愛に溢れた王宮で…それは妹の一言で始まった
頭脳明晰、容姿端麗。
王宮の誰からも愛されている私はいま幸せの絶頂にいる。
本日の誕生日をもって正式に立太子となり、愛するアマンダとの婚約が披露される事になっているからだ。
アマンダは公爵家の令嬢であり身分としても申し分なく、人当たりも良く五カ国語を操ると言う才女で、オマケに美人と言う完璧令嬢。
幼い頃からの付き合いだが、やっと正式に自分の物になってもらえると思うと感無量である。
式典に現れたアマンダは見事なカーテシーを行いにっこりと微笑みかけてきた。
「ウイリアム殿下。本日はおめでとうございます」
「よく来てくれた、アマンダ。待っていたぞ。さあ、こちらへ」
アマンダへ向けて差し出した手に抱きついてきた者がいた。
妹のテレサだ。
「あらあら、テレサ様。ご機嫌麗しゅうございます」
アマンダは驚きながらもテレサに挨拶を送るが、なぜかテレサは私の腕を離さずアマンダに向けて勝ち誇るような笑みを浮かべた。
「アマンダ様、ご機嫌麗しゅうございます。ですが、お兄様の手を取るのはこの私ですわ」
いきなりの宣戦布告である。
やれやれ、ブラコンとは気づいていたが…
少し嗜めねば…
「お兄様がお好きなのは獣耳ツルペタ少女とのオムツプレイなのです。
アマンダ様の胸では相応しくありませんわ」
いや、何言ってるんだ…
「二重底になっている右の二段目の引き出しに入っております書物で確かめましたもの」
待てーー!!!!
なんでそれを知っている!!!!!
「王城におりますツルペタは私ひとり。ですからお兄様のお相手は私だけですのよ!」
違う!!
ちょっと気になるが、それは断じて違うぞ、テレサ!!!
「もう、テレサ様、オイタが過ぎますよ」
よく言ってくれた、アリス!
さすが私付きのメイドだ。
「ウイリアム様のお好みは巨乳メイドとの緊縛プレイですのよ。
縄で形が歪んだ胸を堪能しつつ、抗えない恥辱に震えるメイドを陵辱するのがお好きですのよ」
こらーーー!
何を暴露ってんだ!!!
「ああ、私がお部屋に入るたびに突き刺さるあの視線…
いつまで殿下の理性が保つかとドキドキ…
もといハラハラしておりますの」
だってあんなのがタユンタユンしてたら目が行くよ。私だって健康な成年男子なんだから。あれ、絶対ノーブラだよな。
しかし、なんでそんなに詳しい?
「殿下のお部屋の北側にある書架の下から二段目、左から3冊置きにカバーを替えて入れておられる書物を……
あ、テレサ様にはまだ少し早いですわね」
え⁈ バレてた?
バレてたの!?
「ええい!お黙り、このメス豚!!!」
メーガン女史?
なに? 今度はいったい何が始まるの?
「書架の中央に不自然に並んだ辞典の後ろに隠してある本をご存知ないようね!」
え? 何があるの?
俺、そんなの知らない……
「殿下のお好きなプレイはヒールでグリグリされる事ですわ、このスタイルで!」
そう言ってメーガン女史が服を破り捨てると、現れたのは黒のレザーの下着。いつの間にか女王様仮面まで装着している。
そっちの趣味は無え!!!
どこのドイツだ、そんなものを俺の部屋に置いたヤツは!!!
国王、鼻血が出てるぞ…まさか…
「皆様、お止めください!」
お、誰か知らんが良く言った。
「殿下は、殿下が本当にお好きなのは男の娘です!!!!
クローゼットに蔵われている箱に写真集と僕にピッタリの衣装が」
知らん知らん
俺じゃ無え!
俺じゃ無えからそんな上目遣いでこっちを見るんじゃ無え!可愛いじゃないか、この野郎!
いや、そうじゃなくて、一体誰がそんなの蔵ってやがったんだ……
ってオイ、侍従長
なぜ目をそらす……
「ハッハッハッ! 小童、殿下の趣味はそんなに軟弱ではないぞ?」
近衛兵?
揃ってサイドチェストのポーズを決めてもダメだぞ!俺は違うからな!
「キャビネットに資料に偽装された薄い本の山を見たことがないのだろう?」
畜生、今度は誰だよ……
おまえか!グレース!!
鼻血が出てるぞ、この腐女子が!!
「皆様は勘違いしておられます!」
「いえ、殿下がお好きなのは……」
「何をおっしゃいます…」
……
……
……
もう……好きにして
…でもなんでこんなに俺の知らない物が俺の部屋にいっぱい隠してあるんだ?
半分以上は知らなかったぞ……
SAN値をガリガリ削られ虚になった私の目に、涙を溜めてプルプル震えているアマンダが映った。
「アマンダ……」
「…ウイリアム様」
酷いことを言われたらどうしよう
耐える自信がない
「私、ウイリアム様がお望みでしたらなんでもお応えするつもりでおりました。
たとえ(Piiii——)な事でも(Piiii——)でも、いえ(Piiii——)(Piiii——)、あろう事か(Piiii——)であろうとも。
いえ、
《五分間分中略》※自粛
でも、このような変態プレイのエレクトリカルパレード、エロの総本山であられますウイリアム様のお相手を務めるのは私にはハードルが……
悲しいですがこの婚約の件は無かった事に」
そう言って背を向けるアマンダの腕を捕まえた。
「待ってくれ、アマンダ!」
「ウイリアム様、お放しください…
私では、私ではウイリアム様のお相手は到底務まりません」
「そんな事はない! いや、アマンダなら大丈夫だと思う」
「…そんな……どうしてそう思われますの?」
「私が本当に愛しているのは君だからだ」
「……私も殿下の事を愛しております。
ですが、あのようなプレイの数々は…」
「二人の愛があれば乗り越えられるさ」
そう言って唇を塞ぐ。
まさか「君が一番エゲツなかった」とは言えないからな。
ざまあにする予定だったんです。
ざまあの方法を王子の性癖暴露にして……が段々と書いているうちに変化して構成やり直して。
バカな作者と笑ってやってください……