表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

251/284

第250話 キュルの課題と上級攻略⑤

 

~キュルラリオ視点~


「うわぁー、さすが上級ボス……。攻撃力エグいな。それに防御力も思ったより高い……」


 こんなガッチガチの防御力を貫通して5分で倒しきったドレイク師匠の技巧(アーツ)、いったいどんなモノだったんだろう……。

 というか、師匠がアクライレオのこの攻撃力を見た上で、1時間という制限時間を設けた理由がハッキリとした。


(やっぱり、ノーダメ撃破が課題なんですね……)


 一撃必殺のパワーを持つボスに対して、僕の攻撃は直撃したにもかかわらず、この程度のダメージしか与えられていないとなれば、今のままでは課題のクリアは困難。

 唯一見込めるのは毒の継続ダメージだけど……、


(うん? 毒……??)


 そういえば僕の【毒攻撃】って、スキルレベルいくつになってるんだ?

 攻略に必死になり過ぎて意識の外にあったスキルレベル。現状を打破するためには確認しておいた方が良いだろう。


・【毒攻撃Lv9】:爪、牙、尻尾、棘など任意の箇所に毒を纏わせ、攻撃が成功した相手に一定確率で毒の状態異常を付与。状態異常付与確率と毒の継続ダメージはスキルレベルに依存。


 スキルレベルが2つも上がっている。ソロでの攻略というのもあるが、この40階層に入るまで格上の敵に対し【毒攻撃】のスキルを使い続けてきた成果が数字に出ている。1レベルくらいは上がっているだろうとぼんやり思っていたが、予想以上に僕は成長速度が早いようだ。


(麻痺毒は……っと)


・【麻痺毒攻撃Lv.7】:爪、牙、尻尾、棘など任意の箇所に麻痺毒を纏わせ、攻撃が成功した相手に一定確率で状態異常を付与。状態異常付与確率と麻痺継続時間はスキルレベルに依存。


 麻痺毒攻撃も毒攻撃とセットで使っていた為か、こちらもかなり上がっている。

 ここまでアクライレオに麻痺の状態異常が入っていないのはスキルレベルのせいかとも思ったが、単純に運が悪かったのか、それとも敵が麻痺に耐性を持っているのか……。


 他のスキルレベルは……っと、んん? あれ??


「え!? ちょっ!! これは……」


 戦闘中という事もあり、素早くスキル欄を流し見ていると、初めて見るスキルの名前が目に映り、思わず大きな声を出してしまった。


・【毒調合】:体内で形成される毒の成分や比率を調整し、新たな毒物として調合・生成する事ができる。


 このスキルを理解した途端、直感的に感じるこのスキルの有用性と将来性。

 考えれば考える程、悪い(・・)アイデアが次々に溢れ出てくる。


 点と点が繋がって線になり、線と線が交差して面となる。更にその面が重なり合い立体として形成されていくような不思議な感覚。

 自分の新たな可能性が広がり続け、今まで見えなかった景色が目の前に広がった。


――そして、その景色が脳に植え付けたのは今までとは真逆(・・)の価値観。


(敵の耐久力が高いという事は、それだけ実践的な調合を試す機会が増えるという事……。麻痺と毒を組み合わせる比率、毒の種類の選定だけでも無数にある。いや、それだけじゃなく、新たに出来上がった成分どうしを掛け合わせたら、鼠算式に毒の種類が増えていくんじゃ?? 待て待て、状態異常をかける部位次第で、同じ毒でも別の効果が期待できるかもしれないよな……。よ、よし! 試しに一発……)


 スキルの確認に時間はかかったが、迷彩障壁のお陰でアクライレオはまだ僕の位置を正確には把握できていない。

 試しに麻痺を強め、継続ダメージを控えめにした毒を【調合】し、迷彩障壁と合わせて尻尾に付与。それを切り落としてアクライレオの死角へと動かし、静かに狙いを定めタイミングを見計らって放つ。


 尻尾が狙いどおり左の膝裏(ひざうら)あたりに着弾すると、急にガクっと体勢が崩れ片膝をついたアクライレオは、目を見開き「何が起きたのか分からない」という表情を浮かべる。


(なんだコレは!? ……楽しい、楽しすぎるっ!!)


 予想以上の効果が出たことで、今までとは違った意味でトリップしていく脳から、これでもかと放出される快楽物質たる脳汁。


 自分の進みたい道、完成形。

 師匠たちの隣に並び立つ未来の姿と、己の役割。

 目に見える光景のすべてが鮮明に色付き、今まで霧がかかっていたものが一気に拓けた。


 この感覚は一生忘れる事はできないだろう。

 今、この瞬間が『デバッファー』としての才能に開花した、新たな僕の誕生日。


「アハッ! 時間ギリギリまで死なないでね? ……ゆっくり、じっくり、骨の髄まで毒漬けにして、色々な効果を実験(・・)してあげるからっ♪」


次話は2/14(金)投稿予定です♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ