とりあえず自己紹介
少しずつ長くしていこうかと。
「本当にごめんなさい。家のバカが粗相してしまって」
「いや、致命傷与えたのはアンタでしょうが。なにしれっと自分は何もしてませんって顔してるのよ」
「ハハハ・・・こちらこそすみませんでした。私は、常日頃からぽろっと本音がでるみたいで、母にも心配されていますよー」
「えナチョラルに無視か。というかあなた達、全然反省してないわね・・・これだから最近の娘は・・・・ヒィ!?」
テーブルを挟んで、ヘコヘコと謝るお互いを見ながら横から口を出してツッコむ。さらに文句を言おうと思い、口を開くが少女の氷のような視線に負けて口をつむぐ。
「私は、沢田 百合って言います。今日はお話があって来ました」
「ご丁寧にどうも。こちらも、自己紹介をさせてもらう。私は真島 優。ここでは、秘書みたいな事をしてる。そして、そこにいるオッサンがこの探偵事務所所長 真島 剛・・・見ての通りの女装趣味の変態」
「誰が女装趣味の変態よ!?全くこの娘はっ!!口ばっかり悪くなっちゃって!!」
「いいから黙って座ってろ、ああもちろん床にな」
「・・・ハイ・・・」
その光景を苦笑いしつつ目線をそらす。
(女装したオッサンが、床に正座させられながら綺麗なお姉さんにプルプル震えている姿は、とても直視できるもんじゃないなぁ・・・ん?そういえば苗字・・・?)
「・・・あれ?同じ真島?」
その言葉を聞き、ピクっと優は反応すると苦々しく切り出した。
「・・・大変遺憾なんだけど・・・このバカなオッサンの娘よ」
「うえええええええええええええ!?」
飛び上がりながら驚く、百合に優はため息をつきながら話し始める。
「認めたくないことだけど事実。ついでに、隅っこで日本刀に頬ずりしているのが、兄の透そして、アッチでニヤニヤしてパソコンを見ているのが母方の祖父である秀爺さん。・・・ここの探偵事務所は家族で経営しているの」
少女は、驚いたように目の前の優に向けて視線を飛ばす。シワのないよう伸ばされた黒い女性物のスーツ。綺麗な長い黒髪、すらっとした体型、女の人にしては、高い身長。そして、美人で綺麗な小顔。
女性の憧れを詰めたような人が・・・
百合は身を乗り出して、そっと優の手を両手でつつむ。
「・・・頑張ってくださいね・・・」
「え、私同情されてる?」
なぜか憐れむ目になっている優を見つめる百合。それに、困惑する優。
「何故か、バカにされているようなその態度に物凄く怒りを覚えそうになるけど、また娘に折檻されるのはゴメンだから、スルーするわ」
そう言いながら剛は、床からゆっくりと立ち上がった。
「百合っていったわね。いい加減、あんたの事情を聞かせてもらいましょうか」