1章 異世界転生 第2話 転生した件
う~ん、ここは何処だ?確か俺はトラックに引かれて・・・っ!?俺は死んだはずだったよな?何で意識があるんだ?っていうかここは何処だ?真っ暗で何も見えない。なんというか、体がぬめっとするものに包まれている感じがする。
グッ、グググッ
な、なんだ?頭の方に体が押されている?ここから出そうとしている?
何か白い光が見えてきた。外?っおぇぇ!?気持ちわるぃ。何か吐き気がしてきたっっ。
オギャアァァァ オギャアァァァ
「■■■■●●●■■●!」
うん?これは俺が泣いているのか?俺は生まれ変わったのか!?うっ?何か急に眠気が・・・誰だ?この世界の母さんか?何か喋りかけてきている。ああぁ、もうダメだ、ねむたいぃぃぃ_________________________
◇
俺が転生してから数日たった。最後に話しかけてきた人が俺の母さんだったらしい。今も俺は母さんに抱かれて眠りかけているぅぅ、ヤバいぃぃぃ_____________________________
◇
俺が生まれてから数ヶ月たった。目も慣れて周囲の様子もよくわかる。俺の母さんと思われる人物はかなり美人だった。そして俺がいる部屋には高級そうな家具がいくつかある。なんとなく俺の家は裕福な気がする。いやぁラッキーだぜ。
あと、俺の異常な成長力は変わらず健在だった。そのせいでまだ0歳にも関わらず余裕で走り回れるくらいには成長してしまったし、言葉も所々意味がわかるようになってきた。それでわかったけど俺の名前は多分ロンだと思われる。あとしばらく言葉は話さないことにした。いくら成長には個人差があるとはいえ0歳で言葉を覚えるのは異常すぎる。
◇
生まれてからずいぶんたった。今は3歳くらいだと思う。この世界の言葉も日本語と同じレベルで話せるようになった。そして俺は今日、初めて父と会う。たまに部屋に入ってくる使用人の話から推測するに俺の家は男爵家らしく俺の母さんは平民から父さんの愛人になったらしい。そのせいで俺と母さんは父さんや他の家族からは軽んじられているみたいだ。
そんな俺が今日父さんと会うのには理由がある。この世界には魔法と言うものがあって、その魔法を使うための魔力を今日教会に測りに行く。魔力を測りに行くのはもとの世界の七五三的なイベントで、さすがに父さんが来ないと世間体的にヤバいらしく父さんも仕方なく来るらしい。
「ロン!そろそろ教会に行くわよ。いい?」
「うん。わかった!」
いやしかし毎度のことだけどこの話し方にしなきゃよかった。前世で高校生まで生きてただけに恥ずかしすぎる__________________________
教会に着いた。なかはそこそこの広さだ。そして中央には若い神父と男が一人立っている。あれが父さんだろう。
神父が俺に近寄ってきた。
「おはよう。はじめまして、ロン君。」
「はじめまして!今日はよろしくお願いします。」
「丁寧にありがとうね。じゃあ、早速始めようか。」
すると神父が俺の頭に手を当て、詠唱を始める。そしてしばらくして手を俺の頭から離した。
「よし!出来たよ。家族の皆さんに集まってもらって結果を言おうか。」
すると神父は羊皮紙に何かを書くと母さんと父を呼んで俺たちに羊皮紙を見せる。
「じゃあ説明するよ。まずロン君、君は魔力について詳しく知ってるかい?」
俺は首をふる。
「うん。じゃあ魔力について少し教えよう。今日測ったのは魔力量と魔力強度だ。魔力量はその人が持てる最大魔力量だ。これは訓練してある程度増やすことができる。わかるかい?」
「ん。」
「そしてより重要なのが魔力強度だ。こっちは魔力の質のことだ。魔力強度が大きい人と小さい人が同じ量の魔力で魔法を使っても大きい人の方が何倍も威力が大きくなる。こっちは、一部の例外を除いて成長はほとんど見込めない。」
「んー、じゃあ僕のはどんなだった?」
「そうだね。ロン君は魔力量は同年代の中でも多いほうかな。魔力強度の方も同年代の子と比べてもかなり多いほうだね。」
なるほど。他と比べても少し優秀なのか。
「よかったわね、ロン。」
「うん!」
神父が去っていって母さんと話していると、父さんが近寄ってきた。
「ふん、人より少し優れているだけでそんなにうれしいか?」
なんなんだこいつは?とても自分の子に対する態度とは思えない。咄嗟に俺は父さんを睨み付けてしまった。
「おい。なんだ、その目は?腹立たしい。」
ここで母さんが仲裁に入りに来た。
「ねえ旦那様?お願いですからロンにはもう少しだけでよろしいので優しく接してやってはくれませんか?」
「なんだ?お前もお前でまだ俺の愛人面しているのか?平民の癖に貴族の俺に取り入ってすこし勘違いしているんじゃないか?」
「・・・」
こいつは本当に俺の父さんなのか?少し横暴だとは聞いていたがここまでとは思わなかった。母さんはなぜこんなやつに嫁いだんだ?
「ふん!まあいい。それよりあの件についてまだ了承していないそうだな。」
「あっ、あの件についてなんですけど、せめて15歳にはできませんか?12歳でそんなことあまりに無謀すぎると思うのです。」
「異論は認めん。もともとお前との間に子供を作る予定なんぞなかったのだ。」
「そんな・・・」
「俺はもう行くぞ。これ以上お前たちに時間をとられる訳にはいかん。」
何なんだあいつは。それよりさっきの話はどういうことだ?多分俺のことだろう?12歳に何かあるのか?早めに母さんに聞いたほうがいいきがする。
「ねえ、母さん。さっきの12歳が、っていう話って僕のことだよね?なんの話だったの?」
「・・・」
「母さん!!」
「ごめんね。怒らないで聞いてくれる?」
「うん。」
「あなたには12歳になったら家から出て自立してもらわないといけないの。旦那様が平民との子供なんて家に置いとくわけにはいかないって。本当にごめんね、ロン。」
そういうことか。あの糞親父め。でも母さんが悪いわけじゃないんだ。言ってくれただけありがたい。それにもともと家に残る気はなかった。15で成人したら冒険者として各地を観光するつもりだったから予定が少し早くなっただけじゃないか。
「いいよ母さん。僕は冒険者になって世界中を冒険したかったからちょっとそれが早くなっただけだよ。」
「ありがとう。ロン、あなた冒険者になりたいの?だったら魔法を学ばないといけないわ。確か家に魔法書があったからそれで練習なさい。きっとあなたなら素晴らしい冒険者になれるわ。」
◇
今日で俺は12歳になる。明日俺はこの家からでなくてはならない。俺は魔法を学んだ。母さんも追加で魔法書を買ってきたりして協力してくれた。そのおかげもあってかなり密度の高い練習が出来た。冒険者になるために体も前世と比較にならないくらいに鍛え上げた。明日が楽しみだ。