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第30話 黒の霹靂


 調査と討伐の報告を行うために冒険者ギルドへと入り、受付に向かうと受注した時の女性職員が居た。


「クエストの報告をしに来た。あと魔物の素材を買い取ってくれ」


「あ、阿吽さんお帰りなさい! 報告からお願いします」


「情報通りモルフィアの森に赤の渓谷の魔物が入り込んでる。正直かなり危険度は上がっていた。

 一応モルフィアの森で遭遇した魔物は全て討伐しておいたが、Bランクは合わせて9体だ」


「やはりそうなのですね。先ほど戻ってこられた冒険者も同様の事をおっしゃっておりました。というか……Bランク9体も倒したんですか!?」


「全て単体で居たからな。確認が必要なら取り出せるがどうする?」


「こ、ここで出すのはやめてください。ギルドの裏にある解体所にお願いします。確認のため私も同行しますので」


 一旦ギルドを出て裏手に回ったところにある解体所へと向かった。

 ギルド職員と一緒に中に入ると猫の獣人が巨大な包丁で解体作業をしている。

 あの包丁さばきを見ると相当強そうだ。魔物がどんどん捌かれていく。


「キトキトさん、解体してほしい魔物があるのですが、どこに出してもらえば良いですか?」


 ギルドの職員が話しかけると猫の獣人キトキトは包丁を止めこちらに振り向いた。


「あー、それなら奥の机の上に出してほしいにゃ」


 指定されたテーブルはかなり大きいが、すべての魔物は出せない。一応3体の魔物を取り出す。


「あと6体あるのだが、どうすればいい?」


「にゃんと……そんなに討伐したのかにゃ。しかもBランクばかりじゃにゃいか。残りは奥の部屋に全部だしてくれにゃ」


 奥の部屋に入り、残りの6体の魔物をマジックバッグから出すと、ギルドの職員も驚愕していた。


「全て赤の渓谷の魔物ですね。半日で狩ってくる量じゃないですよ……阿吽さんは本当に強いんですね」


「見事に全ての魔物の顔面が潰れているにゃ。頭以外の素材は綺麗に取れそうだから、買取金額は上乗せしておくにゃ。

 金はギルドに預けておくからクエストの報告がてら取りに来ると良いにゃ」


「それは助かる。ありがとな。それで、報告は以上でいいのか?」


「そうですね。ちょっとモルフィアは思っていた以上に危険そうなので、ギルドマスターに報告しておきます。

 依頼は完了なので明日、素材の値段と合わせてクエスト報酬もお渡ししようと思いますが、よろしいでしょうか?」


「あぁ。それで構わない。んじゃ明日また来るよ」


 そういって解体所から出ていき、誰も居ない路地裏でフォレノワールに帰還転移した。


 フォレノワールに転移するとキヌとシンクが楽しそうに話をしている。

 女性同士だと仲良くなるのも早いんだな。


「阿吽、おかえり」 「阿吽様! おかえりなさいませ!」


「おう、ただいま。キヌ、説明は終わったか?」


「ん。全部説明した。シンクは頭が良い。理解するの早かった」


「そうなのか。期待できるな。シンクも明日から俺たちと一緒に冒険者として行動だ」


「わ、分かりました。精一杯頑張ります!」


「あ、それと二人に渡しておきたいものがある」


 俺は隠蔽の指輪をキヌに、隠蔽のネックレスをシンクに渡した。


「それはステータス隠蔽の効果がある装飾品だ。街に行くときは必ず身に着けておいてくれ」


「ん。ありがとう。阿吽からもらったもの、ずっとつけておく」


「あ、ありがとうございます。大切にいたします!」


「おう! 明日からクエストこなして、早くBランクに上がっちまおう。

 あ、そういえば……パーティー登録も明日するんだけど、パーティー名どうしようか。

 キヌ何か良い案あるか?」


「ん……阿吽のあの魔法……黒い稲妻凄かった。【黒の霹靂へきれき】どう?」


「おー、それ良いな! 決まりだ! 明日この3人のパーティーで登録しておく。んじゃ今日はゆっくり休めよ」


 そう言って部屋へ入る。キヌもシンクもまだコアルームで話をしている。

 嬉しそうな話し声を聞くと、シンクを仲間にできて良かったと思える。

 ちょっと変なヤツだが、キヌが色々と教えていけば大丈夫だろう。

 俺はベッドへ入るとゆっくりと目を閉じ眠りに落ちていった。


 翌朝、目が覚めるとキヌは隣で眠っている。俺が寝てからベッドに入ってきたようだ。

 てっきりシンクと一緒に寝るのかと思っていたが、寝るときは俺の隣らしい。


 ベッドから起き上がり、コアルームへと向かうと既にシンクは色々と動いていた。


「おはようございます! 阿吽様!」


「おう、おはよ。ん? シンクが朝飯つくったのか?」


「はい! アルス様がダンジョンを改造し、わたくしの部屋やキッチンを作ってくださいました。お口に合うか分かりませんが、どうぞお召し上がりください!」


「おー、それは助かる。これから俺たちの飯は全部任せてもいいか?」


「っ! 光栄でございます!! ぜひお任せください!」


 それからアルスやイルスと情報共有していると、キヌもコアルームへと出てきた。

 キヌは用意してある食事を見るとシンクを見て微笑んでいた。あー、キヌの提案だったか。


 バルバルも部屋から出てきたため、みんなで集まっての朝食となった。普通に美味い。それにみんなで集まって食事がとれるのは凄く幸せを感じる。

 朝食を終えると、準備をしてから3人でレクリアの街に向かった。


 さて、クエスト達成しまくってBランクになっちゃいますか!


◇  ◇  ◇  ◇


 それから1週間は街の宿屋に宿泊しながらクエストをこなし、レベルを上げ、素材を売る流れを繰り返した。

 その結果、レベルは俺が48、キヌとシンクは44となり、全員がBランク冒険者に、【黒の霹靂】としてもBランクパーティーとなったため、クランの立ち上げ申請を行なった。


 クランは申請をしてから審査などがあるため、正式に認められるのは10日ほど経ってからとの事だ。

 申請が通り次第クラン名も決めればよいとの事であったため、クラン名は持ち帰り検討としておいた。


 レクリアの街での目標はひとまず達成したと一息ついていた時、冒険者ギルドの扉から倒れ込むように4人の冒険者が入ってきた。


 この話を気に入っていただけた方、「続きが読みたい」と思われた方はブックマークや、広告の下にある評価をして頂けるとモチベーションとテンションが爆上がりします!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 真紅ちゃん(手料理を)食べてもらえてよかったね…!
[一言] 一気読みしちゃったぜ・・・ とても面白かったので続きも楽しみに待ってます!
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