表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

世は道連れ、お前は地獄へ堕ちろ!

作者: 七瀬







“生霊って知ってますか?”



私は私の大事な彼を奪った親友の霞が憎い!

私と彼は、“婚約”までしていたというのに......。

彼女に彼を会わせて、たった3カ月で私は彼を彼女に奪われた。

私は彼の事を心から愛していたし、彼も私と同じ想いだと思っていた。




・・・だから私は彼を彼女に会わせたのに。

まさか!? 彼を奪われるなんて思ってもみなかった。

彼から突然! 【大事な話があるんだ】と言われドキドキしていた私。

そこで聞いた話は、“他に好きな女性ひとができた”だった。

私がしつこく彼に相手は誰かと聞いて、彼はしぶしぶ答えた。

【霞ちゃんだよ】




私は凄くショックだった。

私の親友の霞が彼を私から奪うなんて!




ただ今思えば? 彼女は私の好きな男性ひととタイプが一緒で

“何度か同じ男性を好きになった事があるなと今更思い出す。”

もう彼は私の隣には居ない!

あんなに想い合っていたのにあっけなく彼を親友に取られる。





・・・そんな事があったのに、未だに親友の霞から私に連絡があるわ。



『今日さ、稜くんと一緒に居るんだけど? マナも来ない?』

『何言ってんのよ! “この泥棒猫!”』

【プープープー】




・・・私の気持ちも知らないで普通に電話をしてくるあの女が憎い!






 *





私はどうしても“二人を許す事ができず”親友の霞を藁人形で殺そうと思う。

でも? 彼は私と一緒に死のうと思うかな?

早速私は、親友の霞の髪の毛を一本藁人形の中にねじ込んだ。

大きな釘と金づちで藁人形に打ちはじめる。

思いきり憎しみを込めて、【死ね! 死ね! 死ね!】

念を込めて、何度も藁人形に釘を打ち込む。





・・・数日後。

霞が原因不明の病気で突然亡くなったと聞いた。

彼は霞の死体から離れようとしなかった。



『稜、大丈夫?』

『マナ?』

『・・・う、うん。』

『霞が、霞が、急に亡くなって、俺はどうしたらいいんだ?』

『大丈夫、私が居るじゃない!』

『えぇ!?』

『私が稜の支えになるから。』

『・・・マナ、』






・・・私は彼を慰めて一緒に死ぬつもりだった。

でも? 霞が亡くなって私の気が変わる。

これから私は彼と再スタートすればいいんじゃないのかと思うようになった。

もう邪魔者はいない!

今なら彼ともう一度やり直せると。

そう思っていたのに。





彼は霞が亡くなって1週間後に部屋で首を吊って亡くなった。

私の願いは最後まで届かなかった。

やっと彼が私の元へ戻って来ると信じていたのに彼は彼女を追って亡くなる。

私は親友の霞を心底恨んでいたけど、今はもう恨んでいない。

彼が彼女を追って自殺した事で、彼の彼女への気持ちが分かったから。

私と最初に出会っていても後で出会っていても結局彼は彼女を選ぶのだろう。

だって! “彼にとって彼女が運命の女性ひとだったのだから。”




・・・こんな事になって初めて私は物凄く後悔するなんて。

最初から彼は私を選んでいなかったんだと。

それなのに私は親友を殺してしまった。

だから彼も彼女を追って自殺した。

私は大バカ者だ!

ふたりの想いを知らなかったのだから。

今はこう思う! “世は道連れ、二人は今も一緒なのだろうと......。”

本当の地獄に堕ちるのは私なのかもしれない!



最後までお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ