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93.女神見習い、少女の料理を堪能する


 「ただいまー」

 「ん、おかえり」

 「「おかえりー」」

 「留守番ありがとね」

 「ん」

 「しばらくはのんびり家で庭をいじったり、ポーション作りをしようと思ってるから。リディのポーションも作り溜めたいしね」

 「ん」

 「留守番中、困ったこととかなかった?」

 「ん、平気」 

 「そっか」


 数日ぶりのお茶を楽しみ、少しゆっくりしつつメンバーと分けた素材でいっぱいのストレージを売るものと使う予定のもの、ユリスさんに使うか聞くものなどに整理した。


 「結構たくさんある魔結晶の他の色ってなんか使い道あるのかな……」


 ま、一応残しておこう。んー、まだ日も高いしダンジョン産の土だけでも畑にまいとこうかな……庭に出て結界をチェックし張り直すと……


 「ん、何か手伝う?」

 「ありがと、リディ。これさ、ダンジョンで手に入れた土なんだけど、なんか畑に良さそうだからもらってきたんだよねー」

 「……ん」

 「でも、畑全部にまいて失敗したくないから、今日は1部の区画だけにしようとは思ってるんだけど……」

 「ん、野菜畑もまく?」

 「そうだねー。野菜畑はリディに任せてもいいかな?」

 「ん、わかった」


 ストレージから土を出して私は薬草畑、リディは野菜畑に少しずつ……全体の3分の1くらいにまくことにした。


 「ふむ。どうやらわしらの出る幕はないようじゃな」

 「そうねー……ふたりを眺めるのもいいけど……正直、ヒマだわ」

 「……そうじゃ!おーい、エナちゃん!」

 「アルさん、なんですかー?」

 「あそこに積んである丸太を使ってもいいかの?」

 「あー、どうぞどうぞ!好きに使ってください」

 「ねぇ、アル……どうするつもり?」

 「ふむ……アレを作るんじゃよ」

 「アレってもしかしてアレのこと?」

 「うむ、そうじゃ」

 「いいわね!乗った!」


 なんのことやらさっぱりわからないけど、アルさんとメルさんのやることだから悪いことにはならないだろう、多分。

 ふたりして丸太で何かを作り出したみたい……なんだか張り合って楽しそうだ。ま、いっか。

 リディを見るとすでにほとんどまき終わっているようだった。

 何気にリディの方が畑仕事に慣れている気がする。それだけ熱心に世話をしてくれたんだなぁ……美味しいもんね、やっぱ。

 うまくいって美味しい野菜が育つといいなぁ。


 「リディ、今日はこのくらいにしとこうか……」

 「ん」

 「もし、畑に何か変化を感じたら教えてほしいな」

 「ん、わかった」

 「あ、ユリスさんにごはんもらってくるの忘れちゃった……まだ食べるものあったっけ……」


 んー……街で何か買ってくるしかないかな。え?私が作ると言う選択肢は早々に除外だけど、何か?


 「ん、任せて」


 ……ん?任せて?ってどういうことだろう?


 そう言うとリディはブランとひと言、言葉を交わし家へと入っていった。食べるものの心当たりがあるのかな?


 私もリディに続いて家へ入ろうとすると……あ、あれ、おかしいな。ブ、ブランさん?なんでおうちに入れてくれないのかな?アルさんもメルさんも助けてくれる気は無いみたいで、ふたりは揃って家に入っていった。

 ……いじめ?いじめなのかな?

 まぁ、なんかしら理由はあるんだろうけど、ヒマだしブランと家に入る攻防をしつつ時間をつぶしながら庭で待機すると……


 「ん、エナもう入っていいよ」

 「う、うん……」


 すんなりと通してくれたブランの横を通り過ぎ、リディについてリビングへ行くとテーブルには美味しそうな料理が並んでいた。


 「あれ、これって……」

 「ん、お母さんのレシピ作ったの」

 「えっ!これ全部リディが作ってくれたの?」

 「ん、そう」

 「わぁ、すごいね!」


 早速、テーブルにつきリディの手料理(ここ重要だよ!)を食べる。


 「いただきます」

 「ん、どうぞ」


 ……もぐもぐ……スープはポトフっぽい味だ。胃に染み渡るよう……目玉焼きも上手に焼けてるし、ブラッドベアのステーキも美味しい。私がやると丸焦げなのに……

 メルさんが持ってきたというジュースやパンも美味しい。アルさんは材料を持ってきてくれたんだって……ふたりに自慢されました。

 私の作る料理の100倍はおいしかった。


 「すごく美味しい」

 「ん、よかった」

 「美味しいじゃろ?リディちゃん一生懸命練習してたんじゃぞ」

 「そうよ、私たちも協力したんだから」

 「へぇ、そうなんだ……リディありがとね」

 「ん」


 アルさんやメルさん、そしてブランまでもがうらやましそうにこちらを見ている。リディの料理の練習でたくさん食べたんじゃないの?


 「はぁ……少しだけならいいですよ」

 「おお、そうかの」

 「え、いいの? らっきー」


 その途端目の前にたくさんあった料理が消え去った……私もまだ少ししか食べてないのに。ぐすん。食べ物の恨みは恐ろしいんだぞー。

 リディが慌てて追加してくれました。わーい。

 アルさんやメルさんたちも畑の手伝いや宿の掃除を手伝ってくれたらしいので、一瞬頭をよぎったけど出禁にはしなかった。なによりお世話になってるしね……


 「このスープ、トマトを入れて味を変えるっていうのも美味しそうだよね」

 「……なにそれ?」

 「トマト風味にしたら味が変わって新鮮でしょ?」

 「ん、わかった。明日はそうしてみる」

 「おおー、明日もリディの料理が食べれるってことだね」

 「ん」


 リディが嫌じゃなければユリスさんが忙しいときはリディに作ってもらうのもありだよね……うん、ますます自分でご飯を作ることがなくなりそうだなぁ。


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