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「魔物になったので、ダンジョンコア食ってみた!」 ~騙されて、殺されたらゾンビになりましたが、進化しまくって無双しようと思います~【書籍化&コミカライズ】  作者: 幸運ピエロ
第10章 巨大迷宮都市ウィスロ編

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第256話 大規模解放戦①

 

 テキラナ陣営の作戦会合から3日後、陽がウィスロの街を照らし出す時間に合わせて俺達【黒の霹靂】は最上級【竜の塔】の入口に到着した。

 普段より唯でさえ重々しい雰囲気が漂うここ【竜の塔】だが、今日だけはその空気感がより一層張り詰めている。


 その理由は単純だろう。今日の正午が大規模解放戦のXデーであり、カルヴァドスもその情報は事前に掴んでいるはず。ともなれば当然、その警戒レベルは最高クラスだ。こんな早朝であるにもかかわらず、カルヴァドスの冒険者らしき集団が簡易的な拠点となる場所を慌ただしく造っている光景。何よりもそれが如実に現状を物語っている。


 今更だが、ここウィスロではダンジョン外での戦闘は禁止されている。それでも暗殺や誘拐などはあるようだが、小競り合いや喧嘩であっても冒険者ギルドに見つかれば(・・・・・)双方に罰則が科せられる。ことクラン同士の大規模な戦闘など街中で行われたとなれば、たとえ序列1位であってもクラン解体レベルの罰則となる可能性すらある。


 だが、ダンジョン内であれば話は別だ。

 序列争いが起きやすい『ダンジョン都市』という環境下で、それらすべてを把握管理することなどギルドをもってしても不可能であり、明確なルールとして“ダンジョン外での戦闘禁止”を謳う事で絶妙なバランスの秩序を保っていると言ってもいい。


 では、このルールによって、クラン同士の解放戦が勃発した場合どのような事態となるのか。

 まず、大規模解放戦が行われているダンジョンの階層で負傷した冒険者が次々と迷宮離脱石を使ってダンジョンの入口へ転移してくる。これをクランに所属する癒術師などが魔法やポーションで回復をさせ、復帰できる者は再び仲間内で数人の即席パーティーを組み主戦場となる階層を目指して向かって行く。

 その際に、ダンジョン内の魔物に襲われ主戦場まで辿り着けず離脱してくる者も居るが、それでも戦力の補充のために何度も何度もダンジョンアタックをする事になる。


 であれば、勝利条件はどのようなものとなるのか?

 考えられるのは以下の通りだろう。


 ①敵側のクランマスターやクランの主軸を担う者を捕縛、もしくは殺害する。

 ②敵側の主戦力となるパーティーを復帰不能とする。

 ③敵側のクランマスターに敗北を認めさせる。

 ④敵側の回復を担当する癒術師やアイテムの補充を担当する後方支援部隊を機能停止させる。

 ⑤最前線へポーションなどの物資を運ぶ補給部隊を見つけ次第排除し、主戦場での敵側の回復アイテムを含む補給物資を枯渇させる。

 ⑥敵側の全部隊を撤退させる。


 これ以外にも、無駄な人的被害を避けるために双方合意の上でルールを設ける場合もあるようだが、今回に関してはテキラナとカルヴァドス間でそのような取り決めはされていないようだ。

 テキラナに関してはこの大規模解放戦に勝利する事で、カルヴァドス連合から離脱するクランを増やし戦力差を縮める目的があるだろうし、序列の入れ替えさえ狙っているはずだ。

 対するカルヴァドスとしてはテキラナ連合を壊滅させることで、より盤石な支配体制を築くことを目的としているだろう。


「兄貴、結構物々しい感じになってますが、このまま無関係なフリして竜の塔に入って行っていいんっすかね?」


「良いんじゃねぇか? だって本当に無関係だし、単純に最上級を攻略しに来ただけだからな。道中でそれを妨害されるなら容赦しねぇけど」


「ん。逆に言えば邪魔されないなら、こっちから手出ししないってことだよね?」


「んだな! こっちから手を出すと大規模解放戦に介入したことになるし」


「承知した。いつでも反撃できるように周囲の警戒だけはしておく」


「最上級ですので、道中でランクの高い魔物の襲撃も考えられます。その場合は最初にわたくしがヘイトを稼ぎ、ターゲットを取ります」


「おう! 魔物の対処に関してはいつもの感じでいこう。前衛はシンクとドレイク、後衛はキヌとネルフィー、俺は中衛で遊撃と全体指揮だな」


「「「「了解!」」」」



◇  ◇  ◇  ◇



 竜の塔の入口がある広間に到着すると、青白く輝く魔法陣がその中央で存在感を放っていた。上級までの魔法陣とは違い、サイズもこれまでの倍はある。


 5人が揃って魔法陣の上に立つと、視界が暗転し小高い丘の上に転送される。

 そして、そこから見える景色に思わず息を飲んだ。


 眼下に見えるのは広大な街。

 石畳で綺麗に整備された大通りに整然と並ぶ木造や石造りの家々。

 しかし、普通の街とは明らかに違うと断言できるほどの、絶妙な違和感に襲われる。


「なんだ? この気持ち悪さ……。違和感が半端ねぇんだけど」


「兄貴。あそこにいる魔物って、オーガっすよね? それにしてはサイズが……」


 ドレイクの指差した方を見ると確かにオーガが道を歩いていた。しかもAランクとされているスローターオーガに見える。

 だが、それにしてはサイズが小さい……


「いや、これ……オーガが小さいんじゃない。建物がデカすぎるんだ……」


 人間の数倍の身長があるオーガが普通に暮らせるサイズの建物やそれに合わせたように作られた道。

 まるで、オーガのために作られた街であるかのよう。


 その光景は誰もが一つの事実へと帰結する思考となる。

 このダンジョンは、確実に文化的発想を持つ存在(ダンジョンマスター)が作成したものである――と。


「すげーな! この発想は無かったわ。まさかオーガ種の街が攻略エリアってか!?」


「ん。それに、あっち見て」


「うぉ、あれ冒険者じゃん! 周囲のサイズがバグってるから、小人に見える……ってか、このタイミングってカルヴァドスか? 街を迂回するような場所に陣取ってるように見えるけど」


「そうみたい。この入口から見て街を迂回する左右両方のルートを封鎖しようとしてる」


「あー、そういうことね」


 カルヴァドスも考えたもんだ。

 恐らくダンジョンの2階層へと続く階段は、このオーガが大量に蔓延る巨大な街を抜けた先にある。そして、封鎖されている左右の迂回ルートを無視してオーガの街に入れば、前後から挟み撃ちをされた上Aランククラスのオーガとも戦闘になる。


 逆に左右の封鎖を対処しようとすれば、テキラナ陣営はただでさえ足りていない人員を割いて応戦する必要が出てくる。

 離脱者の復帰が早いこの1階層で戦闘が長々と続ければ、物資や人員の供給競争となり、貯蓄量で優るカルヴァドスにじわじわとすり潰されていく事になるだろう。


「要するに、金貨での殴り合いに持ち込もうとしてんのか……。テキラナは本陣に辿りつくだけでも大変そうだな」


「いや、兄貴……それって俺達も同様なんじゃないっすか? 迂回路の陣営を無視してオーガの街に突っ込めば、最悪囲まれちゃうっすよ」


「ん。ドレイク、それは多分大丈夫」


「キヌねぇさん、どういうことっす??」


「たぶん、カルヴァドスは今この陣形を崩す事はしない。【星覇】が大規模解放戦に参戦しないって話はここ数日でカルヴァドス連合の耳にも入ってるはず。それに、上級ダンジョンであれだけの被害を出したんだから、もし出てくるとしてもクランの上層部。それも少数精鋭で」


「あー、確かに。獅子の塔でシンクねぇさんがカルヴァドスを肉団子に――」


「……ドレイク?」


「あ、いや、何でもないっす!!」


「まぁ、そういうことだ! 一応警戒はしつつ、俺達はダンジョン攻略に集中しよう!」


次話は3/21(金)投稿予定です♪

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