8.二度目の青春を謳歌した平成
8.二度目の青春を謳歌した平成
区民大会に参加申し込みをした。したはいいけれど、してから気が付いたことがある。道具がない。PTA活動においては必要のない道具、例えばヘルメット、キャッチャーの防具等々。
仕方がない。困った時の神頼み…。ならぬ、お馬様。
世の中そんなに甘くはない。
初めからそうすればよかった。メンバーが少しずつ出し合って必要な金額が集まった。そして、迎えた組み合わせ抽選の日。対戦相手に決まったのは同じPTAのチーム。
「チャンスはあるよ」
クラブチームに入っている仲間がそう言った。彼はクラブチームに入っているから、このチームでは出場することが出来ない。そんな彼の言葉にメンバーはその気になった。なったが負けた。2-13.大敗だった。
「初めてだし、点が取れたからいいよね。次はもう少し頑張ろう」
ぜんっぜん良くない! 次は絶対に勝つ! 翌年、13点取った。けれど、21点取られた。次の年、12点取られた。けれど、13点取って勝った。買った勢いに乗ってこの年ベスト4進出を果たした。そして、連盟にも加入した。
妻のバレーボールチームは年2回ランク決めをする大会が行われる。1部~8部まである。妻が所属するチームは5部と6部を行ったり来たりといったところ。それでも、降格したときは悔しそうにうなだれ、昇格したときは嬉しそうに満面の笑みを浮かべて「今から打ち上げだからあとはよろしくね」と、楽しそうに出かけていく。出掛けて行くのだけれど、妻は酒を飲めない。酒を飲めないのに、飲み会は嫌いではないらしい。
実は僕が妻と知り合ったのはカラオケスナックだった。彼女はそこでアルバイトをしていた。酒も飲めないのにだ。だけど、そのおかげで僕は妻と出会うことが出来た。まあ、それは昭和の話だ。折があればその時に少し書いてみようか…。
そんなこんなで、僕はソフトボールに、妻はバレーボールに二度目の青春を謳歌していた。