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偽装を更新しよう



 奴隷たちの進路面談も終わり、それぞれの職場へと旅立っていった。


 侍従組に関しては、そのままトショク邸で失敗を重ねながら修業を行ってもらう。

 さすがに、現在も召喚された国でメイドをやっているヤツを呼ぶわけにもいかない。


 ――方法は、いくつかあるけどな。


「……これを、こうしてこうすれば……まあこんな感じか?」


 そして現在、俺はステータスの偽装を修正と更新を行っていた。


 監視員の女にバレたからな。

 定期的にレベルアップを適応させないと駄目だと理解したんだよ。


「さすがに自動偽装は……できるのかよ」


 少々設定が細かかったが、どうにかこっちの世界の者の平均的な成長率を再現した状態でのステータスの表示に成功した。


「“鑑定”……うん、バッチリだ」


 偽装した俺のステータスは、だいたいこんな感じである──


---------------------------------------------------------

ステータス

名前:イム・トショク(男)

種族:【異世界人Lv8】〔【普人Lv20】〕

職業:【睡眠士Lv10】


HP:160/160〔150/150〕

MP:180/180〔170/170〕


ATK:50〔50〕

DEF:53〔51〕

AGI:51〔50〕

DEX:58〔53〕

MIN:56〔52〕

LUC:0


通常スキル

(言語理解)(鑑定)(過剰睡眠)(料理)(錬金)

(弓術)〔+(狩弓術)〕(集中)〔+(鷹の目)〕

(魔力操作)(回眠)(解体)〔+(自動解体)〕

---------------------------------------------------------


 このステータスにはなんと、普通の偽装の上に催眠による偽装が施されているのだ。


 俺を異世界人だと知っている者には異世界人としての偽装ステータスが、そうでない者には普人としてのステータスが……かなり便利じゃないか?


 スキル自体は本当に持っているスキルなのだが、一部の派生を隠してある。

 表示しているモノはあくまで、出しておいた方が行動に支障が出ないモノばかりだ。


 本当は空間魔法や付与魔法等も表示したいのだが、それはかなりレア度の高いスキルらしいので、控えておくことにした。


 奴隷たちからコピーしたスキルは、それと同等にレア度の高いスキルだ。


 そのためここに表示することはできないのだが、クラスメイトが所持していたスキルと併せることで面白い反応が起きた。


 ……唯一スキルって、本当に唯一かどうかがまた分からなくなったよ。


「えっと、誰か飲み物を……ありがとう」


 聴力が高い侍従が、俺の注文を聴いて即座に飲み物を用意してくれる。

 部屋を出て行くとき、ピョコンと兎の耳が見えたと言えばだいたい理解できるだろう?


 東の方の国から売られてきた、湯呑を使ってそれを飲んでホッとする。


「うーん、やっぱり誰かが淹れた物は美味いなー。自分が動かないから」


 他人の金で食う飯が美味いように、他人の不幸が蜜の味と例えられるように、面倒事をせずに得られた物とは何でも良いように感じられるのだ。


 努力をせずに力を得ている俺の唯一スキルもまた、そうした考え方が(もと)になり、生まれたのかもしれないな。


 これまた、コピーした錬金スキルで工夫を重ねて生み出した緑茶を(すす)る。


 ……嗚呼、やっぱり日本人は緑茶だよな。

 紅茶の流通が行われていたから、それの発酵度合いを弄るだけで済んだ。


 お蔭でウーロン茶もついでに作れたぞ。


「……ハァ。茶が美味い」


 人肌程度の温度なため、貰ってすぐに口へ含もうと火傷することはない。

 じっくりと喉を潤していき、日々の疲れを癒していく。


「……ふぃいい。さて、そろそろ行くか」


 湯呑をその場に置き、空間魔法を使ってある場所へと移動する。


 ──さて、それはいったいどこでしょう?


  ◆   □  正 解  □   ◆


 名も無き空間。

 俺が組み合わせたスキルで創り上げた簡易的なスペースは、そう名付けられた。


 正直厨二かよ……と言いたいところだが、それ以外の案が出るわけでも無かったのでそのまま採用となったのだ。


「──だいたい、揃っているな」


 周囲を見渡すと、事前に招集命令を放っていた者たちが集まっている。

 ドラゴンや狼、植物や土人形など──主に人ではない者や物がこの場には集っていた。


「ハッ! ラームやブラドたち遅れている者たちは、主様の命を遂行するために行動中ですございます!」


「ああ……そういえば頼んでいたな。あそこは俺の頼んだ面倒事の中でも、たしか難易度がかなり高かったんだっけ」


 マチスの報告に、そうだったと思いだす。

 先ほど挙げられた者たちには、とある場所の調査を頼んでいる。


 その場所は大量の死者が出るような場所なので、従魔の中でも適正を持つ者を選んでそこに派遣したのだ。


「……まあ、一番面倒な場所なだけで、お前たちに頼んだのも同じくらい大変なものだったからな。本当に呼ばなければいけないのなら、ちゃんと召喚魔法で呼べるし、今はどこまでやれるかを確かめる期間だ」


 転移禁止空間であろうと、それ以上の力で転移を行おうとすれば移動は可能である。

 どうせ俺に動く気は無いのだから、魔力ぐらい全力で消費して呼び戻すぞ。


「さぁ、それじゃあ始めますか──会議を」


 まあ、もう何度かやっているんだけどな。



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