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朝練で試そう

皆さん、お久しぶりです



「イム様に代わりまして、フレイア様のご指導を行わせていただきます──『ピィン』と申します」


「よろしくお願いします」


『じゃあ、詳しいことはソイツに訊いてくれれば大丈夫だろう。俺は魔法の練習でもしてくるから、頑張って鍛えるんだな。それじゃあ、あとは任せた』


「畏まりました」


 運動係に任命した……まあ、ソイツにフレイアを任せて、俺の精神は別の場所に動く。

 ちなみに肉体の方は、物理耐性を磨くために奴隷たちと戦闘訓練を行っている。


『さて、実験といこうか……』


 当然のことながら、魔王に逢えばそのスキルを一部頂戴することができる。


 そのためにわざわざ、強い奴の場所までパシリとして行ってやったんだ……これぐらいのお土産は悪くないだろう。


『魔王限定魔法──(暗黒魔法)』


 勇者が持つ(神聖魔法)と、対を成すように存在する(暗黒魔法)。

 闇属性の適性によって、その効果を闇魔法以上に知らしめる凶悪な魔法だ。


 ちなみに、ユウキの持つ(神聖魔法)も彼の光属性の適性によってブーストが掛かっているぞ……なので俺の場合、あれからコピーはしたがそこまで使っていない。


『まあ、闇属性の適性はそこまで高くないけど……魔法付与のため、少しは鍛えとくか』


 構成としては、闇魔法の強化版の魔法に加えて反則ギリギリな光属性以外の攻撃を無効化できるような魔法、あとは状態異常祭りを行う魔法など鬼畜なラインナップだ。


 適性が無い俺でも、使えばそれだけで楽ができるな……という魔法である。


『えっと──“暗黒弾(アーテルブレッド)”』


 闇魔法“闇球(ダークボール)”の強化版。

 弾丸状になることが予め定められているからか、その貫通力は球を弾丸の形状に変えるよりも威力が高い。


 弓を試していた頃と同じように、元素魔法で作った的に撃ってみたのだが……一瞬で貫通痕から腐敗し、的が消滅する。


 連続して二発目を撃つと、今度は撃った場所から侵蝕するようにジワジワと消えた。


『起きる効果がランダムなのか? いや、何か法則性があるのかもな』


 それから少し試したところ、魔力を多めに払うことでオプションを選べることが発覚した──もちろん、凶悪なものほど支払う魔力量が多いようだ。






 熟練度を上げるため、精神には暗黒魔法を連続して行使するように暗示を施して意識を肉体に戻す。


 この切り替えに関しては、やっているうちに自然にできたとだけ言っておく。


「──っと、危ない危ない」


「ご、ご主人様……こちらに来てましたか」


「えっと……『ティータ』か。せっかくだから、慣らすのにつきあってほしい。そのまま全力で仕掛けてこい」


「は、はい!」


 意識を映すと、一瞬だけ硬直してしまう。

 そのタイミングを狙った奴隷の攻撃が、目の前に来ていた。


 とっさに体術で攻撃を防ぎ、その勢いで後方に下がる。


 反応が人間らしいものになったことで、おそらく奴隷側も俺の意識が肉体に戻ったのだと気づいたんだろうな。


「気功は使えるか?」


「は、はい。ピィンさんに習いました」


「なら、大丈夫だな。武器か腕に力を籠めておいてくれ。それをズラす、そうしたときの対応を知りたい」


「えっ? ……わ、分かりました」


 指示をすると、持っていた剣と盾に気を籠める奴隷。


 精神力を消費する気の運用技術。

 魔法よりも属性が無い分、やれることは多いが……魔法に比べると、不遇の扱いを受けているのだ。


 まあ、魔法と違って底を尽くと完全に戦闘不能になるが、魔法適性の少ない戦士でも使える分、不遇だろうと使われる。


「それじゃあ、試すか──『人形』」


 暗示で刻み込んだ複数の行動。

 それらを同時に起動させ、一気に奴隷の下へ駆け抜け──拳をぶつける。


「よし、これで完了。何か体に違和感があったらすぐに言ってくれ」


「は、はい……って、あれ? ご主人様、気が上手く操作できません」


「まずは第一段階成功か。さて、続いて第二段階……痛かったら言ってくれ」


「わ、分かりまし……っ! ご、ご主人様、腕が痛いです!」


 少々曲がってはいけない方向に曲がり始めた奴隷の腕。

 すぐに実験を中断して、腕に回復魔法を施して治す。


「悪い、まだ不完全だった。仕事のチャラとデザート一品追加とどっちがいい?」


「! ……そ、その、デザートを……」


「仕事が好きなんだな。分かった、じゃあこの紙だな」


「あ、ありがとうございます!」


 分かりやすく説明しよう。

 頑張った奴や苦労を被った奴には、こうしてご褒美が与えられる。


 俺や何かの担当リーダーが持っており、いろいろな恩恵をあやかれるチケットをそうした対象にプレゼントするのだ。


 だからこそ、フレイアにやっていたあの技術を確立する時は、ご褒美を貰うため率先して人体実験に協力してくれる者が多かった。


「さて……実験はもう充分なんだが」


『…………』


「まあ、実用性のある技術にする必要があるか。面倒だが、俺は最初のヤツだけだし」


『やったー!』


 俺の言葉に、周辺に集まっていた奴隷たちが喜びの声を上げる。


「ただし、デザートしか出せないからな。それに、戦闘訓練は無しだぞ」


『はい!』


「……じゃあ、始めるから。気を展開して一人ずつ来い」


 とりあえず、全員が終わる頃にはモノにしておきたいな。



それでは、また一月後に

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