1章 異世界転生 第3話 冒険者ギルド
「ロン、頑張ってね。きっとあなたは素晴らしいことを成すことができるわ。私は常にあなたの味方だっていうことを忘れないで。」
そう言うと母さんは俺に金貨が数枚入った袋を渡してくれた。
「ありがとう、母さん。じゃあ、行ってくる。」
俺は家を出発した。俺は今日から半年の間に父の治めているザンクリーフ領から出ないといけない。そのための資金を稼ぐためにまずはギルドで冒険者登録をしてギルドカードを作る。ギルドカードは身分証にもなるから早く作ったほうがいい。
そうして俺は冒険者ギルドにきた。早速受付嬢に登録をしてもらう。
「何か御用でしょうか?」
「冒険者登録をしたいんだ。」
「あのー、失礼ですがまだ成人しておられませんよね?申し訳ありませんが通常登録はできません。見習いとして討伐依頼以外を専門とするGランクからのスタートか又はギルド教官の試験を受けてもらう必要があります。」
「そうなんだ。じゃあ、試験はどこでやってるの?」
「明日の朝の間にギルドの訓練所で行われます。お名前をうかがってもよいですか?」
「ロン。」
「わかりました。では明日の朝日が出て少しした頃にギルドの訓練所に来てください。」
「わかった、ありがとう。」
いやー、知らなかったなあ。まあ、試験に合格出来れば問題なく登録できる感じだから大丈夫だろう。それよりしばらく資金を稼ぎたいから、宿を探さないといけない。幸いギルドに来る途中でいくつか宿があったから取り敢えず10日間ほど取っておこう。
翌日_______確か今日の朝のうちに訓練が受けられるんだったよな?よし、早速ギルドに行こう。異常成長のおかげで身体能力も魔力もかなりブーストされてるんだ。多分登録試験くらいならあっけなく合格できるだろう。
冒険者ギルドに来た。俺はすぐに訓練所に向かう。訓練所では冒険者らしき人影がちらほらと、そして同じく試験を受けにきたと思われる
教官らしきマッチョと話している三人組がいた。俺は教官に試験を受けに来たことを伝える。
「俺は試験を受けに来たロンです。あなたが教官ですか?」
「ああ、いかにも。俺が登録試験を担当している元Bランクのゲイルだ。ゲイル教官とでも呼んでくれ。」
Bランク冒険者は上位ランクに入るが、なるほどさすがに上位ランクなだけあって強そうな感じがする。でも今の俺なら全力を出せば勝てそうだな。
「よし!受付嬢から聞いてる限り今日来るのはお前たち4人だけだ。というわけで今から試験を始めるいいな?」
「「「「はい。(ああ。)」」」」
「試験の内容は簡単だ。お前たち一人一人と俺が模擬戦をする。お前たちの模擬戦の様子を見て合否の判断をする。怪我は気にせず全力でこい。このギルドには優秀な治療魔法を使えるものが勤務しているからな。お前たち、成人せず冒険者になるのは狭き門だ。心して掛かれよ。」
そうして俺と他三人の試験が始まった。まずはあの三人組から試験は始められた。
一人目はアルという剣士の少年だ。細かい剣の切り返しをして何とか教官に一太刀浴びせようとしたが自力が違いすぎて最後はスタミナが切れたところで教官の一撃が決まり倒れた。
二人目は魔法使いの少女メイだ。彼女は開幕から魔法の弾幕を展開し短期決戦に持ち込もうとしたがさすがは元Bランク、それ以上の魔法を展開し物量で押し潰した。
そして最後はリルという盗賊らしき少年だ。ダガーを使った素早い動きで戦っていたが火力不足で最終的にスタミナ切れで終わった。
そして遂に俺の番だ。見ていた限り今の俺の実力は教官と比べても余裕があるはずだ。魔力を使った身体強化で一気に勝負をつけよう。
「次はロンだ。用意ができたら声をかけてくれ。」
「俺はいつでも。」
「そうか。では始め!」
すぐに俺は全身に魔力を張り巡らせて身体強化を行う。そのまま俺は教官に肉薄し渾身の蹴りを放った。教官は刹那の間に移動してきた俺に驚きつつもギリギリ魔力を纏った腕で防御してみせた。しかし、俺の蹴りは防御を貫き教官を吹き飛ばし教官は訓練所の壁に激突して倒れた。
ヤバい。もしかして死んだか?
俺は恐る恐る倒れた教官に近づく。何やら後ろが騒がしいがそんなことより教官の方が重要だ。しばらく教官の様子を見ていたが一向に起き上がる様子はない。
俺が焦り始めていると、ギルドの治癒術師がやってきた。
「っ!?おい、君!これは一体どういうことなんだ!」
「いや、俺は登録試験を受けていて・・・」
「なに!?・・・まあいい話は後だ。先にゲイルを治療する。」
そういうと治癒術師が治癒魔法を使い始める。しばらくして、試験を受けた俺たち4人がギルド受付で待っているとゲイル教官がやって来た。
「いや、すまない。まさか新人相手にこうまでやられると思っていなかったんだ。では、気を取り直して試験の合否を伝えよう。
まずはアル、メイ、リルのチームからだが、お前たちは合格だ。アルは自力が不足がち、メイは立ち回りの工夫、リルは火力不足など各自課題はあるものの十分冒険者としては通用するレベルだった。
ロンについては現役ではないもののBランクだった俺に勝ったんだから文句なしに合格だな。
これでお前たちは冒険者登録できるようになった。おめでとう。」
よし!やっと冒険者として活動できる。しばらくはここで依頼をこなして資金稼ぎをしよう。ある程度たまったら冒険者が集まるという迷宮都市ダハーカに行きたい。あそこには神が作ったとされているダンジョンがある。いわく、神が人族の訓練所として作ったとかでなかにはアーティファクトと呼ばれる協力な武器や防具が眠っているらしい。ぜひ俺も欲しいものだ。
というわけでまずは登録を完成させよう。早速受付嬢に話しかける。
「冒険者登録を。」
「ああ!すごいですね!ゲイルさんから聞きましたよ。もちろん今回は問題なく通常登録できます。冒険者ランクについての説明は要りますか?」
「ああ、お願い。」
「はい。まず冒険者ランクはG~Sあります。Gランクは成人未満の人が見習いとして活動するためのランクで、カードも身分証としては使えない仮の物になります。
F~Cランクは一般的に下級ランクと呼ばれるランクです。下級といってもD・Cランクになるとベテランとして扱われます。
最後にB~Sランクは上位冒険者と呼ばれる人達で一握りの達人たちの領域ですね。CランクとBランクの間には大きな壁があるといわれています。特にAランクやSランクは人外集まりといわれています。Sランクにもなると一人で軍を蹴散らすレベルだそうです。ちなみにSランクは現在12人存在しています。
ロンさんはFランクからスタートですね。ゲイルさんを倒せたんですからきっと上位ランクにも入れますよ。頑張ってください!」
「なるほど。Bランクまでかなりかかりそうだね。まあ、頑張ってみるよ。」
「なら早速依頼を受けていかれてはどうですか?受付の隣のボードに依頼が貼ってますよ。ロンさんは腕が立つようなので討伐依頼をおすすめします。討伐依頼は危険度が高い代わりに冒険者ランクも上がりやすいので。あ!あと、ロンさんは今Fランクなので一つ上のDランクまでの依頼しか受けられませんので注意してください。」
「うん、何か受けて見るよ。」
俺は依頼ボードをみる。ボードには様々な依頼があり、俺はDランクの討伐依頼を受けることにした。俺は依頼の紙を受付に持っていく。
「オークの討伐ですか!街道沿いの道にたまに森からのオークの被害が出ているので助かります!・・・はい!受託完了しました。期限、討伐数は無制限ですので一匹でも百匹でもいいですよ!頑張ってくださいね!」
オークは2メートルほどの豚顔の魔物である。動きは鈍いものの力が強く、生物で雌なら何でも襲ってくるので代表的な害獣として知られている。集団で襲いかかって来るとCランク冒険者でも危ないのでわりと危険度は高い。
俺は街から南東にある森に入る。この森はオークの被害が多いことで知られている。特に最近はオークとの遭遇多発しているらしく報酬も割り増しされていた。
俺がしばらく森を歩いていると4匹のオークを見つけた。まだ奴等は俺に気付いてないみたいだ。不意をついて魔法で一気に倒そう。
俺は火属性の魔力を掌に練り上げる。徐々に魔力を高めていき臨界を越えると火属性の魔力は熱線となり放出される。オークたちは声もあげられず崩れ落ちた。
よし、問題無さそうだな。確かオークは腹の肉が食用で売れたずだった。4匹分ならそこそこの値段でギルドが買い取ってくれるはずだ。
俺はオークの肉を回収し、討伐証明となる耳を切り落とした。
さあ、ギルドに戻ろう。