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第103話 特訓開始!


 特訓初日、障壁を構築する理論をクエレブレから説明された。この理論から説明してくれるというのが俺にとっては非常に理解しやすい。

 細かい説明は省略するのだが、魔法障壁は自分の身体を強化するバフスキルを身体の外で循環させるようなものだということ。あとは感覚で覚えるしかないらしい。なので俺は【疾風迅雷】を発動しオーラを視覚化して訓練を行うことにした。要するにこのオーラに弾力性を持たせ、ゴムのようにしたものがアークキメラの障壁、さらに硬化させ硬いガラスのようにしたものがクエレブレやゾアの障壁であるようなのだ。

 しかし、理論が分かったからと言ってすぐに何かを掴めるということもないらしい。実際俺は、この日全くと言っていいほど成果を得られなかった。


 特訓を開始してから2週間が経過した。俺は何とかオーラを自分の意思で動かす事ができるようになった。だが、制御がかなり難しい。荒れ狂う雷のようなオーラを膜のように張り巡らせるというのが全くイメージできないのだ。色々試行錯誤してみるが、これ以上は俺だけでは進みそうもない。

 するとクエレブレがそれを察知したのか、俺に近づいてきた。


「阿吽は苦労しておるようじゃの。何を困っておるのじゃ?」


「正直行き詰ってた。アークキメラの障壁は、薄く張ってあって見えるか見えないかくらいの薄い膜みたいな物だったんだ。それをイメージして似せようとしてるんだが、全くうまくいかない」


「ふむ……まぁオーラを動かせるようになったのじゃからそろそろ教えても良いかもしれぬな。阿吽がさっき言ったイメージというのが、多分おぬしに合っておらぬのじゃろ。

 どれ、制御するのは後回しにしてまずは全開のオーラを可視化してみるのじゃ」


「それは得意だ」


 俺は【雷鼓】と【疾風迅雷】の2重掛けを行い、溢れんばかりの魔力を全力で放出した。


「おー! これは凄いのぉ!! こんな綺麗にオーラを可視化できる者はそうそうおらぬぞ?」


「そうなのか? 最初からこんな感じだったんだが」


「特に背中の雷太鼓のような物、そのように精密に作り上げるのは本来かなり高等技術なのじゃ。阿吽以外にそのようにできる者に出会ったことなどないじゃろ?」


「あ、確かにそうかもしれん。あんまり気にしてなかったけど……このスキル名の【雷鼓】からイメージしてた。んで、この後どうすればいい?」


「阿吽は雷の攻撃魔法はつかえるじゃろ? そのオーラに攻撃力を付与してみぃ」


「防御魔法なのにか? うーん、やってみる」


 これは雪山でやっていた特訓ですでに身に付いている。あの時に【雷槍】とか【雷縛檻】とかが【雷魔法】に統合されたことで攻撃魔法はイメージで形をコントロールできるようになっていた。

 オーラの形に合わせ魔力を操作し攻撃力を付与する。今回考えていたのは雷縛檻で敵を閉じ込めるようなもの。これを自分の回りに纏わせて外から攻撃してきた者に対してダメージを与えるようなイメージだ。


 すると身体から溢れているオーラがバチバチと放電音を鳴らしながらよりその強さを増していく。概ねイメージ通りにできた。


「ほぉ? やはりこの方法の方が阿吽には合っておるようじゃのぉ」


「出来てるか?」


「まだ不格好じゃがな。まぁこれは普通の方法とは異なるのじゃ。というか阿吽が今やっとるのは、通常の方法ができた上での応用じゃ。

 魔力の消費が多いのではないかの? これを発動する時に無駄になっている魔力を減らす事と発動しながら今まで通り動き回れるようになれば阿吽は完成じゃな!」


「おー! すげぇ。全くできる気がしなかったけど、これなら俺にも使いこなせるようになりそうだ! クエレブレは教えるのが上手いな!!」


「フォッフォッフォ。儂もできるまでに苦労したからのぉ。なら他の者も見に行くから阿吽はさっき言った事をできるようにするのじゃぞ」


「わかった。ありがとな!」


 正直、俺はクエレブレの凄さをナメてたのかもしれない。もちろん尊敬はしているし頼りにもしているのだが、魔法に関する知識だけでなく、観察力がとにかく凄まじい。

 何が原因で出来ていないのか、それが俺の場合はどんなアドバイスをすれば良くなるのかを見極め、的確に言語化してくれる。


 幼少期から爺ちゃんにも色々教えてもらってはいたが、爺ちゃんは何というかノリでできる天才型って感じだった。

「こうガシッって構えて、バァーって解放すれば、ドォーンってなるだろが」

「戦闘中に小難しい事考えながら戦ってたら死ぬぞ?」

「バイブスぶち上げれば、たいていの事は何とかなる」

 って言われ続けてたからな。12歳からは実践訓練って言ってボコられ続けてた感じだったし……

 確かに、できるようになれば爺ちゃんの言ってる事も理解できたし、バイブス上げれば何とかなる事も多かった。それに無意識レベルで出来るようにならないと戦闘では使えない技術ってのもその通りだと思う。


 まぁ爺ちゃんは10を100にするアドバイスの天才で、クエレブレは0を10にするアドバイスの天才だってことだな。この二人の師匠を得られた俺は、幸運だと実感している。


「よし、死ぬ気でモノにしてやる!」


 その後俺は魔力が枯れるまで訓練を行い、倒れるようにベッドで眠り、食べ損ねた夕食分も朝食を食いまくり、再び魔力が枯れるまで訓練を行うという生活を続けた。

 そうして訓練開始から期限の1か月が経過したのだった。


次話は7/6(水)に投稿予定です♪

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じっちゃんwwwwwww
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