第三話 迷惑をかけた先生方には菓子折りを
小学生時代の俺は人生で一番輝いていたといっても過言ではない。
香川県という穏やかな地に住んでいたこともあり、一学年のクラスは3クラスしかなかったし
学年で目立つにはさほど苦労しない環境だった。
日本に学校制度が導入されて百年以上たった現在、学校という社会には厳しいヒエラルキーが存在する。
残酷に思えるがこれが現実である。
陽キャや陰キャ、一軍二軍と様々な言葉があるように、
学校での立ち位置によって自然発生的に分類されるのが学校、いや社会だ。
しかし小学生時代のヒエラルキーというのは至極単純なものだった。
足が速いとモテる、面白いと目立つ、テストの点数が低いと注目される、ワルがカッコいい
こういった具合に何か特出したものを持っている、あるいは持っている風を装うことが出来たら良いのだ。
俺は勉強がとにかく嫌いで、
テストの点数が低く、授業を真面目に受けない陽気な少年の立ち位置で地位を確立していた。
他にも、図書館を使ったことがない、先生の言うことを聞かない、シャツを出して職員室前の廊下を闊歩するなどと、あゝ恥ずかしい。
まあ総じてこのころの俺は陽キャだったということになる。
しかしこのころから俺は中途半端な人間だった。
不真面目を演じてはいたものの、学校には皆勤だったうえに、本当に悪いこと(万引きや不法侵入)には参加したくないと、人格の根っこにある清く善良な心が邪魔をしたのだ。(こんな人間に育ててくれた家族には感謝しかない)