06 狩りの成果
「ありがとうございました、英霊様。これで草原も少し安全になります」
換金アイテムと明示されていたウサギの毛皮と野犬の牙、それに俺達にはおそらく不要な食品分類のウサギの肉を冒険者ギルドの受付に納めると、そんな言葉と共に受付嬢は俺たちに金を手渡してくる…それは一人頭でも初期所持金を大きく上回る金額だった。
「うわ…早速武具の更新できるかもな、これ」
「まあ、講習を受けていなければ初期資金でも買えるくらいの額だった様だから、ブロンズ製のショートソードは…何人か木剣でなく鞘付きの剣を持っていた」
「私たちも杖の更新する?」
「価格次第では…な。一度ヴァルハラに戻ってみてみようか…そうそう受付さん、MPを回復できるアイテムが欲しいのだが、売っている場所は教えてもらえるかな?」
「英霊様用の霊薬という事でしたら神殿か天界でご購入下さい、下界で一般に販売されているモノは受肉されている方にしか効果がありませんので」
「…わかった、どちらにせよヴァルハラに戻る必要があるか…ありがとう、受付さん」
「はい、またのお越しをお待ちしております」
という事で俺たちはヴァルハラエリアに戻るために神殿を訪れ、特に何事もなく転移した。
「さて、案内役からはポーション…霊薬というのだったか…の説明がなかったが…とりあえず武器庫を訪ねてみるか」
「そうだな、最悪そこで聞けばいい」
俺たちは神殿隣の武器庫を訪れる…そこは人の出入りの割にガランとしていて、やはりインスタントエリアらしい。
「いらっしゃいませ、英霊様、こちらでは武具の販売を行っております」
「霊薬も扱っているかな?」
「はい、もちろん取り扱っています」
「わかった、ではまずショートソードと杖を見せてもらえるだろうか、杖は妖精用も含めてほしい」
「承知しました…ご予算はいかほどでしょうか」
そう問うてくる受付の天使に俺たちはそれぞれ予算を告げる。
「そうですね、でしたら剣はブロンズソードをお売りできますが、杖は初期装備の木の杖のみとなります、回復薬はお売りできますが…申し訳ございません」
「了解した、ではブロンズのショートソードと回復薬を見せてくれ」
「はい、かしこまりました」
そうして天使は1振りの青銅製らしいショートソードといくつかの瓶を持ってきた。
「まず、こちらがブロンズ製のショートソードです、手に取ってみてください」
そう促されて俺はその剣を手に取った。
「うん…これくらいなら少し慣らせば自由に振れそうだな」
重さを確認し、それっぽく刃がまっすぐであるかなどを確認していく…さすがにこの場では振らないが。
「うん、多分、大丈夫」
「無論でございます…さて、こちら回復薬でございます…HPポーションIは神殿の方で所有数3つまで支給されますが、それを超えるポーションを所有したい場合、お売りできるのはこちらになります」
そう言って天使は価格と回復量の記載された5つの瓶を並べた。
「こちらから、HPポーションI、II、IIIとMPポーションI、IIとなります。ご予算でご購入頂けるのはこの範囲ですね、妖精用も同額となります」
「む…MPポーションは結構するな」
「はい、コレでも神々の霊薬の一種ですので…普段から常用されるモノというよりはいざという時のお守り程度に思って頂けるとよいかと思います、連続使用に制限もございますので」
「わかった、では私はMPポーションIを2本貰おう」
「私もそれで―」
「俺はとりあえず支給分だけでいいや」
「はい。了解しました」
俺たちはそれぞれの買い物の代金を支払い、商品を受け取った。
「アーそう言えば、だがまさかペットもここで買えたりする…のか?」
「はい、武具の一種ですので…まあこちらでお売りできるのは軍馬、猟犬、鷹、スケルトンだけですし、かなり高額となっております」
そう言って提示された金額は、今はとてもではないがまだ手が出ない金額だった。
「…サモナーってこれだけ高額の金銭を稼いで始めて意味が有るのね…」
「いえ、必ずしもそうではありませんよ…詳しくは資料室をお探しください」
「わかった、ありがとう…と言う事で資料室に行かないか?」
ステップが眼を輝かせてそう言う。
「アー俺は訓練所で少し新しい剣の慣らしをしたい」
「私はペットの事だし、サモナーとしては資料室かなー」
「うむ、ではそれで行こう…スキル修練所だな」
俺達は連れ立ってスキル修練所に向かった。
一人で暫くの間、剣を振って感覚を確認した俺は資料室へと向かう…すると入口でステップ達と合流するか否かを聞かれたので当然合流することにして資料室に入室した。
「何かわかったか?」
「ああ、リョウか。丁度だな…なかなか有益だったぞ」
「ねー」
そう言ってステップとトエルが教えてくれた事によると、特定の魔物からごく稀にドロップする○○の魂というアイテムを持って天界の神殿に行くと比較的安価な手数料だけでペットを手に入れられるらしい。
「しかも、コレはその事実を知る事でドロップしやすくなる類のアイテムらしくてな…もったいない事をした」
と、ステップがやれやれと肩をすくめる。
「えっ…てことはもしかして野犬って…」
「ああ、野犬は魂を落とす上に、割と簡単に猟犬に進化するらしいのだ…また野犬狩りだな」
「まあ、スキル上げと剣の試し切りには丁度いいけどさぁ…」
「がんばろーね、できれば何匹分か欲しいよね」
「さてそろそろいい時間だし、一度解散としようか」
「はーい」
「わかった、それじゃあ夕食後に」
そういう事となり、俺達は一度ログアウトして夕食を済ませることにした。