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秘密結社:非青春倶楽部  作者: ラピスラズリの猫
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第六話 「廊下に立っとれ」はもう存在しないのだろうか

前述したように俺たちの通っていた小学校は3クラスしかなかった。

しかも入学して最初は2クラスしかなかったのだ。

にもかかわらずだ、俺と天羽は小学4年までクラスが違った。

この2分の1すらも外す不運は初恋を成就させるという難題をさらに難化させたことは言うまでもない。


(当時のクラス発表のことはあまり覚えていないが、クラス発表の時には自分の名前よりも先に天羽の名前を探していたのだけは確かである。たった2分の1、絶対に同じクラスで仲の良さを周りに見せつけてやるとか考えていたのだろう)


しかし当時の俺は陽キャだ。これは間違いない。

今となっては無理なことだが、当時の俺なら恥を捨てて学校内で目立つことをすることは容易だった。


休み時間に天羽のいるクラスの前で、男友達と大きな声を出して相撲を取ってみたり、何の用もなく隣のクラスに入ったり、天羽の家の近くを通るような寄り道を開拓したりもした。

(この寄り道上にある信じられないほどに破壊の限りを尽くされた自動販売機が懐かしい、あれは何だったのだろうか)

結論、とにかく自分の存在を天羽に忘れてほしくなかったのだろう。


こんな様子で俺は小学4年までの間、目立つことに必死になっていた。


そんななか、クラス合同で行われる校外学習や運動会、林間学校などの行事は目立つチャンスだった。


これは香川のような田舎特有なのかもしれないが、校外学習では山や川などの自然を探索することが多くあり、俺達は学校からそう遠くないところにあった香東川に校外学習に何度か出かけていた。

香川は極端に雨が少なかった記憶がある、実際に香東川はしょっちゅう干上がっていた。

近いうえに増水の危険もないから校外学習先になっていたのだろう。

(香東川では、お花見や釣りにランドセル流しとたくさんの思い出がある。ランドセル流しに関しては言及しないことにする、子供がまねしては大変だ。まあランドセルというものは非常に頑丈であることは俺が保障する)


もちろん俺は壮大な自然界の中でも目立ちたくて仕方ないわけで、先生の注意を聞かずに男友達と話してみたり、無駄にオーバーなリアクションをとってみたりした結果、

俺はみんな座って話を聞く中、一人だけ立って先生のありがたいお話を聞くことになってしまった。


いや、まあ目立つことには目立てたのだが、

根本にある俺の人格はとてもシャイだ、

同学年の男女から失笑されるあの瞬間は本当に恥ずかしかった。


(今は生徒を廊下に立たせる行事はないのだろうか、俺なんかはしょっちゅう立たされていた。何なら授業中のおふざけが原因で一日中廊下に机と椅子が置かれることになり、授業を廊下で受けたことだってあった。自分で言うのは何だが俺の様な生徒がいた場合は廊下に出すくらいがちょうどいい。「廊下に立ってろ」という言葉が今では良くも悪くも思い出だ、この行事が現代の教育現場から無くなっていないことを祈る。)


ではこの恥を伴った校外学習における目立ちは天羽に届いたのか、、


ああ、届くはずもない、何の手ごたえもなかった。

無駄に恥をかいてしまったではないか。

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