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第102話 困った時のクエレブレ


 フォレノワールに帰還した俺達は、まず反省会を行うことにした。

 ここで主に意見として挙がったのは全体的な火力不足。まさか俺達のパーティーで火力不足が原因で撤退する事になるとは今まで思ってもみなかった。

 にしても、あの障壁だ。あれを突破するだけの火力を出さなければジリ貧になってしまうのは明白。やはりどうにかして全員の火力を上げる事が必須事項だろうと考えていると、シンクからこんな提案があった。


「あの魔法障壁、わたくし達も習得できないでしょうか?」


 さすがシンク、固定概念というものが全くない。

 確かに魔族だけでなく魔物であるアークキメラも使う事ができるのであれば、俺たちが習得できないという道理はない。そして、ふと思い出したことがある。


「ドレイクが氷の試練を突破した時、クエレブレって何か言ってなかったっけか?」


「あ……『氷の壁は儂の魔法障壁と同じ硬さじゃ』って言ってたっす!」


「それだっ! ってことは、クエレブレもあれと似たような障壁を使えるって事だよな!?」


「ん。みんなで教えてもらお」


 クエレブレは、このダンジョンに来てからメアとチェリーに稽古をつけたり、ドワーフの工房に出入りしてアドバイスをしたり、プレンヌヴェルトダンジョンのヤオウの所へ行き世間話に花を咲かせたりと充実した毎日を過ごしているらしい。


「そうと決まればクエレブレにもここに来てもらおう」


 そして、俺がクエレブレに念話をすると、すぐにコアルームに来てくれることになった。


「おぬしら、ダンジョン攻略で1か月ほど帰ってこないのではなかったのか?」


「いや実はさ、ダンジョンのボスが思った以上に強敵で、安全に突破するのは難しいと判断して一度戻ってきたんだよ」


「フォッフォッフォ。おぬしらでも苦戦するほどの魔物とは。興味深いのぉ」


「ザックリと説明すると、キメラの変異種で『アークキメラ』って名前だった。多分Sランクの上位以上の実力はありそうだ。

 一番厄介だったのは魔法障壁を使いこなしていて、こちらからの有効打が少なかった事だな」


「ほぉ? 障壁を使える魔物か。それはなかなか厳しい敵じゃな。では、儂を呼んだのはその障壁を突破する方法を聞きたいのかの?」


「それもなんだけど、一番は俺達も障壁を使えるようになりたいんだ。その手ほどきをして欲しい」


「うーむ。まぁ時間はかかるじゃろうが、おぬしらならば習得できるじゃろ。じゃが、修行をするにも魔力は必要じゃ。今日はゆっくりと休んで明日から始めるとしようかのぉ」


「助かる! ってか、障壁を突破する方法って効果的なのがあるのか?」


「いろいろ方法はあるんじゃが、どれも難易度は高い。今のおぬしらの実力なら正面から魔力を通した武器で壊すしかないかのぉ。

 じゃが、逆を言えば障壁をマスターすれば、魔力を通す事の出来る武器を持っていない敵などその辺の小蝿と変わらぬという事じゃ。

 それほどこの技術を身に付けているか否かで実力は天と地ほど開くということじゃな」


 その後クエレブレから聞いた説明では、障壁を使用してくるアークキメラに対し、現状取れる攻撃手段は武器に属性付与を行い高火力での攻撃や、ドレイクのブレスのように魔法に属性や効果を付与させて障壁をぶち壊した後の隙に連撃を入れるという所謂ゴリ押しのみ。

 魔力の操作が熟達してくればこの障壁を構築している魔力の流れを阻害するような方法も使用できるようになるらしいが、これは難易度が相当高いらしく、数か月でマスターできるとは考えない方が良いというレベルのようだ。

 クエレブレが言うには2000年前には、この技術は人間や亜人も使えるものがそれなりに居て、稀に数週間で出来てしまう天才もいたらしい。これはキヌへの期待が高まるが、出来るようになるのを宛てにするというのはさすがにちょっと酷だ。キヌはやる気が爆発しているが……

 とりあえず、まずは俺達も障壁を張れるようになることをひとまずの目標とし、明日からの修行に備える事となった。


 だが、ここで肝心の訓練所がないということに気が付いた。

 なので、現在誰も使用していないフォレノワールの1階層を簡単に改築し、平原エリアとする事で簡易的な訓練所を作成した。あとはアルスに手伝ってもらい休憩のできる施設と調理場、トイレ、風呂を造り、アルラインのクランハウスにいるエルフのメイドを数人サポート要員として配置してもらうように依頼した。

 エルフ達はアルラインの復興作業を手伝っていたのだが、ほぼ全員がこの役割を希望したため、ローテーションで行うことになったようだ。


 さて、準備は整った。レベル上げの期間やアークキメラを倒す時間などを考えると、特訓期間はおおよそ1か月程度しかない。

 だが最高の師匠と最高の訓練環境、そしてアークキメラという明確な打倒目標を得て特訓へのモチベーションが最高潮に高まっている。


 それに、魔法障壁っていう新しい技術が俺達も使えるようになると考えるとめちゃくちゃワクワクしてくる。

 あー!! 早く明日にならねぇかなぁ!!


次話は7/3、日曜日に投稿予定です♪

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