【#2】光を求めて
ピチャン……ピチャン……
「――ぅ……うぅ、ん…………」
水滴の落ちる音が聞こえる。
その音に呼び覚まされるかの様に、手放した意識が徐々に戻ってくる。
「ぁ……こ……ここ、は…………? 俺、なんで………………?」
思考が安定しない。身体に力が入らない。
地面の冷たさは辛うじて感じられる。しかし、その感覚はとても鈍い。
視力の方も、ぼんやりとしか見えず、此処が何処なのかが分からない。
今分かるのは、自分が何らかの理由で倒れていたという事実だけ。
「(……身体が重い……でも、起きないと…………)」
倒れていたという事は、それだけ大きな何かが自分の身に起きたという事である。
未だに安定しない思考ではあったが、命に関わる緊急事態かもしれないというのはハッキリと理解出来ていた。
暫くの間動けずにいた俺だったが、全身重りの様になってしまった身体に鞭を打ち、必死に起き上がろうとする。
「ぅ……ぐっ…………くっそ……何が起きたんだ……?」
やっとの事で上半身だけ起こす事に成功した俺は、再度身体の調子を確かめていく。
まだまだ頭が重くてしょうがないが、思考は徐々に安定してきた。
身体にも力が入る様になってきたし、感覚の方も床のザラザラした触感までしっかりと伝わってくる。
最初こそボヤけていた視界もだんだんハッキリとしだし、次第に周囲を照らす光源に目が眩みだす。
「やけに明るいと思ったら……至る所にこんな石が転がってたのか。そりゃ明るいわけだ……」
近くに転がる小さな光る石を手に取り、俺は納得する様に言葉を呟いた。
「――――光る、石?」
と、そこまできてハッとし、慌てて周囲を見渡す。
視力が戻った俺の目に映るのは、床も天井も周囲を取り囲む壁も全てがゴツゴツとした岩肌で出来た空洞。
そして、その至る所から生えている淡い青緑の光を放つ結晶体。
大きく開けたこの空間は、まるでファンタジーRPGの世界で見るかの様な不思議な光景を見せていた。
俺は、そんな非現実な光景の中で倒れていたというのだ。
「は、はは……これは、また変な夢でも見てるのかな…………?」
その異常事態を認識した瞬間、やっと安定してきていた俺の頭脳は再度考える事を放棄した。
「――よし、とにかくまずは状況を整理しよう」
手ごろな岩に腰かけた俺は、自分に言い聞かせるようにそう呟く。
目を覚ましてから、かれこれ約30分程経過している。
その間に俺は落ち着きを取り戻し、倒れる前の記憶も全て思い出していた。
そう、あの異常な地震の事も含めて全て。
「確か、家に帰ってすぐにあの変な揺れ方の地震が起きて……その後、下から何か凄い衝撃が……。最初は爆発でも起こって、吹き飛ばされたのかと思ったんだけど……」
足元からの衝撃、重力が無くなる浮遊感、そして自分の身体が無くなっていく様なあの感覚の消失。
「地震によりガス爆発か何かが発生し、それに巻き込まれた」――自分の身に立て続けに起こった事から俺はそう考え、意識が途絶える直前には自分の死を覚悟していた。
だがこうして生きている。しっかりと五体満足で。
「無事に生きてるって事は、そういうのじゃなかったんだろうな。だったら何が起きたんだよって言われたら、全く分からないんだけど」
よくよく思い返してみれば、あれは爆発などでは説明がつかない。
あの時、意識を失うまでに数秒間の間があったからこそ、自分の身に起きた事を具に把握し、考察が出来ていたわけだが、それはおかしな話だ。
本当に爆発に巻き込まれたなら、そんな考察をする暇も無く一瞬で気を失っている筈だろう。
それにその数秒の間、俺はずっと閃光に包まれていた。
爆発が原因であのような光が一瞬ではなく何秒も発生し続けるものだろうか?
しかし、そうでなければ一体何が起きたのか、冷静に考察出来る様になった今でも答えは出せそうになかった。
「それに……一体俺は、なんでこんな所で倒れてたんだ?」
整地されていない剥き出しの岩肌には、相変わらず大小様々な光る結晶体が至る所に点在している。
幻想的とすら思えるこんな光景は、日本は勿論、世界中の何処を探しても存在するかどうか怪しい。
「地震で建物が崩れて閉じ込められたとかならまだしも、こんな所で倒れてたなんて訳がわからないぞ。どうしてこんな事になったんだ……」
俺は此処に辿り着いた経緯を必死で考える。
「地面が崩落して地下に存在していた空間に落ちた」「倒れている間に誰かに何らかの理由で運び込まれた」「吹き飛ばされた先がたまたまこの洞窟だった」――等々。
しかし、無理矢理捻り出された推論はどれもこれも辻褄が合う筈もなく、思いついては即座に否定されていく。
結局、どれだけ考えても納得出来る答えは見つからなかった。
「……とにかく、今は出来るだけ早く此処から出よう。外に出て、少しでも情報を集めないと。その為にも……まずは荷物の確認をしなきゃな」
そう言いながら、俺は足元に目線を向ける。
そこには見慣れたリュックサックやビニール袋に入った弁当等、あの地震の時に近くに置いていた荷物が鎮座していた。
先程、この異様な光景を見て放心してしまった俺だったが、いつまでもそうしているわけにもいかなかった。
なんとか気を取り直した後、周辺の状況確認を行ったのだが、その際、すぐ近くに転がっていたこれらの荷物を発見していたのだ。
「どうして俺の荷物までこんな所に転がっていたのかは分からないけど、そんな事、今はどうだっていい。もしかしたらこれが命綱になるかもしれないんだからな」
そうして俺は改めて荷物を細かく確認していく。
リュックサックに入っていたのは、夕方の買い物で買ってきたインスタントのカップ麺や袋麺、フリーズドライ食品にレトルト食品と、砂糖・醤油・胡椒・一味唐辛子・とんかつソース。
それから夕食用の弁当に、合わせて買っておいた2ℓペットボトル入りのお茶。
「あとは、タオルハンカチ、ポケットティッシュと……あれ?」
リュックサックのポケット部分を確認している最中、手に伝わる異物感。
エチケット用品以外に物を入れていた覚えは無かったのだが。
「マルチツールにファイアスターター? あぁ、そうか! キャンプの時に使っていた小物類、取り出すのを忘れてたのか」
入っていたのはナイフレスのマルチツールと、現代版火打石ことファイアスターター、そしてバンダナだった。
前にキャンプに行った時に使ったコッヘルや大きめのナイフ等の資材は、一通り取り出して別途物置に保管していた筈なのだが、ポケットに入れていた小物類の事はすっかり忘れてしまっていた様だ。
それに気づかないまま、このリュックサックを買い物袋として転用していたらしい。
「ナイフ付いてないんだよな、コレ。こんな状況に陥るならいっそナイフ付きのヤツを買ってた方が良かった……って、それだと買い物に行く度に刃物を携帯してたって事になるし、駄目だな。まぁ、コレも何かに使えるかもしれないし、贅沢は言わないでおこう」
ファイアスターターのおかげで暫くは火起こしも困らないだろうし、マルチツールのペンチやノコギリ、ヤスリ等は使う機会がありそうだ。
少なくとも焚火に使う薪や焚き付けを作る時に活用出来るだろうし、無いよりはマシだろう。
しかし、それも外に出られたらの話である。
こんな岩壁と光る結晶しか落ちていない洞窟の中では、いかに便利な道具を持っていようが宝の持ち腐れである。
「で、後はズボンのポケットに入れてたスマホか。こんな所じゃ時間の確認くらいしか出来ないけど」
こんな場所、電波が届くわけがないというのは一目瞭然である。
ただ、それでも今は時間が確認出来るだけでも有難い。
俺はスマートフォンの電源ボタンを押し、現在の時刻を確認する。
「午前1時半。確か、家に帰ってきたのは午後7時過ぎだったかな? って事は、俺はこんな所で6時間以上寝てたっていうのか」
しっかりひと眠りしたくらいの時間が経っていたが、むしろその程度で済んで良かったと言える。
長時間、水も食料も摂取せずに昏倒続けるというのも危険な話だ。
それも、身体を休めるには決して適していないこんな場所でとなると余計に危ない。
こんな状態でもちゃんと起き上がれた自分を褒めてやりたい所である。
「……よし、荷物はこれで全部確認出来た。インスタント麺は最悪そのまま齧って食べれそうだけど、水分がこれだけじゃあな……水滴が滴り落ちているって事は、水源が近いのかもしれないし、何処かで補給出来れば良いんだけど」
買ってきた食料のおかげで暫くの間は何とかなりそうだが、水分はお茶2ℓ分しか無い。
全く無いよりはマシというものだが、やはり少々心許ないのは事実である。
「水の事もあるし、なおさら此処で立ち止まっているわけにはいかないな。うん、そうと決まれば早速――」
ぐうぅぅぅ~
突然、静かな洞窟内に大きな腹の音が鳴り響く。
そういえば、今日は夕方に喫茶店で軽食やケーキを食べたくらいで、まだちゃんと夕食を済ませていなかった事を思い出した。
その上、6時間以上も時間が経っているのだから、空腹状態になっていて当然だろう。
とはいえ、誰に見られているわけでもないが緊張感の無い自分の腹の虫が少し恥ずかしい。
「――まずは、腹ごしらえを済ませるか。晩飯も食いそびれてたしな」
こうして俺は、多少中身が崩れつつも奇跡的に包装も破れずに無事であった弁当とペットボトルのお茶を手に取り、食事を始めるのだった。
………………
…………
……
「ハァ、ハァ……結構、進んだと思うんだけど……」
あれからさらに3時間程経過した頃。
食事を済ませしっかり休息も取り体調を万全に整えた俺は、外を目指して歩きだしていた。
整地されておらず、まともな道の無いこの洞窟を進んでいくのは中々に苦労の連続だった。
ロッククライミングとまでは言わないが、そこそこの高さ・角度の岩壁を上らなければならない事もあれば、異様に天井の低い横穴を這いつくばって進まなければならない事もあったのだ。
どちらも大事に至る事は無かったのだが、こういう場所を越える度に体力を大きく消耗し、毎度休息を挟まざるを得なかった。
かなり進んだつもりだが、そのロスを考えたらあまり距離は稼げていないかもしれない。
「おっと、また暗がりが。この石を持ってきたのは正解だったな。おかげでスマホのライトを使わなくても安心して進めるし」
光の少ない通路を進みながら、手に持っていた光る結晶を見てそう呟く。
倒れていた地点は大きな結晶が大量にあった為、かなり明るかったわけだが、この先の何処もがあの明るさを保っているとは限らない。
初めはスマートフォンのLEDライトを使おうと思ったのだが、今後の事を考えると今は電力を無駄に消費したくはない。
そう思った俺は、倒れていた場所の周辺に落ちていた結晶をライトの替わりとして幾つか拾い、荷物に加えておいたのだ。
サイズはどれも缶コーヒーのショート缶程度の大きさなのだが、これでも結構な光量を確保する事が出来ている。
多少、荷物が重くなったが、拾っておいて正解だった。
「(まぁ、節電した所で今使えるのは時計とカメラくらいなんだけどな……)」
電波の拾えない現状だと、時刻の確認と写真や動画を撮るくらいしかスマートフォンに使い道は無い。
とはいえ、やはり時間を確認出来るのは便利ではあるし、カメラにも一応有効な使い道はある。
それは、外に出た後で他人に経緯を説明する為の記録映像を撮るという使い方だ。
現状、俺は行方不明者という事になっているだろうし、きっとそういう説明をしなければならない機会が訪れると思う。
ただ、既に数枚洞窟内を撮影してはいるが、こんな非現実な光景の写真を見せて説明した所で信じてもらえるかどうかは怪しい。
正直、合成写真だとかそんな風に言われて一蹴されるだけな気はする。
それでも、何の記録も無い状態で説明して、結果ただの妄言と断じられるよりは何倍もマシだろう。
他の機能も役に立つ機会は訪れるかもしれないし、念には念を入れてバッテリーは残しておきたいのだ。
「――って、あれ? これは……」
そんな事を考えながら進んでいると少し開けた小部屋に辿り着いた。
しかし、小部屋には入って来た道以外に通れそうな道が見当たらない。
「行き止まり……? 参ったな、他に道なんてあったか?」
此処までの道中、かなり注意深く探索を続けてきた。
分岐というか横道があるにはあったのだが、結局元の道に合流したり、すぐに行き止まりに突き当たる横穴程度のものしか見当たらなかった筈だ。
これは非常に困った事になった。
見落としが無いとすれば、出口が存在しない――つまりは生き埋めになっているかもしれない。
実を言うと此処に至るまでの間、洞窟に生息していそうな蛇や蝙蝠といった動物を見掛ける事が無かったのだ。
当初はその様子を見て何も思わなかったが、こうしてみると「外から入ってくる場所が無いから動物が居ない」とも考えられる。
「(まさか、本当に生き埋めに……? いや、それなら俺は何処から入ってきたんだって話になるし……)」
新たに湧き上がってきた疑問が俺の頭を悩ませ、不安ばかりが募ってゆく。
もう既に飲み物は半分以上消費してしまっているし、行動出来る時間には限りがある。
慎重に、今後の方針を決めなければ――そう思っていたその時。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
地面が唸り声を上げ、ゆっくりと揺れ始める。
弱り目に祟り目、こんな場所で再び地震に遭遇してしまったのだ。
「――!? くそ、また地震かよ……!」
俺は咄嗟に体勢を低くして地震に備えた。
揺れは徐々に大きくなり、立っていられないくらいの激しい揺れに発展していく。
ただ、かなり大きな地震なのだが、家に居た時に体験したあの異様な地震と比べると大分大人しく感じる。
件の地震の異常さを考えれば比較するのもおかしな話かもしれないが、あの経験のおかげでこの揺れの中にあっても幾分か冷静で居る事が出来た。
次第に揺れは落ち着いてゆき、洞窟内に元の静寂が戻ってくる。
「……収まったか。こんな所で揺れられると、壁や天井が崩落するかもしれないよな……。元来た道が埋まっちゃってたりしたら最悪だぞ」
立ち上がり、元来た道の方を見ながらそう呟く。
すると、間髪入れずに背後から「ドスン! ガラガラガラ……」と岩の崩れる音が聞こえてきた。
「!? ヤバい、まさか此処が崩れる!? 急いで離れない、と……?」
慌てて背後に振り向き音がした場所を確認する。
だが、振り向いた先で起きていた変化を目にした俺は、驚きのあまり動きが止まってしまった。
聞こえてきた音から予想していたが、やはり部屋の奥の岩壁は崩れていた。
地面から2mくらいの少し高い位置の岩壁がゴッソリと剥がれ落ちた様に見受けられ、滑り落ちた大小さまざまな岩が床に積み重なっている。
そして、壁の崩れた場所に人が一人ギリギリ通れそうなくらいの亀裂が生じていたのだ。
縦長のその隙間からは洞窟内の物とは異なる、真っ白な光が差し込んできている。
「光? でも、結晶の光とは違う……まさか!」
俺は慌てて崩れた岩を足場にして亀裂の方に向かう。
まだ追加で岩壁が崩れてきかねない為、近寄るのは危険極まりないのだが、今はそんな事を考えている余裕は無かった。
「――やっぱり、日の光……外だ!!」
亀裂を覗き込むと、草の緑や空の青が目に飛び込んでくる。
この先は間違いなく、洞窟ではない。ついに外の世界まで辿り着いたのだ。
その事実を確認した俺は、急いで自分の身体を亀裂に捻じ込ませる。
多少窮屈ではあったが、何の問題も無く隙間を通り抜ける事が出来た。
「やっと、出られた! 一時はどうなる事かと思ったけど、なんとかなったぞ……!」
こうして、目覚めてから3時間以上掛けて、ついに俺は洞窟を脱出した。
外に出た俺を出迎えたのは、見渡す限りの山々と広々とした草原。
この場所はお椀上にくり貫かれた形状となっており、近くには川も流れている様だ。
所謂カール――氷河の解けた後に形成された圏谷という物だろうか。
そしてパッと見た感じ、この辺りには高木が少なく、洞窟があった背後の山を含めて今居る位置よりも標高の高い山には所々土や岩といった地の色が浮き出ている。
土地の形状と植物の状態から察するに、此処は高原地帯なのだろう。
「凄いな……こんな絶景、直に見るのは初めてだ」
林間学校で高原に行った事はあったが、これほどまでに見事な風景を見た経験は無い。
海外の世界遺産の写真で見た物に負けないくらいの雄大な大自然が目の前に広がっているのだ。
普段、綺麗な景観を求めて山登りや、進んで観光をしに行く事は無かったのだが、この景色はそんな俺でも感動する他ない。
「……でも、脱出出来たのは良いとして、これって状況はあまり変わってないよなぁ。少なくとも、家の近くじゃないって事だけはハッキリしたけど、結局此処は何処なんだ? それに時間も……時計は午前5時って表示されてるのに、外は完全に昼間じゃないか。どうなってるんだ……」
時差まで発生しているならば此処は自宅近くどころか、もはや日本ですらない。
こんな状況に陥るなんて事は、もはやワープでもしない限りは有り得ないだろう。
そんな非現実な事が起こるわけが無い。しかし、それなら一体どうしたらこんな現象が起き得るというのだろうか。
そうして自問自答を繰り返している内に、ふとつい最近聞いた言葉を思い出す。
『――もしも本当にそういう異世界なんてものがあったら――』
それは今朝、学校で友人達との会話の中で翔真が口にした言葉。
ただの雑談で何気なく話題になっただけのその言葉が、頭の中で鳴り響く。
「――まさか、本当に異世界に……?」
あの異様な地震は転移の予兆で、閃光は未知の力によって発生した物であり、その力で異世界へ飛ばされ、結果としてあの幻想的な光景の洞窟に辿り着いた――。
言葉にしてしまえば非現実でありながらも自然な流れの様にも思えるし、今まで無理矢理挙げてきたどの推論よりも遥かに辻褄が合っている。
「そんなワケがない……って、言いたい所だけど、他に納得のいく説明が出来ないんだよな……。いや、でも……」
自分の身に不可思議な現象が立て続けに起こった事は紛れもない事実である。
常識の範囲での説明が出来ないのならば、あらゆる可能性を視野に入れておかなければならないのではないだろうか。
「――やめよう。こんな状況じゃ、そんなの幾ら考えたって無駄だ。何にしても今は無事に生き延びる事だけに集中しないと」
兎にも角にも、まずは自分の命を繋ぐ事が第一である。
此処が何処なのかとか変える手段だとか、そういうのは身の安全が保障出来た後にするべきだ。
そう決心し、もう一度洞窟の周囲を見渡す。
「とにかく、まずはあの川の方まで行って飲み水を補給しよう。沢水を飲むのは不安だし、湧き水が出てる場所でもあれば良いんだけど……。その後は川沿いに歩いて麓まで降りてみて、そこから人が集まっていそうな場所を探してみるか」
今後の方針をそう決めた俺は、この見知らぬ世界で歩き始めるのだった。