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ドロップしよう

一部グロい内容があります



「……切りがないな、正直面倒。いつから勤勉になったんだ、俺は」


 アンデッドを見つけては、矢を番えて射っていく。

 ただそれだけの作業なのだが、数が多いが故に面倒臭さを醸しだす。


「死骸からレア装備が剥げるのはいいが、ウルトラレアはお偉い様にドロップさせてるんだろうな。あくまでハズレのレアだったからこそ、遺体といっしょに放棄したんだろ」


 数十体のアンデッドを見つける。

 だがそれらすべてに共通する点として、貴重品をいっさい身に着けていないという点が確認された。


 まあ、そういうことなんだろう。

 俺も相手を殺す際に余裕があるなら、できる限り身包みを剥いでから殺すしな。


 こっちの世界って、特別なスキルが無いと殺してもアイテムを回収できない場合があるからさ。


 空間属性の魔法やスキルで生み出した物を仕舞う空間など、完全に個人仕様だから死んでも開かないんだぞ。


「それかこいつらが全員、ウルトラレアなんて物を持ち歩かない聖職者だったか……いやいや、こういうのもいるから違うか」


『シシシ、シネー!』


「『白の矢』、『──』」


『グギャァァァァァ!』


 聖職者風アンデッドだけでなく、密偵風のアンデッドまでここには落ちている。

 他国のスパイが情報収集に向かい、失敗した成れの果てがこういう奴なんだろう。


 誰の荷物を漁っても、ウルトラレア級のアイテムはドロップしない。

 やれやれ、がめつい聖職者め……。


「癒されたい、もう何も考えずにゆっくりと風呂に浸かったりベッドに潜りこみたい」


 SAN値が直葬されていき、手に入れた癒しの時間が懐かしく感じられる。

 ああいった何気ない時間こそが、俺にとって必要な時間だったんだろうか。


「……けどまあ、うちの娘(スパイ)も向かってるんだよなー。どうにかして、それだけは回収しないと」


 愚痴を零すが、結局俺のやることは道の先にしか存在しない。

 何より、俺の庇護下に入った奴を見捨てるわけにはいかなかった。


 俺に安寧を与えてくれる者たちには、それ相応の対価を支払う。

 ──少なくともそれは、死ではないのだ。


 何度も神聖な矢を射抜き、ゴールに着くまで進んでいった。

 ……行けば行くほど、どんどん面倒臭くなるのは仕方ないか。




 そこには、広い空間が在った。

 だが、それは目的の場所ではない。

 ある意味では目的地だったが、もう少し上に行かなければ目的は果たせない。


「ゴミ処理場、これが一番正しいか」


 スキルの複数使用で身を隠し、行われている作業をジックリと観察する。

 ちょうど今、この場所では二人の男たちが会話を行っていた。


「実際、もう少しマワしてほしくね?」

「俺たちみたいな下っ端には、拡張済みの奴しか来ねぇだろ。こうやって最後に漁れる分だけ、まだ他のヤツよりマシなんだからさ」

「けどよ、あんな成功するかどうかも分からない計画にさ、キレイ処を全部ぶっこむのはもったいねぇって。それなら俺たちみたいな清廉な聖職者のよ、身を清めるために働いてもらった方がアイツらのためだろ」


 そうして二人は、自分たちが運んできたモノを見つめ──


「……俺さ、この仕事始めてから性癖変わったんだぞ。最初はただ気持ち悪いって思ってたけど……意外と勃つんだよ」

「知らねぇよ、お前の事情なんて。ただ、ある程度自由は与えられてるんだし、ヤりたいなら俺、ちょっと多めにいつものもらうからな。見て見ぬフリをしてやるだけ、俺も聖人だってことだな」

「おっ、ありがとうよ、親友」


 片方の男が下半身を丸出しにして、その女性だったモノに腰を振りだす……死体姦か。

 ずっと女の死体を運んでいれば、そうもなるのかもな。


 俺の精神は、そんな汚れた聖職者を見ても変動しない。

 すでに氷のように凍てつき、洗脳を解除するまでいっさい揺れ動かないのだから。


「やっぱりさ、お前もヤらねぇ? あの計画のお蔭で、死ぬ女が増えたんだぜ」

「……俺は生きたまんまの女の、死ぬ直前とかが最高なの。あの締まりが至高なんだ。ほら、早く終わらせろよ」

「チッ、せっかく人が勧めてやってんだし、一度味わえば世界が変わるぜ」


 男は腰の動きを速め、俺の所までパンパンと何かがぶつかり合う音が響く。

 死体が山のように積まれた静寂の空間で、ただその音だけが木霊する。


「うっ……」


 男が体を震わせ、腰をグイグイと前に押し込んでいく。

 とても気持ちよさそうな顔を浮かべ、腰を引くと……ドロッとした白く濁った液体を溢れ出させる。


「ふひぃい。やっぱり、仕事はこれをしてからじゃないと始まらないな。もう少しで上から追加で降ってくるんだっけか?」

「ほら急げ、お前が一体欲しいって言うから先に貰ったんだぞ。仕事をこなせねぇと、俺たちも消されるぞ」

「おお、そりゃあ不味いこった。なら、そろそろお仕事の時間か」


 下半身を仕舞い、男は上を仰いで言う。

 そしてもう一人の男と共に、一度この場所から出ていく。




 誰もいなくなったので、いったん発動していたスキルを解除して状況を整理する。


「……降ってくる?」


 俺の疑問はすぐに解決した。

 なぜなら、答えは彼らの言う通り──天井から降り注いできたのだから。



この作品はフィクションであり、そういった行為を推奨するつもりはございません

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