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化かし合いの結果を視よう



「……ハァ、面倒だった」


 用意しておいたベットにジャンプして、寝転がりながらそう呟く。

 細心の注意が必要にもほどがあるだろう。


 監視員とのダンジョン攻略が終わり、既に王にも俺の戦闘力に関する情報が伝わった。


 一度目の公式な報告は王城の間で行われていたのだが、それは俺も混ざっての報告なため調査結果など判明するはずもない。


 なので二度目の報告──つまり俺に関する調査報告が行われる場所を特定し、これまでとは別の方法で聞き取ったのだ。


 どうしてこうも、やりたくないのに動かなければならないんだよ。


「[ステータス]……やっぱりチートだな」


 成長したユウキの持っていたスキル。

 それは、所有者を急激に強くできるスキルであった。


 ──経験値増加と成長速度向上スキル。


 それこそ彼が獲得したスキルである。

 詳細は説明しなくても分かると思うからしないが、これを持っているとレベルが上がりやすくなった。


 実際、あまり強い魔物を倒してもいないのにレベルが上がっていることにはビックリしたものだ。


 本当、【勇者】は非常識だよな。

 しかもこのスキル、自分が信頼する仲間だと認識している近くの仲間にも影響があるんだとさ。


 ボッチな俺はともかく、ハーレムリア充としての王道を突き進むユウキなんかが持っていれば……最強のパーティーの完成だな。


 ……今まで行った従魔とのレベリングは、意味があったんだろうか。

 これを持ってやっていれば、もっと効率良くできたのかもしれないのに……。


「まあ、そういうことはどうでもいい。さっさと寝るか――『おやすみ』」


 特にやることもないしな。

 また、情報を纏める時間にしておこうか。


  ◆   □   夢   □   ◆


『それで、イムの実力はどうなんだ』


 ああ、この記憶はさっき言った、二回目の報告を聴き取ったヤツだ。

 見えてはいなかったので、今度は視てみようと思ったから観ている。


 その場所──執務室では、王と監視員の女がいる。

 椅子に座っている王はともかく、監視員の方はいかにも裏の人って感じの風格だな。


『はい。こちらが報告書となります』


『うむ……これは、本当なのか?』


『あくまで、私から見た場合の評価となります。客観的な評価は既に公然の場にて行いましたので、省略していますが』


『それは構わん。それより、気になる点を確認していくぞ』


 そう、最初が紙による報告だったから気になっていたんだよ。

 王の視界は確保してあるし、さっそく確認していくか。


 あっ、その間は会話を聞いていてくれ。


『ステータスは偽物とあるが……』


『異世界人の成長速度は、私たちを凌駕するものです。イムの迷宮に潜る前のレベルを視たあと、必ずレベルの上がるだけの魔物を倒したのですが……まったく変化がありませんでした。これにより、少なくとも偽装系のスキルを持っていることは確定しました』


『では、この戦闘力はどうだ?』


『私が裏で魔物を倒していることには気づいていませんでしたが、弓の技術はかなりのものであると推測されます。彼が狙った場所へと必中でしたし、何より一度も属性魔法を行使していませんでした』


『たしか……異世界人は選別者以外は必ず何らかの系統に当て嵌まる属性適性を持つ、そう伝承には記されていたな』


『はい。ですのでそこから考えられることこそが、そちらに書かれていることです』


『うーむ……。ここまでの評価を受けておいて、無能ということは無いだろう……やはり唯一スキルの持ち主か?』


『もしくは、それに匹敵する系統外魔法を有している可能性が高いです』


『厄介な。……どちらにせよ、後のことはこれを見ればどうにかなる。下がってよいぞ』


『ハッ。失礼しました』


 まあ、こんな感じの会話があったな。

 少し省略したけど、大体似たような会話が続いていた。


 俺としては、偽装スキルの更新にまで気を配らなかったことを失念している。


 このスキルの持ち主に次に会った時、必ず成長したこれ系統のスキルをコピーしないとな、と思ったぞ……もちろん、俺自身がどうにかしようとは思えなかったけど。


 報告書の方もだいたい理解した。

 要するに、一部バレていたってことだな。


 偽装と魔法、それと弓の命中率はさっきの会話から分かるように当然バレており、矢の強化に関しても少しバレていた。


 どうやら、感知のスキルで簡単に気づけるらしいぞ。

 そっちもそっちで対策を見つけないとな。


 一つだけ俺が気になったのは『選別者』って単語である。

 もう、字的に主要キャラに関わりそうな単語だよな。


 さっきの会話と合わせて推定するに、ユウキたちとヒ……ヒロキ君がそれに当て嵌まるだろう。


 ユウキの【勇者】のような神聖属性──いわゆる固有属性系の持ち主と、ヒ……ヒトジ君のような後から覚醒する正体不明の初期は最弱なヤツ……まあ、どっちだろうが最後には強いのだから関係ないか。


 俺も唯一スキルがあるから、いちおうはそれに含まれるんだが……これの持つ属性っていったい何なんだ?


 どこかの聖杯を求める作品だったら、殆ど悪とか混沌的なポジションに入ってそうなスキルのラインナップなんだが……今までに聖杯があるって情報は入っていないしな。



 報告書を見るに、俺への警戒レベルは定まることだろう。

 その振舞いを見て……俺もどうするか決めるかな?



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