7.妻と子供たちに翻弄されっぱなしの平成
7.妻と子供たちに翻弄されっぱなしの平成
「この度はPTA会長を引き受けてくださってありがとうございます」
「まあ、妻がやるというのだからいいんじゃないですか」
「もし、宜しければ、これからお時間ありますか? 色々とお話したいこともありますからこちらへ来ていただけるとありがたいんですけど」
「でも、妻はそこに居るでしょう。だったら僕は特に…」
「あ、奥様はもうお帰りになりましたよ。あとは当事者のご主人と話をしてくれとおっしゃっていました」
「当事者って…。えっ! まさか…」
「ですから、会長をお引き受けいただくご主人とお話を…」
参った。はめられた。僕は申し訳ないけれど、依頼を受けられなくなったと校長先生に謝り、長女が進学した高校に出向いた。
こうして僕は高校でもPTA会長をやることになった。この時、知り合った他の学校の会長さんたちとは今でも親交があり、年に一度旅行に行くような関係を続けている。これも、PTAに携わったおかげだと言える。
一方、長女はというと、高校生活をそれなりに楽しんでいたようだけれど、ある時急に高校を辞めてしまった。つまり、僕も会長を辞めることになったわけだ。妻は長女と色々話をしていてそう決めたのだけれど、僕は詳しいことを聞かされていなかったのでまさに青天の霹靂。実は長男も高校に進学をしたものの、その校風が肌に合わず、辞めてしまっていた。
小さい頃からいつも二人で一緒に居た長男と長女。何もそんなところまで兄の真似をしなくても…。
中学校のソフトボール部は卒業した後も活動を続けていた。こちらはOBも参加できるように僕は会長の時に改善していたから。だからこそ、大枚をはたいてユニフォームも作ったのだ。
クラブチームに入っている仲間から提案があったのはそんな時だった。
「区民大会に出たらどう?」
その言葉は僕にとって、とても魅力的だった。
区民大会はオープンな大会で、連盟に所属していないチームでも参加できるというのだ。PTAのチームも多く参加していると。
「よし、いっちょやったるか!」