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文章アルコール

作者: タケヒサ

誰でも感傷的な気分に陥るとき、詩人になれる。


そして私はこの気持ちがそう長くは続かないことにとても苦しくなる。心の機能は本当に残酷なものだ。


心の優れた機能、それは気持ちだ。たとえどんな因縁の憎む相手でも、地球全体の危機になれば生きるために助け合うしかないように、人は気持ちで生きている。


私を詩人にさせる感傷的な気持ちを、すべての生き物が死んだら終わりを迎えるのだから、それと同じように殺してしまいたいと思う時がある。この感傷的な気持ちには憎しみすら感じるのだ。


この感傷的な気持ちに陥るとき、私は詩人になり、頭に浮かぶ心の琴線に触れる文章を捕まえ、その文章で人を救い、文章の専門家として生きていけると勘違いしてしまう。


そして、実際に詩人や小説家になりたいとその時は本気で思っても、心の紡いだ文章アルコールが抜けていつの間にか将来を正しく見れる私に戻った時には、現実的な安定した職業に勝るものは何もないと真顔で言える大人になっている。


あの時の気持ちは文章アルコールに浮かされていたのだと自分に言い聞かせなければ、この納得いかないたった一度きりの人生を、私は前を向いて歩いて行くことができないからだ。


だから、私はいっそ死ぬほど追い詰められたいとも思ってしまう。ある期日までに詩人や小説家にならなければ命が燃え尽きてしまうような、言い訳のつかないほどの苦しい強迫観念を。そこから生まれた覚悟こそが、今の私を救ってくれる唯一の劇薬なんだとさえ、正直に思うのだ。


Fin

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