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あーかい部! 72話 傘

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。


……ではなく学舎の一階。


部活もないし雨も降ってるのでさっさと帰ろうとひいろが降りてくると、何をするでもなく曇天の空を見上げる、見知った人影を一つ見つけた。




「……みどり先輩?」


「赤井さん……!?」


「帰らないのか?」


「ああいや、ええっとぉ……




挙動不審なみどり先輩を見て、ひいろは察した。




「……傘がなくて帰れないなら、これを使うといい。」




ひいろはカバンから折り畳み傘を取り出し、みどり先輩の手に握らせた。




「そんな、悪いですよ……!?」


「使ってくれ。」


「ワタシは置き傘してるから大丈夫だ。遠慮なく使ってくれ。」




そう言うとひいろは逃げるようにその場から走り去った。




「ちょっと、赤井さん……!?」




あーかい部部室。




「さて、と……。少し時間を潰してから帰るか。」




ひいろは置き傘などしていなかった。




「ふ菓子でも食べるか……。」




ひいろはカバンからおもむろにふ菓子を取り出し、頬張り始めた。




(みどり先輩には悪いことしちゃったけど……強情なみどり先輩のことだ。ああでもしないと雨の中走って帰るだろうからな……。)




雨音を聞きながらふ菓子を頬張っていると、突然ドアが勢いよく開けられた。




「!?」




何事かとドアの方を見ると、ほっぺたを膨らませたみどり先輩が仁王立ちしていた。




「みどり先輩……!?」


「やっっっぱりここにいましたね……!」


「なんで、帰ったはずじゃ


「それはこっちのセリフです!置き傘回収して帰るはずの人が、なんでこんなところでふ菓子頬張ってるんですか羨ましい……!」


「『羨ましい』……?」


「なんでもありません。……とにかく!嘘つかれてまで気遣われても嬉しくなんかないです、やめてください……!」


「……すまない。みどり先輩が濡れて帰って風邪でもひいたらって思うと、咄嗟に身体が動いていたんだ……。


「……!?//////」


「言い訳がましいかもしれないが……って、みどり先輩?」


「な、なんでもないです///……赤井さんはそういうお人でしたね。」




膨れっ面だったみどり先輩の表情が優しくなった。




「ところで……なんでわかったんだ?」


「はぁぁ……。」




みどり先輩は大きくため息をついた。




「まだ赤井さんとは深い関係ではありませんが……私の知る赤井さんは、本当に置き傘してたら大きい方の傘を差し出すような人なんです。」


「……。」


「お気持ちはありがたいですが、この傘はお返しします。」


「だったら、せめて送っていくよ。一緒に……、?」




ひいろが帰り支度を始めると、机に置かれたふ菓子をチラチラと見るみどり先輩の視線に気づいた。




「……雨が弱まるまで、ふ菓子でも食べて待つか?」


「そ、そんな……!?悪……い……ですよ……!?」




みどり先輩の目が、表情(かお)が、全身が……『よろこんで』と言っていた。




「隣でいいか?」


「はいっ♪よろこん……はっ!?///」




快諾してしまったことに顔を紅くしたみどり先輩の後ろ……部室の外から冷たい風が吹き込んできた。




「雨……。」




開いたドアから、風が吹き込んできた外を見ると、雨はすっかり止んでおり所々に黄金色の日差しが細く差し込んでいた。




「止んじゃいましたね……。」




みどり先輩が残念そうに呟いた。




「……このまま帰るか?」




ひいろはみどり先輩の答えをまたず、しまいかけていたふ菓子を再び机に広げた。




「……いえ、ご一緒します♪」




この日、徳用サイズのふ菓子の在庫が2袋減った……。






あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ

ひいろ:はぁ……


白ちゃん:部活無い日だったはずだけど……


ひいろ:白ちゃん、今回は……みどり先輩だ







白ちゃん:彼女の話になるとふたりがパッタリ息を潜めるのよね……


ひいろ:なんでいつもこうなんだ!くそっ、また編集中じゃないか……!?


白ちゃん:とりあえず待つしかないんじゃない?




きはだ:あさぎちゃん添削よろしくぅ!!

あさぎ:よし来た


白ちゃん:恐ろしく速いレスポンス……私でなきゃ見逃しちゃうわね


ひいろ:そんなことはいい、なんでいつもこうなんだ……!


きはだ:そりゃあ……足りないんだよ、『大事なところ』がねえ!!??


ひいろ:今回はちゃんと寄り道の内容書いたぞ!?


白ちゃん:ま〜た嘘ついたの?ひいろちゃん


ひいろ:だから嘘なんてついていないんだってば!?


あさぎ:完了

きはだ:グッッッ、ジョブ!!! 


白ちゃん:もはや様式美ね


ひいろ:今度は何したんだ




ひいろ:おい、ふ菓子食べるまでをこんなにねっとり書くことないだろう

ひいろ:コンビニに寄り道した話どこやったんだ


あさぎ:ひいろ……取捨選択、だよ?


きはだ:帰宅デートしたからって、『大事なところ』を落としちゃいけませんなあひいろちゃんよ


白ちゃん:2人きりの話なのによく補完できたわね?


きはだ:みどり先輩監修だからねぇ


あさぎ:ねぇ


ひいろ:なん、だと……!?


あさぎ:爆買いするみどり先輩と引き換えに、ふ菓子ではしゃぐみどり先輩は死守したんだから、褒めて欲しいくらいだよ


ひいろ:よし


きはだ:恐ろしく速い(てのひら)返し……


あさぎ:意外と可愛いところあるんだねみどり先輩


きはだ:餌付けされまくってるやつがなんか言ってらぁ


白ちゃん:あさぎちゃん……カロリーには、気をつけなさい……

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