表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/284

第101話 アークキメラ②


 再びアークキメラとの間に距離が生まれ、互いに牽制している状態となっている。距離を開ける事でこちらが回復できるというのも分かっていそうなものなのだが……

 するとアークキメラのヤギ頭が何か魔法を使用した気配を感じた。キヌもそれを感じ取ったのかフレイムランスを即座に放つもまた障壁に阻まれてしまう。


≪こいつは骨が折れるな……また障壁を張ってきたぞ≫


≪ん。多分あのヤギさんが防御面を担当してる≫


 このメンバーの中で一番火力が高いのはドレイクのドラゴンブレスだろう。魔導飛空戦艇を木っ端微塵に吹き飛ばした火力ならアークキメラでも相当なダメージが与えられるはずだ。


≪ドレイク、あいつにブレスを当てられそうか?≫


≪多分きついっすね。敏捷値も高そうですし、飛空戦艇のように動きが単純でもないので……

 兄貴やシンクねぇさんと連携すれば当てられると思うんっすけど、お二人を巻き込む可能性の方が高そうっす≫


≪そうか。あと、タイミングを見て鑑定してるんだけど、アークキメラのHPとMPの自然回復速度も尋常じゃない……今これだけ戦闘を続けていても2割くらいしか減ってないんだよ≫


≪マジっすか……どうします?≫


≪一度全員で高火力の攻撃を仕掛けよう。ただし、安全策を考慮してキヌは遠距離魔法だ。それでどれくらい削れるか見てみる。全員バフをかけてから一斉射撃、行くぞ!≫


≪≪≪≪了解≫≫≫≫


 今までとはパターンを変えシンクも攻撃に加わる。

 全員がバフをかけ直し、遠距離からの魔法攻撃と矢の連射を与えつつ距離を縮める。やはり障壁にある程度のダメージを吸収されており、回避行動もとられているが、前衛の3人が回避した先に回り込む。


 まずはドレイクが赤鬼の金棒に魔力を通しヤギ頭を強打、仰け反ったアークキメラに対しシンクも上空から岩を落とす【ロックフォール】という魔法で連続ダメージを与えながら跳び上がり、変形巨斧で胸部分を斬り裂くようにフルスイングを行う。

 ここでアークキメラの障壁が消えるのを確認。


 続けて俺が白鵺丸に魔力を通しつつ獅子頭と胴体部分に連撃を放ちダメージを与えるが、ここでアークキメラは体中に纏った雷のオーラを放電し、前衛3人を巻き込んで範囲ダメージを与えてきた。


 咄嗟に飛び退いたものの、シンクとドレイクに麻痺の状態異常が入り、俺を含めた3人に少なくないダメージが入っている。

 さらにアークキメラはドレイクに対し追撃をしていき、ドレイクのHPが半分ほどまで削られたタイミングでキヌがシンクの状態異常を【キュア】で回復、ドレイクには【ヒーリング】でHPの回復を行っていく。

 その間に何とかヘイトを俺の方に向けるようにダメージを与えていくが、ヤギ頭が魔法を行使し、再び障壁が張り直されたため思ったようなダメージを与える事ができない。


 麻痺の状態異常が回復したシンクがドレイクの前に入り込み盾での防御が間に合うものの、徐々にシンクも削られていく。


≪一度後方に退避だ!≫


 キヌの【キュア】でドレイクは麻痺が回復し、後方へ飛び退く。シンクに向いているヘイトを俺が何とかもぎ取り攻撃がこちらに向いたタイミングでシンクも後方へと離脱。

 相手の攻撃の隙を見計らい俺も大きく飛び退いた。


 アークキメラを鑑定するとHP・MPともに半分程度は残っている。しかも自然回復のスピードが半端なく早い。俺達のMP消費も考えると、倒しきるのはかなり難しそうだ……


 ただ、これだけの強敵がボスとしていてくれたことに関しては、本当に嬉しく思える。今までこんなにも苦戦を強いられた敵は正直居なかった。コイツを安定して倒せるようになれば、それだけ俺達の戦闘力が上がったという指標にもなる。

 それに、魔族の強さが正確には分からないが、このアークキメラよりも強い事を仮定しておいた方がいいだろう。


≪敵のHPはまだ半分くらい残ってるな。それに戦況が安定しない……一度引くか≫


≪ん。安全策を取るならそれが良いと思う≫


≪一度フォレノワールに帰って作戦を考えよう。まだ時間はあるんだ。ダンジョンの機能上、リッチまでを周回してレベルを上げる事もできるはずだし、全員が強くなってリベンジするってのもモチベーション上がるしな≫


≪では、一度帰還転移でフォレノワールに戻るという事でよろしいでしょうか?≫


≪だな。俺が殿しんがりとして残る。全員帰還転移してくれ≫


 キヌが【ヒーリング】を何度か発動し俺のHPを回復したのを見て4人は帰還転移をしていった。


「悪いが今回は引かせてもらう。俺達は必ず強くなって戻ってくる……首洗って待ってろよ」


 俺の言葉に反応したのか獅子頭の目が薄く閉じられ、臀部を地に突ける。全ての頭が俺の方をジッと見つめているが動き出す気配はない。

 追撃の意思はないという事か……


 威厳に満ちたアークキメラのその姿に、底知れぬ力と知性を感じつつ、俺の視界はフォレノワールのコアルームへと切り替わった。


次話は7/1投稿予定です♪


この話を気に入っていただけた方、「続きが読みたい」と思われた方は

【ブックマーク】や、広告の下にある『評価★★★★★』を入れて頂けるとモチベーションとテンションが爆上がりします!


応援のほどよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ