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この世界のどこかで誰かは生きている  作者: 黒炎ジャーナリスト
第1章 黒炎
6/15

喘息

「おじちゃーん。いるー。」

俺は扉をノックするが反応がない。

ここは、今朝鶏肉を買ったあの養鶏場を営んでいたおじさんの家だ。

「おじちゃーん!」

大抵の場合耳が遠いので聞こえないという場合が多いが大声で言っても反応しない。

何処かへ出かけているのだろうか

辺りを見回すと、養鶏場があったのでそっちの方へ歩く。

ヒビの入った“コンクリート”というもので出来た道路の反対側に養鶏場はある。

俺はそっちに行き鶏が『コケッコッコッ』という鳴き声が沢山聞こえる。

うるさいとは思うがおじさんは毎日この鳴き声を聞いているのだと思うとそこまでうるさいとは思わなくなった。

「おじちゃーん!」

また叫ぶ。

すると、

「おーう。何か用か。」

鶏の餌を蓄えているおじさんがこちらに手を振る。

「今朝のことについて詳しく聞きたくて。」

「すまん。全く聞こえん!」

「今朝の病気のこと詳しく聞きたくて!」

「そうか。じゃあちょっと待ってくれ!」

おじさんは、藁を小屋に詰め込んで一仕事終えると俺を家に招いた。


家の客間に通された。

そして俺はそこにあった椅子に座ると俺は早速本題に入ろうと、

「あの、おじちゃん。」

「わしのことは俊一郎と呼んでくれ。」

「じゃあ俊一郎さん。聞きたいことがあるんだけど。」

「ちょっと待ってくれ。飲み物を持ってくるから。」

そう言って、客間から出て行った。

俺は部屋を見回す。

決して綺麗とは言えない家だ。

木造の家で木目にヒビがあったり全体的に脆そうな家だ。

そして俺は、1枚の絵画を見つけた。

壁に掛けられたその絵画は何をイメージして作ったのかわからないような灰色を基調とした人の絵。

どうやら油絵のようだ。

部屋に不自然に飾られたその絵画はなんとも存在感が溢れ出ている。

一体どういう絵なのか。

そう俺は考えていると。

「待たせたのう。」

「いや、大丈夫だ。ありがとう。」

俺はおじさんから水の入ったコップを受け取る。

その水は飲まずに机に置く。

「じゃあ、聞きたいんだけど。」

「おう。わしに答えられることなら。」

「今朝、弥恵が喘息だと言ったが確かにそんな症状が最近続いているんだ。だから何か対処法できれば治療法とか教えてくれないか。わからなければ何か医学書でも貸してくれたらありがたいんだけど。」

「医学書ねぇ。エクゾにしまっておるからのうー。でも口頭なら説明できるがそれで良いか。」

「あぁ。もちろん。」

「喘息は呼吸アレルギーだとかいうらしくてのう。症状が発生するのはストレス、日頃のイライラだったり埃っぽい部屋にいたりしてそこから炎症を起こしたりするんじゃ。高齢者の場合症状がひどくなると死んでしまう。」

「やけに詳しいんだな。」

「そりゃ息子のためだ。何が何でも助けようとしたもんさ。だから医学も少し学んだが役には立たなかったようだが。」

「いいや。俊一郎さんの知識は他の人を救っているさ。このことを教えてくれたから弥恵を喘息から救えるかもしれないだろ。」

「そりゃあいいことだな。わしの知識がこんな世界になってから役に立つなんて思いもしなかったわい。」

「ありがとう俊一郎さん。」

俺はコップに注がれた水を少し飲む。

「ところで気になったんだけど。あの絵ってどういう意味が込められているんだ?」

俺は一際目立つ絵画の方を指差した。

「これか。これはなぁ、昔息子が喘息になる前高校というところで美術、要は絵を描いていたんだ。そしてこれが息子が喘息になって入院する前に最後に書いた絵なんだよ。何か気持ちを込めて書いた作品だとは思うのだが、さっぱりでのう。」

「へぇー。そうなんだ。」

「業を見てると昔の息子を思い出すよ。健気で家族思いなあの日を。」

おじさんは、一滴の涙を垂らした。

「あの日。なんでわしは。もっといくらでも遊んであげれたのに。」

「俊一郎さん?」

「あぁ。すまん。つい昔を思い出してしまった。」

「無理しないでいいんだぞ。」

「立派じゃの。」

俺はしばらくおじさんを慰めて、もう夕暮れ時。

「今日はありがとうな俊一郎さん。」

「こちらこそ、慰めてもらってありがとう。」

「じゃあ。」

「あぁ。またの業。」

俺は急いで家に帰った。


「ただいまー。」

俺は扉わ開けてそういうと、

「お兄ちゃん!」

三葉が勢いよくこちらに駆けてきた。

「ど、どうした。」

「それは、こっちの台詞よ!今までどこほっつき歩いてたのよ!お陰でお風呂の薪入れや水汲みだとか大変だったんだからね!」

「どうだ。俺が毎日やってる仕事は。ちょっとは感謝の言葉とかないのかよ?」

「うっ、ありがとう。」

「そんなに嫌そうに言われてもな。まぁ別にそんなことはどうでもいい。弥恵が病気にかかってるかもしれない。」

「それってどういうこと?」


俺は夕食の準備を進める。

今朝の残りを大豆を発酵させて貴重な塩を使って時間をかけて作った特製醤油を中に少し垂らす。

貴重な調味料を大量に入れる訳にはいかない。

そして、おじさんの家に行く前に寄った元自治会で野菜とキノコを交換して、そのキノコを細かく刻んで中に入れる。それをまたじっくりと煮込み料理の完成だ。

弥恵にはストレスを溜めないようにしてもらわないといけない。

「お兄ちゃんー。お風呂空いたよ。」

「先に弥恵が入ってくれ。」

「いいのかい?」

「あぁ。俺は夕食をまだ作らないといけないし。」

「そうかい、じゃあお先にもらうよ。」

俺は頷き三葉に話かける。

「おい。ちょっと手伝ってくれ。」

「えっ?私?」

俺は小さな声で三葉とはなし三葉も納得してくれたようだ。

「仕方ないわねー。」

俺たちは準備に取り掛かった。


特に書くことがなく困っています。

なので次回予告に移ります、


次回は、弥恵視点でお送りします。

業と三葉は一体を企んでいるのか。

豪勢な食事、そして•••


それでは読んで頂きありがとうございました。

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