表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/21

14 初めてのペット

昼食を済ませて再ログインすると、二人はまだログインしていなかった。そこで俺はまず武器庫に向かってスリングの石弾を買い増し、訓練場へ向かった。

「この距離でオオカミの顔を狙える位の精度になれば…大分楽になるんだけれど…なっ」

そんな事を呟きながら俺はスリングの練習を続けていた。


「精が出るな」

「がんばってるね」

気づけばステップとトエルが少し離れた後ろにいた。

「ああ、来たか…ちょっと待ってくれ、片付ける」

そう言って俺は的前まで進み、散らばった石弾を拾い集めた。

「どうだ、上達したか…と言うのも酷だな、そんなにすぐに上達するモノではないだろうしな」

「いいや?別のオフゲーで、だけれども、スリング使いやっていたことがあってな?大分勘を取り戻せてきた」

「…そうか、それは頼もしいな」

ステップはどこか呆れた表情でそう言う…まあ、スリングとかVRゲームではドマイナー武器だけれどさ。

「そーだ、私を狙って投擲練習やってみる?訓練所というか天界はデスぺナ無いんでしょ?」

唐突にトエルがそんなことを言い出す。

「やめておくよ、あてる自信がないし、あてられる精度だとしてもトエルは避けるの上手いし」

「だから、この体の回避練習兼ねて…ね?グレイズ…じゃない杖術で弾く練習もしたいしさ」

全く…この弾幕フリークスは。

「10発だけだからな…」

そう言って俺はトエルの回避練習を兼ねて的前に移動したトエルめがけて石弾を発射した…で、全弾避けられるのは想定通りだが、後半は直撃コースに移動した上で杖で弾かれた…曰く、狙いが良いからやりやすかった、らしい。

「んー楽しかった、また相手してね、リョウ」

「はいはい、わかったよ」

「さて、では武器庫に寄ってペットを買おうか」

ステップがそう言って場をまとめる。

「午前中の報酬足しても、猟犬1匹買うのに少し足らない感じだったよ?」

「それはトエルの所持金だけでは、だろう?私が少し貸すからそれで猟犬を買って欲しい」

「えーいいの?お姉」

「ああ、数が揃えば狩りもより安定するだろうからな」

「わーい、初ペットだよ!」

そう言いながらトエルが喜びの舞らしい飛行を行った。


「いらっしゃいませ」

武器庫に行くと、天使の店員がそう言って迎えてくれる。

「こんにちは―猟犬が欲しいんだけれど」

そう、トエルが言う。

「はい、了解いたしました」

そう言って店員はいくつもの魂らしきモノを取り出した。

「猟犬は吠える事で獲物の動きを怯ませる事が主な役割となっており、初期の戦闘力は野犬と1対1でなら勝利できる程度のモノでしかありませんが、鍛えていけば多少は強くなり、レベル20に到達するとオオカミに進化可能です」

案外弱いな…そりゃあペットの中では格安なわけである。

「フムフム…大丈夫?お姉」

「…オオカミと戦わせた場合はどうだ?」

トエルに話を振られてステップが問う。

「初期レベルですと1対1でも負けますね、ただ、いい勝負はしますので足止め役であれば初期レベルでも同数まででしたら何とか。レベル10程度で一般的な個体と互角ですね」

「わかった…死亡時のリポップとかペナルティはどうなっている?」

「はい、ペットが死亡すると、英霊の皆様と同じく、装備していた武具を全てその場に落とし、消えます。落した武具は3分間その場に残りますか、その後消えます。そして召喚主がヴァルハラに戻るまでは再召喚不可となります」

「フム…私達と同じという訳か…確認だが、私達がやられた場合、ペットはドロップしなかったな?」

「はい、ペットは武具扱いですが、例外的にドロップいたしません」

その回答にトエルはどこかほっとした様子になった…そりゃあそうか。

「わかった、ありがとう…トエルとリョウは何か質問はあるか?」

「私は大丈夫」

「俺も今は大丈夫」

「では…この中から好きな個体をお選びください」

それぞれの魂がミニチュアサイズの犬に姿を変える…そしてトエルが選んだのは柴犬のような個体だった。

「うん、君に決めた…名前はアインで」

「安直だな」

「いいんだよ、それで…いざとなったら捨て駒役をしてもらわなきゃいけない子なんだからさ」

実体化したアインの頭に乗って撫でながら放たれたその言葉にステップはうんうんと頷いた。

「あ…うん」

何だかんだ言ってもトエルはステップと双子である…大事なモノ…俺とステップの為ならばペットを捨て駒にする位は顔色を変えずにやる女でもある。

「ほかに何かお探しでしょうか」

「アーそれじゃあ、総木製カイトシールドより上等な盾ってあるか?カイトシールドかヒーターシールドで」

「ご予算の程は?」

そう言われて俺は所持金の半分程度の額を提示した。

「でしたら、こちらとなります。それぞれ、青銅と鉄で表面張りと縁取りがなされています」

そう言って店員は2つのカイトシールドを提示する…このゲームでは総金属製の片手盾をヒーターシールドと呼んでいるらしく、割とお高い…まあ少々お高いが鉄で強化されたモノを買っておこうか。

「じゃあ、鉄製のモノを」

そう言って代金を支払い、商品を受け取った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ