すごいのら!魔法も使ってないのに!』
ジノル『え?使ってないのか?』
ノルマレス『うん…あれは魔力の痕跡がないし、
魔法なんか使ってないだろね』
ジノル『え!?すご!!』
ジノルは驚いた顔をして、思わず感嘆の声を上げた。
そんな時だった…突如、光を灯していた電灯が消えた。
その突然な出来事に他の観客はパニックになっているようだ。
ザガマル『な、なんじゃ!?なんでござる!?』
ノルマレス『落ち着いて…僕が今調査を…』
ノルマレスがそう言って地面に触れようとすると
いきなり光を取り戻した。
俺『う、うわ!急についた!』
俺はそう叫んで会場を見渡した…すると…そこに
1つ何か糸のようなものによってぶら下がっているものが見えた。
それが何なのか確認するために近寄ってみる。
俺『ひぇ!し、死体!!?』
そんな俺の声を聞いて、学園の面子は俺の方を見て、他の観客はますますパニックになっている。
文字通りの楽しいサーカスは、死のサーカスと
なってしまった……
次回 死のサーカス




