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「魔物になったので、ダンジョンコア食ってみた!」 ~騙されて、殺されたらゾンビになりましたが、進化しまくって無双しようと思います~【書籍化&コミカライズ】  作者: 幸運ピエロ
第11章 修羅咲ク都 武京編

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第289話 出発②

 

 出発の前夜。

 ユラは寝床に入った俺とキヌの間を当然のように占領し、ウトウトとし始めている。

 その柔らかな毛並みを撫でながらキヌが口を開いた。


「そういえば……シンクがメアとチェリーにも課題を出すって言ってたよね?」


 キヌの言葉に、俺は「あー……」と少し息をこぼす。


「実はキュルがあんだけ化けたのを見て、メア達にも同じように“壁”を用意してやろうと思ったんだと。ただ……俺が言うのもアレだけど、課題の難易度が鬼なんだよな。確かに一石二鳥ではあるんだけど……」


「どんな内容だったの?」


「危険地帯に生息するSランク(・・・・)以上の魔物の捕獲。しかも最低3体」


「……討伐じゃなくて、捕獲?」


 キヌはユラの頭を撫でる手を止め、目を丸くする。


 アルト王国の外縁部には、各国との国境を兼ねた危険地帯が広がっている。

 例えばオルディーラ国境の『ナクヴァ山脈』には、プレンヌヴェルトダンジョン三十五階層のボス――|ギガンテックセンティピード《あの問題児》が群生している。


 他にもイブルディア帝国との国境に広がる深い断崖『レイヴン峡谷』。

 ルナ皇女が亡命した際、二人の仲間が命を落とした“悲劇の舞台”として今では有名となっている場所なのだが、そこに巣食うのは石化攻撃を得意とするSランク上位の魔物――バジリスク。


 メアもチェリーも強い。討伐だけなら何も問題はない。

 ……しかし、捕獲となれば話は別だ。


「殺さず、しかも暴れさせないで連れ帰る……ってなると、討伐の倍はキツいな」


「んー、でも……なんで捕獲なの?」


「理由は二つだ。メア達を強化するための課題でもあり、同時にダンジョンの強化にもつながる」


 ダンジョンにSランク以上の魔物を新規召喚するには、膨大なダンジョンポイントが必要になる。

 だが“捕獲”してしまえば、俺がスカウトして従属させられる可能性がある。

 従属した魔物なら、ダンジョンに配置もできるし、ある程度自由に行動させてやることもできる。

 しかも、召喚と違いポイントはタダ。


 従属契約前でもダンジョンに放流しておけば、命令せずとも冒険者と戦って相応のポイントは稼げる。“ダンジョンポイントを稼ぐ”という観点だけで見れば、これ以上にない金策だ。


「唯一の欠点は、捕獲した魔物が暴走されたら面倒くさいって点だけど……まぁ、ヤオウとクエレブレがいれば問題ないわなー」


「ん、そだね。メア達の課題にもなるし確かに一石二鳥かも」


 キヌはサラッと頷く。

 ……いや、普通はそこであっさり納得しないと思うんだけど。まぁダンジョン内ならバルバルやイルスも監視してるし、変に被害は出ないって思ったんだろな。

 問題なのは、メアとチェリーがSSランクの魔物を捕獲しようとしないかってトコか……。


「メア達も、明日旅立つんだよな?」


「うん。私たちと同じタイミングで、出発するんだって」


 ユラが「キャフ?」と俺たちの顔を交互に見上げる。


「星覇の仲間、それぞれが次のステップに向かう日ってことだな」



◇  ◇  ◇  ◇



 出発当日。

 シンクとドレイクはいつも通りの表情で「お気をつけて」「行ってくるっす!」と頭を下げ、竜化したドレイクに乗って一足先に旅立ち、ネルフィーもいつも通り余裕のある笑みは崩さず、それでも「無茶しないでね」とキヌに釘を刺されながら旧ダークエルフの里へと歩みを始める。


 ヤオウとクエレブレは「面白い土産話を期待しているぞ」と笑っていた。

 メアは相変わらず何も考えてなさそうだし、チェリーに至っては超が付くほど楽天的でハイテンション……。


 みんな、マイペースを通り越して個性がダンシングかましているが、それでも前しか見ていない姿勢は頼もしい。


「……さて。キヌ、ユラ。俺達も行くか!」


「ん!」


「キャフ!」


 俺達武京組は、プレンヌヴェルト街に新しく作られた飛空艇の発着場から改造が施された魔導飛空戦艇でイブルディア帝国の帝都イブランドへと飛ぶ。そこから武京国へは徒歩と船での旅だ。


 スフィン7ヶ国協議会の際、武京国の神楽 國綱(かぐら くにつな)将軍から「好きな時に来るといい、歓迎する」とは言われているが……、さすがに半鎖国状態である国に魔導飛空戦艇でいきなり乗り付けるわけにもいかない。

 それに、時間はかかるが、三人でゆっくり旅をする機会もなかなかないだろう。


 皆に見送られながらも、飛空艇は徐々に高度を上げていく。

 少しずつ小さくなっていく街並みに名残惜しさを噛みしめながら、俺達の新たな旅が始まった。


 背後に広がるのは、温かい“日常”。

 前に広がるのは、未知ばかりの“旅路”。


 でも、恐れる要素はない。

 三人なら、どこへだって行ける。

 夕陽の赤に照らされながら、俺たちはステージへと足を踏み出した。


 ――武京国へ。

 初めて見る景色。

 まだ見ぬ強者たちとの邂逅。

 幼き日に爺ちゃんから聞いた異国文化。


 それらが待っていると思うだけで――

 胸の奥が、どうしようもなく高鳴っていた。


 

どうも! 幸運ピエロっす♪

次話はなんと、あの(・・)ケモナーが久々の再登場!!

12/12投稿予定です♪ お楽しみに★

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