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18 初ミッション2

「それでは、こちらをお持ちください、英霊様方。民の事をよろしくお願いいたします」

そんな言葉と共に転移すると、俺達は昼間の街道にいた。

「…農村に転移、じゃないんだな」

「マップによると…徒歩で1時間と言った所だな…」

「そー言えば『敵本隊到達までに農村に到着し』ってあったねー」

と言う事で俺達はマップにしたがって農村へ向かった。途中、野犬や角ウサギの襲撃にあったが、単発での襲撃だったので特に脅威というモノではなかった。




「止まれっ!何者だっ!」

夕暮れの中、農村に到着し、麦畑の間を進んで居住部に近づくと門前にいた男にそんな声をかけられた。

「私達はこちらの村の救援を頼まれた者だ」

代表してステップが前に出て答える…骸骨姿だが。

「おお、あなた方が…申し訳ありませんが証をお持ちでしょうか」

「これで良いかな?」

そう言ってステップは出発間際に天使に渡された羊皮紙を提示した。

「ハイ…ありがとうございます、まずは村長にご挨拶願います」

門が開かれ、俺達は村に招き入れられる…

「ありがとう…正面の大きな家で良いのかな?」

「はい、真っ直ぐ進んで正面の家です」

「わかった、おつとめご苦労」

そう言ってステップは進んでいく…俺はぺこりとお辞儀をして、トエルは敬礼をして、門を通り過ぎ…門は再び閉じられた。


「こんにちは、村長殿」

村長宅を訪ねた俺達はさっそく村長と面会をしていた。

「おお、よくきてくださりました、英霊様方…どうか、わが村をよろしくお願いいたします」

「ええ、もちろん。ですが実はこういった救援任務は初めてでして…実際の戦闘ではもちろん奮戦させて頂きますが、防衛準備の手伝いもと言う事だと思いますがどう言った事をお手伝いすればよろしいでしょうか」

ステップが聞く…道中で相談していたのだか何が必要かは素直に聞こう、と言う事になっている。

「おお、防衛準備もお手伝いいただけるのですね…でしたら柵の補強や堀の強化…後は自警団との訓練や槍の作成…それと麦の早刈りの手伝いですかね、私共からお願いできるような事は」

「麦の早刈り…ですか?」

「ええ、ゴブリンが野生種ならば問題ないのですが、魔の軍勢の一部である場合は麦を燃やされる場合があるそうですから」

「魔の軍勢…高度な社会性を有する魔物の群れでしたか」

確か、戦争イベントは他サーバーのPC相手の演習の場合と魔の軍勢と呼ばれる魔物の軍勢の場合とがある…だったか。

「ええ、この辺りに魔の軍勢が出たという話はありませんが、警戒するに越したことはありませんので」

「なるほど…堀の深化以外は村の方と共同で行う必要がありますので、とりあえず今晩は空堀の強化を行おうかと思います…おそらくトエル…妖精の仲間は見張りや斥候と言う事になりますが」

「はい、わかりました…では明日の夜明け頃、改めて相談いたしましょう」

と言う事になって、俺達は夜通しで空堀の強化をする事となった。


「じゃあ行ってくるねー」

そう言って、トエルはアインと森へ突入していった…サイズ的に防衛準備作業ができないのでゴブリンの斥候をサーチアンドデストロイする予定である。

「さて、俺達も」

「ああ、そうだな」

俺は自警団の団長と相談して設計した堀を形にするべく、鍬を持って地面を掘り始めた。

「【アースコントロール】」

一方、ステップは土魔法の基礎魔法らしいアースコントロールという土を操作する魔法で作業をしている…予定では、攻勢正面と予想される森側の堀を多重化する…と言うか疑似障子堀に改造する。わかりやすく言えば、人一人通れる程度の通路を残して大きな落とし穴を元々の堀を囲むように配置し、さらにその外側にも通路がまっすぐにならないように落とし穴を配置し、元々の堀と合わせて三重にする。そしてゴブリン達が他正面に流れていきにくいように縦方向の堀も追加する予定である。

廃土はどうするかというと、本来であれば内側に土塁を築くのだが、そうすべき地点には既に柵が構築してあるのでインベントリに入れておいて後で邪魔にならない所に盛っておいてくれ、と言う事になっている。

「ん…そろそろMPがきついな」

そうしているとステップのMPが枯渇しつつあるようである。そして俺と同じく借りた鍬を取り出して穴掘り作業を続けた。




「ただいまーゴブリンはまだ遭遇しなかったよー」

日の出前、空が白み始めてきたころに帰還したトエルはそう報告する。

「了解だ、落とし穴も浅めだが一重目は完成した…ゴブリン共の腰くらいまではある筈だ」

「流石、魔法だね」

「人力でも頑張ったけれどもな」

「そうだとも、中々頑張った」

俺とステップは鍬を肩に担いで、笑いあった。


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