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(二)
自宅に着くと、女をタクシーから降ろし、自宅へ運んだ。
二階建ての戸建ての家だ。住宅街の中の一軒家だったが、夜には自宅の前の道の交通量は少ない。平日は帰宅するサラリーマンなどしか通らないし、今日みたいな土曜には人はほぼいない。近所の家々では皆家族の団らん中だ。だから、見られる心配はない。
女を担いで玄関の前の階段を上がるのは一苦労だった。二階まで上がったところで、息がすっかり上がってしまった。
二階に上がると、正面と右手にドアがあった。
右手のドアを開き、女を連れて中に入った。中は八畳の部屋だ。
(続く)