重なり
簡単な会いたい、さえ叶わない関係になんて名前を付けたら良いんだろう。体温を分け合うだけでお互いの肌には触れず、ただ唇を重ねるだけ。そこまでの関係をなんて言えば良いんだろう。
好き、と言えば確かに返ってくる「好き」は本当に私が発した言葉と同じ意味を含んでいるんだろうか。
告白をして、返って来たYESに期待をしたのだ。
きっと同じように想って、同じように大切にしてくれるんじゃないかなんて、甘い期待をしたのだ。
蓋を開けてみれば、どうだ。
彼は決して私を一番に想ってくれることなんてないし、私はきっとその彼を憎んでしまう。
単純な想いの重なりが、体の重なりが、時間の重なりが欲しかったのに。ただそれだけなのに。
ただ一瞬、馴れ合いが重なった私たちはこのまま終わってしまうのだろうか。