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幼馴染みの想いは重い

作者: おにぎり

俺、佐藤陸は幼馴染みの中谷春の部屋の扉を開き………動きが止まった。


「………とりあえず中に入って、陸君」


俺は春に促され、中に入り床に座った。


「前、来た時はこんなの無かった気がするけど」


「その……隠してたの……ごめん…」


「いやいや、謝らなくて良いよ、気にしないで……」


そう言うと春は泣きそうな顔で謝罪をする。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい………本当にごめんなさい」



「いやいや、本当に気にしないで」


「………」


「………」


……気まずい空気が流れる。


……。


……。



俺は春の部屋を見渡す。

春の部屋には……

いたる所に俺の写真がはってあったり、俺にとても似ている人形やフィギュアがある………。


……。


……。



うん、どうやって作ったの!?

ちょっと作り方気になるんだけど……。



「ごめんなさい、実は私……陸君のストーカーなの………」


春は俯いてしまう。


「………いや、でもストーカーって言ったて子供のお遊び程度じゃない?」


……部屋のいたる所に写真をはったり俺にとても似ている人形やフィギュアがあるのは思春期だったらあるあるではないのだろうか?

……あるある……うん、あるあるだよ。


「………私小学校の時、陸君のリコーダー毎日3時間ぐらい舐めてたの……」


「それ逆のパターンあるんだ!?

男子が女子のリコーダーを舐めるっていうのは聞いたことあるけど……」


「今も舐めてるの」


「まさかの現役!?」


いやでもこの程度は……。


「……あと盗撮は毎日してるし…」


「………」


「ちなみにお気に入りはお風呂に入ってる時の全裸の写真」


「ガッツリアウトだ!!」


「……あと他の人が陸君を好きにならないように陸君の悪口を広めたり……」


「だからか!!

俺、何もしてないのにあだ名がずっと金魚のフンだったんだけど!!」


「あと……」


「まだあるの!?」


「婚姻届、完成してるの…」


「えっ!?………印鑑はどうしたの?」


「陸君のお母さんに30万渡して、印鑑貰った」


「おかぁぁぁぁぁあさーんーー!!!一番やっちゃ駄目ぇぇぇえ!!何をやってるんだぁぁあーー!!」


はぁはぁ。

お母さん、何をやってるんだ、あんたは。


「ごめんなさい……今年でストーカー歴15年目だけどここ最近で罪悪感が芽生えちゃって………謝ろうと思って今日部屋に招いたの……本当にごめんなさい……」


「招いてくれるのは嬉しいけど罪悪感芽生えるの遅くない!?」


ちなみに今、俺達は17歳。

……2歳からってことか………。

……ベテランの領域だ。

……継続は偉いよ……うん。



「……え、俺のことが好きだからストーカーしてるって認識で良い?それとも嫌がらせ?」


俺は春に唐突に思った疑問をぶつける。

本当に唐突だけど……。


すると春は首を横にブンブンと振る。


「嫌がらせじゃない!本当に本当に大好きだから……陸君のことが……ううん、大好きって言葉だけじゃ足りないよ……」


「おぉ……」


俺は思わず照れてしまう。

っていうか……心臓の音がバグバクしてる……。


「……頬が赤く染まってる……本当に可愛いなぁ………」


春は俺に近づいて俺の頬を触る。

俺は春に心臓の音が聞こえてないか少し心配になった。


「可愛いくて……かっよくて……優しくて……!笑顔が素敵で…!……愛してる……愛してる……!………」


「………おー……ありがとうございまする、拙者嬉しゅう」


嬉しすぎて変な口調になってしまった。


春が俺の顔を見つめる。



「……そうだよ、魅力的な陸君が悪い!私悪くない!陸君が全部悪い!」


「急に責任転嫁!?

序盤の謝罪はどこへ!?」


「…… うぅ…… ぐすっ、陸君~」


あらら、泣き出しちゃった。


「ほら、ハンカチ、これで涙拭いて」


俺はポケットに入っていたハンカチを渡す。


「……ありがとう…ぐすっ……あっ、陸君の匂いするぅ!陸君!陸君!えへへ!……私、陸君に迷惑かけてる……いらない子だぁぁぁ……うぁぁぁあん!」


「物凄く情緒不安定!」


「……ぐすっ、陸君、私いらない子?」


春は泣きながら俺に訊く。


「ううん、全部いらない子じゃないよ」


「……本当?」


「本当、春といると毎日楽しいよ、だから泣かないで……」


「分かった!」


「あと……俺も……いや……何でもない……」


「?」


春は首を傾げたがその後すぐ、にぱっと笑った。


「あっ、けどリコーダー舐めるのやめてね」


「はぁい!」


「全裸の写真も捨てね」


「はぁい!」


「盗撮もやめてね」


「はぁい!」


「お金返すから印鑑返してね」


「はぁい!」


「悪口を広めるのもやめてね」


「はぁい!」



……返事は良いんだけどね……。


………。


………。



「カシャ」


……春はいつの間にか手にカメラを持っている。


「陸君、少し顎引いてワイシャツ脱ごう!」


春は俺にポーズを求めてきた。

………俺は仕方なしにポーズをとる。


「陸君、やっぱりかっこいい!!本当にかっこいい!大好き!この角度最高!!いや、全角度最高!!もうヒーローみたい!」


……。



……。


おぉ……。




数時間後。



「ありがとう、キャメラマン!最高の時間だった、楽しかった。」


「私も楽しかった!!ありがとう!陸君!」


ヒーローの俺は春と握手をする。


「……その……急なんだけどハグして欲しい……かも」


上目遣いでお願いをする春。


「もちろん!」


ヒーローはどんな願いでも叶えるのだ!

ヒーローの俺は春に抱きつく。


「えへへ、うへへ、アヘヘ、スーハー」


春は嬉しいそうに頬を緩める。


「次は……キス……して欲しいかも……」


「もちろん!」



ヒーローの俺は春の顔に自分の顔を近づける。


ヒーローはどんな願いでも………叶え……。


……。


……。


……。



「はっ!ぬ、ぬわぁぁぁあーー!」


俺は慌てて春から離れた!


近くてびっくりした!


「ああああァァァ!!!あとちょっとだったのに!!」


春は膝から崩れ落ち、手で床をドンドンする。


「あとちょっとだったのに!!あとちょっとで!……陸君からキスして貰えたのに!!

……もっと完璧にしてから師匠から学んだ【洗脳】をやれば良かった………焦りすぎた…………」


………。



………。



「……中谷春さん」


「……は、はい……」


「……もしかして【洗脳】するために今日この部屋に招いた?」


「……な、なんのこと?」


「もし今嘘ついてたら縁切るよ」


嘘だけど。


「すいませんでした!!

陸君とキスがしたくて……でも私からキスするんじゃなくて……陸君からして欲しいなって思ってて……」


「……それで【洗脳】をやったと?」


「はい……」


「……ちなみにどんな【洗脳】なの?」


「【相手に秘密をばらし謝罪をし、情緒不安定&カメラ&ヒーロー、アバアバアバガハハハ洗脳】、これは師匠の奥義だよ……」


「どんな奥義!?

あと師匠!?

……えっ、危ない人じゃないよね?……」


「危なくないよ、常にアヒルの人形を口に加えてる人だよ」


「……… 」


………それは危なくないと言えるのか……。


……。


……にしてもキスをして欲しかったのか……。


……。


……。



俺は床に座っている春に近づき、しゃがんだ。


………。



………。




俺は春の唇に自分の唇をあわせた。




そして少し経ってから、あわせていた唇を離した。



「………」


春は目を見開き………


「陸君は元々私のことが好きで私がストーカーって知った時は動揺や引いたりしたけど好きな気持ちは変わらなかったてことか」


「もっと動揺して!?

冷静に分析しないで!!」


……。


……まぁ冷静なのは良いことだ……うん……。


すると春は何故か体をもじもじしている。


「……じゃあ、私達、付き合うってこと……で良いですか?」


「…はい……お願いします」


俺がそう言うと春は俺を押し倒し、


「………はぁ、はぁ、はぁ、じゃあ……もう我慢しなくていいんだ……」


「えっ!?ちょっ、春さん!?」


春は着ている服を脱ぐ。


「うへへへ」


そして、春は俺の服を脱がしていく。

「えっ!?ちょっ、心の準備っていうか………ヒャっ!ちょっ、そこは……キャー!」


俺が町娘みたいな声をだしても春は止まらなかった。



翌日の朝。



今、俺は春と通学路を手を繋いで歩いている。

恥ずかしいと最初は思ったけど……。


「えへへ」


この笑顔を見た瞬間に恥じらいは飛んでいった。

俺はこの笑顔を守りたいと心の底から思った。


………。



………。



……そういえば印鑑返してもらってなかった……。







読んで頂きありがとうございました!

感想など頂けると嬉しいです!

もし良かったら短編の【男達は男子高校生 占い】も読んで下さい!



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