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この世界のどこかで誰かは生きている  作者: 黒炎ジャーナリスト
第1章 黒炎
9/15

税金

「俊一郎さん。今日もこれでお願い。」

「あぁ、もちろんだよ。ちょっと待ってくれ。」

そう言って俊一郎さんはいつも通り袋に1羽丸ごとの鶏肉を入れてくれる。

「はい。じゃあな業。」

「おう、ありがとう俊一郎さん。」

いつもの通りのやりとり、他の人たちもそれぞれ必要な場所で必要な物を交換している。


すると、

『バンッ』

元自治会館の扉が大きく開いた。

何事かと思い全員がその扉を開けた主の方を見る。

扉を開けたのは複数人で10人ほどいた。

全員、リュックサックのようなものを持ち、中身は何も入っていなさそうだった。

すると、

「皆の衆、落ち着きたまえ。我々は慶三のものである。今日が何の日かわかっているな。」

そうリーダーそうな男が言う。

すると、自治会館にいた人たちは、

「これをどうぞ。」

「こちらもどうぞ。」

と持っていたものを次々と来訪者に手渡していく。

それらを10人ほどがリュックサックにもらったものを入れていく。

すると、

「お前、まだ貢いでいないだろ。」

リーダーっぽい人は、30代の女性に何か言っている。

「今日は、渡せるようなものは持ち合わせていないんです。どうか明日まで待っていただけないでしょうか。」

「それは、無理な相談だな。じゃあ明日までに貢物を2倍にできるのであれば考えてやっても良いけどよー、お前みたいな愚民がそんなことできるとは思えないがな!」

「そ、そんな。一体どうすれば良いんですか。」

「貢物がないのであれば、他の方法で貢いでもらうしかないだろう。そうだな、例えばその身体とかで。」

すると男は、後ろへ回り女性の腕を掴む。

「や、やめてくだい!私には主人がいて今日も帰りを待っているんです!」

「それは、残念だな。別れも言えずにこの村からは消えてしまうんだからな!」

すると女性は、

「だ、誰が助けてください!お願いです!」

「無駄だ!この黒煙はジジイ、ババアが90%以上占めているのにどこに戦える奴がいるんだよ!」

「おい、待てよ。」

俺は、後ろの方にいたが前に立つ人を掻き分けて前に出てきた。

「おいおい、冗談はよしてくれ!こんなチンケな村に子供がいるなんてよ!」

俺はそんなことには動じずにただ男を見ている。

「離せよ。そこの人どう考えても嫌がってるじゃないか。」

「子供にはわかんないと思うけどな。この世は汚いことだらけなんだよ!お前はチンケな村に生まれたかは知らないけどよどうせ平和に暮らしていたんだろ。そんな奴が何を知ってるって言うんだよ!こう言うことをする奴もいれば、優しいジジイ、ババアだっている。だがこの世界にはな、優しさ何てかけらの1つもねーんだよ!お前の受けている優しさそれは偽善だ。そんな偽善に育てられたらそりゃあこうやって前に出てきてこいつを救おうとか思うかも知んないな!だがな、この世は残酷で汚いんだよ。」

そう言って、男は女性の首筋を汚い舌で舐めた。

「いやーーーーーー!」

「やめろって!」

「いいや、辞めねーな。ここは不平等が1番なんだよ!強いものが強く弱いものはそれに従う。そう言うのをなんて言うか知ってるか?『弱肉強食』って言うんだよ!」

そう言って男はまた舐める。

「いや、いやいやいやいや!」

俺は限界に来て、

「おじさん、おじさんに1つ質問があんだけど。」

「あぁ。答えてやるよ!この強者の慶三幹部、おりがな!」

「“正義”ってなんだ。」

「簡単な質問だな。正義ってのはなー。こう言うことだよ!」

そう言ってまた女性の首を舐める。

「いやーーーー!お願いですからやめてくだい!」

「いいか、これが正義だ。正義なんてないんだよ!」

「お前の言いたいことはよーくわかったよ。サル程度の脳みそしか持ち合わせていないんだな。欲望に忠実で、ある意味すごいな。」

「お前ーーー!ふざけんじゃねぇー!」

男は女性から手を離しポケットからナイフを取り出しやいばをこちらに向けて走り出した。

そして、だんだん近づいてくる男に俺は持っていた鶏肉を男に投げつけた。

男は勢いよくこちらに向かってきていたため顔面に鶏肉を投げつけられても交わすことが出来ず鶏肉とぶつかり視覚を奪った。

俺は近くにいる男が怯んだ瞬間、ナイフを奪い刃を男に向ける。

「本能のままに動くサルのような男、檻。お前に俺の正義を教えてやるよ。」

「お前の正義なんてどうでもいい。

俺以外にも仲間がいるのを忘れているんじゃないか。」

男は、リュックサックにものを詰めていた男たちに手招きをして俺を四方八方塞いだ。

「この世は残酷で汚い。なら全て汚いんだよ。やり方も汚い。俺たちは別にそれでもいいんだよ!罪悪感なんてものはこの世から消え去ったんだよ。殺れ。」

そう言って全員がしまっていたナイフを手に持つ。

全員が一歩、一歩と確実に追い込んでいく。

俺は、目の前の奴の足が一瞬開いたその瞬間、

一歩後ろへ下がり勢いをつけて、ナイフを足を開いた男の方へと走っていく。

俺の持っているナイフは奴の心臓辺りに向けた。

そうすると、奴は勝手にナイフの向いている方に構えたが、俺はその場でスライディングするように、男の足の下をくぐった。

その時、俺はそいつの右足をナイフで傷つけた。

男は俺が通った瞬間抱え込み、両隣にいた奴らも同時にバランスを崩してしまう。

そうなると、残る6人は俺の方を向き構えるが、

「ワシらも手伝える!」

そう言って、後ろにいた俊一郎さんや他の人が、後ろから何かで殴り男6人は全員気絶した。

檻は怯えたように、

「お前ら、正気か?お前がやったことはあの慶三様に抗うと言うことだぞ。今すぐやめろ!さもないとここに軍隊を送るぞ。」

「そうなる前に縛ったらどうだ。」

「ふっ。ふざけんじゃ•••」

檻は倒れた。

後ろで固まっていた女性が何か突起物で檻を殴り倒した。

「ワシらは、勝ったぞ!慶三の幹部を倒したんじゃ!」

そうなるとみんな一気に歓喜に溢れ始めた。

どうなったんだよ、この慶三って。


俺は、俊一郎さんに事情を聞いた。

「ここは、慶三に支配されているっていうのは聞いたことあるだろ。」

「あぁ。もちろんある。」

「ここは、慶三は強い力を誇り人々を守るっていうのが建前だ。だが本音は強い力を使って人々を支配して、たまにこういう日が不定期であり食料を持っていく。これを慶三は『税金』と呼んでいるようだ。」

「へぇー。そうなのか。」

「他にも色々ルールがあるようだが、こんな小さな村じゃ情報が中々はいらなくてのぅ。あまり詳しくは知らんのじゃよ。」

「本当に馬鹿だな。慶三って奴は。何が『税金』なんだよ。人々を守ってもいない癖に対価を支払うなんておかしすぎるだろ。」

「だが、これが現実なんじゃよ。今まですまんなぁ。こういうことを教えない方がいいとみんな思っていたから。」

「別に俊一郎さんが謝る必要はない。『正義を貫いた』だけだ。」

「やっぱり立派じゃな。」


そのあと俺は、特に手ぶらで家に帰った。

「ただいま。」

そういうと、

『ドタドタ』と音がする。

すると、

「お兄ちゃん!」

三葉は俺の声を聞いて走って抱きついてきた

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

「おい!どうしたんだよ!」

「帰ってきてよかった!」

するとその後ろから、

「業。」

「弥恵もどうしたんだよ。」

「お兄ちゃんが、慶三の幹部と戦ってるって自治会館を抜け出したおばさんが言いに来たのよ!よかった。お兄ちゃん!」

「本当に心配したんだからね。今日はゆっくり休みなさい。慶三の幹部を倒すなんて凄いわ。慶三は弟子を2人育てていたみたいだけどその1人がこの『三』を治めている檻なのよ。だけど檻を倒してしまったからこの村も危ないわね。いつか襲われる可能性もあるわ。」

「そ、そんな俺。」

「お兄ちゃんは悪くない。だって自治会館の人たちを救ったんだから。」

「そうよ。情報の伝達はすぐに届くわけじゃないし、もし襲われるにしてもあと3ヶ月くらいはまだ大丈夫よ。」

「そうなのか。それは良かった。」

俺は、フラッとしてそのまま意識を失った。

「お兄ちゃん!」

俺はその場で三葉に抱きしめられながら眠りについた。


いよいよ、章の始まりって感じかします。


次回は縛った檻をどうするのかという話です。


それでは読んで頂きありがとうございました。

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