表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

199/283

第198話 闘技場の爆弾①


~キヌ視点~


 飛行しているドレイクから飛び降りた私とシンクは、闘技場の中央部分にあるリングに着地した。

 かなり目立っちゃってたからかすぐ敵兵に囲まれたけど、なんだか敵兵の様子がおかしい。私たちを囲みはしてるけど、攻撃をしようとはしていない。

 その表情から伝わってくる感情は、不安・焦燥・恐怖と……少しの期待? いや違う、願望や切望の類かな……。となると、考えられるのは――


「シンク、敵の目的は時間稼ぎみたい」


「時間稼ぎ……ですか?」


「ん。理由までは分からないけどね。でも、私たちはそんなにゆっくりもしていられない」


「そうですね。ただ、民間人が居るこの場所で戦闘を行うわけにも……」


 シンクの言う通り……。

 正直、これだけの人数差があっても私たちと反乱軍の兵士達とは大きな力の差がある。全員纏めてかかってこられても、防御障壁を張り範囲魔法を放てば容易く一網打尽にすることができるだけのステータス差は確実にある。

 しかし、それは民衆も巻き込む形になってしまうし、そうなると『助けに来た』という大義名分はあっても『先に手を出したのが星覇だ』となれば、後々不利な状況になりかねない。

 というか、私たちがそう考えて攻撃がしにくくなることまで織り込み済みなんだろうな……。


 恐らく敵側は私たちがここに来るのを仮定し、戦闘を起こさせない(・・・・)ように入念に作戦を考えられている。その指示をしたのはフェルナンドで間違いない。

 ここまで綿密に作戦を考えて私たちが戦いにくい環境を徹底的に整えるフェルナンドは、武力に過剰な自信を持っていた魔族のサタナス(脳筋)たちよりもよっぽど戦いにくい相手だ。


 ただそれでも、少し工夫すればこの状況は私たちにとって大した障害にはならない。


「大丈夫、シンクの魔法なら打開できる」


「キヌ様ではなく、わたくしの魔法……ですか?」


「ん。私の魔法は殺傷能力が高すぎて、こういう場面では使いにくい」


「なるほど。では、私はどのようにすればよろしいですか?」


「幸いなことに民衆はリングの端一箇所に固められてる。その人たちをアイアンウォールで包んで保護して。それだけで敵の優位はなくなる」


「なるほど! 敵を殲滅するためではなく民衆を守るために魔法を使うのですね!」


「ん。魔法は色んな使い方ができる。それはクエレブレに教えてもらったでしょ?」


「さすがキヌ様。わたくしはまだまだ未熟でございます」


「そんなことない。継続的に誰かを守るのは私よりシンクの方が圧倒的に得意」


「わかりました! ではさっそく動きます!」


「あ、ちょっと待って。先に下準備だけしちゃうから」


 この状況を打開するには、まず民衆に私たちが味方であることを正確に認識してもらう必要がある。それと同時に敵兵を牽制しておいた方が良い。

 結局それに時間を使わされちゃうから敵の思惑通りなのかもしれないけど、これは必要経費として割り切ろう。


「反乱軍の人たち、邪魔をしないなら拘束するだけに留めてあげる。……でも少しでも変な動きをしたら容赦はしない」


 私の発言に空気が凍り付く。ただ、それは次の一言を伝えるための布石だ。


「私たちは、ここに居る全員(・・)の命を守りたい」


「そ……それはどういう意味だ……?」


 この反応からすると、末端の兵士たちはフェルナンドから爆弾の事は聞かされていないのだろう。恐らく“出来るだけ時間稼ぎをしろ”という命令と、“民間人が居る場所では戦闘にはならないはずだ”という指示程度しか聞かされていない状態でここに配置されているんじゃないかなぁ。

 ただ、この場で爆弾の事を言えば闘技場全体がパニックになり、それこそ収拾がつかなくなっちゃう。


「理由は聞かない方が良い。でも、これだけは信じて。私たちはあなた達反乱兵も含めて全員を助けたい」


 チラッと後方を見ると民衆にも私の声は聞こえており、少しの動揺が広がっている。


「シンク、一般の人たちを保護して」


「わかりました」


 私からの指示で、シンクはアイアンウォールを球状に展開して民衆を包み込む。中から混乱した声は聞こえてくるが、敵兵を無力化した後に解除すれば問題はないレベルだと思う。

 もちろんこれに驚いたのは民衆たちだけではない。この一手で、敵兵は自分たちの優位性を完全に失ったことになる。事を構えることになれば自分たちがどうなるか、それはイブルディアの侵攻時にシンクが暴れた事で理解している人も少なくないのだろう。


 敵兵が呆けている隙を狙いシンクに目配せをすると、シンクは私の意図を正確に読み取り、再びアイアンウォールを展開した。ただし、今回の規模は先ほどの数倍。

 つまり、敵兵全員を包む金属の壁。言わば即席の檻だ。


 シンクのお陰で、闘技場に降り立ってからそれほど時間をかけずに闘技場を制圧することはできた。この闘技場内でまだ捕縛できていないのは巡回している見張りの兵程度だろう。

 さて、次はネルフィーとの合流を優先するとしよう。でもその前に……


「シンク、民間人の方だけ魔法を解除して」


「分かりました」


 わずか数分間だったけど密閉空間に閉じ込められていたわけだし、混乱や不安はあっただろう。でもそれが必要な手順で、その数分で敵兵が全て無力化されているのを見れば自然と納得してくれるはず。

 説明する時間は必要になるけど……。


 そうして民間人をアイアンウォールから解放し、動揺を抑えるためにシンクと共に説明をしていると、ネルフィーからの念話が入ってきた。


≪こちらネルフィーだ。闘技場に設置された爆弾を発見した≫



どうも幸運ピエロです♪

この度、12/19から『PASH UP!』にてコミカライズの方が配信され始めました!

タイトルは少し短くなり、

「殺されたらゾンビになったので、進化しまくって無双しようと思います」です★


URLを記載しておきますので、宜しければそちらも読んで頂けると嬉しいです!

ちなみに4週連続火曜日更新との事!!

是非、漫画になった阿吽たちもご覧になってくださいね★


https://pash-up.jp/content/00002342


ちなみに私は読んだ後、嬉しすぎて喜びの舞を乱舞してました!!笑


次話は12/29(金)投稿予定です♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ