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この世界のどこかで誰かは生きている  作者: 黒炎ジャーナリスト
第1章 黒炎
4/15

容体

弥恵は、今日も寝込んでいる。

ゲホッゲホッと咳をして常に熱がある状態だ。

三葉が弥恵の看病をつきっきりで、俺は今日も1人で畑仕事に行く。

「元気かー。」

そう誰もいない畑に話しかけている。

清流から水を汲みその水を土に流す。

土から生えている緑の植物は太陽に照らされてギラギラ輝いている。

「元気だな。」

俺はそう言い緑の植物の実を取る。

「今日もありがとう。」

そう言い畑を少し耕し、先程とった実を開けて中にある丸いものを土に埋める。

「立派に育てよ。」

そう言い俺はここを後にする。

水を先程と同じところから汲み家に戻る。

家に帰り俺は三葉に話しかける。

「弥恵の容体はどうだ?」

「うーん。いつもと同じなんだけどなんかちょっと楽になったような顔をしてるような—」

俺はかまどに薪を入れながら

「どっちなんだよ。いつも通りなのか、楽そうなのか。」

「わかんないのよ。咳もだいぶ治ってるし顔色もいいんだけど。何というかだるそうな。」

「やっぱりその説明わかんねーよ。どういうことだ。」

俺は薪を入れるのをやめ三葉の方へ行く。

弥恵は、三葉の言う通り咳もせず、顔色も良い。

「確かに楽そうだな。だるいってのは、今まで苦しかったからそれがとれてホッとしてるんじゃないか。」

「そうなの?」

「あぁ、多分。」

「ダメじゃん。」

「そんなことねーよ。」

俺は再びかまどの方へ行き今度は火打ち石で火を起こす。

その間に野菜や米を棚から取り出して、調理する。

ボウルに人参やジャガイモなどをカットして入れてどこかの国が原産のいい香りのする葉っぱを入れる。

火をつけて激しく竃が燃え始めると俺は鍋に先程の清流で汲んだ水を入れて具材を入れる。その間に数日前に交換した鶏肉の骨を鍋に入れる。

「ねぇなんかいい匂いするんだけど。」

「今日は鶏の出汁を使ったスープだ。弥恵の容体もよくなったしな。」

「お兄ちゃん太っ腹!でも無駄遣いはダメよ。」

「無駄遣いをするのはどっちだ。」

「私はいいのよ。」

「なんだよ、その理屈は。」

しばらくして鶏の出汁を使ったスープが完成した。

「ほい。持ってきたぞ。」

「ありがとう、お兄ちゃん。さぁ弥恵も食べて。」

弥恵は少し起き上がり俺の作ったスープを啜る。

「美味しいねぇ。久しぶりに美味しいものを食べたよ。ありがとう。」

「まぁ栄養は必要だからな。」

俺は褒められたことに少し照れながらもスープを飲んだ。

「お兄ちゃん。そろそろご飯炊けたんじゃない?」

「おっとそうだな。」

俺は急いで竃に行き、米の入った鍋の蓋を開ける。

ブクブクしていたがしばらくして収まりお櫃に入れ替え弥恵たちの元へ運ぶ。

「ご飯も美味しいねぇ。」

弥恵が喜びながら言う。

「お兄ちゃんから美味しい。」

「まぁこんなもの食べるのは久しぶりだからな。」

ここ最近、畑に作物が育たなくなってきた。土に含まれる栄養の関係なのかはわからないが、最近はまともな食事をしていなかった。

そして久しぶりに食べる食事はどんなものであれ美味しく感じるのだろう。

その後はいつも通り三葉は家の家事をして俺は公民館へ物々交換や農作業をして1日を過ごした。


そして、次の日の早朝。

「•••ちゃん!お兄ちゃん!」

俺を起こす、三葉。

外は曇っていた。

「なんだ•••」

俺がそういうと、一滴の雫が俺の着ていた服に零れた。

「弥恵が、弥恵が、おばあちゃんが!」

「弥恵?弥恵がどうしたんだ?」

「弥恵が苦しそうなの!」

「⁉︎」

俺は急いで駆け出して弥恵のいる部屋へと来た。

「弥恵!大丈夫か!」

俺は八戸に近づき容体を見る。

薄暗くて顔色は伺えないが、息苦しい息で呼吸するたびにゼイ、ゼイ。となっている。そして、咳き込み弥恵は胸を押さえて必死に堪えようとしている。

「無理すんな!水。水汲んできてやるから!」

俺はそう言いバケツを持って家を飛び出す。

50メートルほど先にある清流から水を汲む。

そして、家に帰ろうとするが焦ってしまい躓いてしまう。その反動で水がこぼれてしまったら。

「なんだよ!」

俺はそう言いもう一度水を汲む。

今度は急ぎながらも慎重に行きなんとか家にたどり着きや弥恵の元へ行く。

まだ呼吸は荒くゼイ、ゼイとなっている。

「お兄ちゃん早く水!」

涙ながらに言う三葉に従いすぐそばにあったコップに水を注ぎ、弥恵に少しずつ飲ませる。

弥恵も少しずつ飲みしばらくすると弥恵も落ち着き呼吸も元に戻っていた。

「あ、あり、」

「言わなくていいよ。」

三葉は弥恵の手を握り温かい目で、弥恵を見守っている。

「今日は、三葉一緒に弥恵といてくれないか。俺はやることがあるから。」

「うん。わかってるよ。」

俺は三葉のその言葉を確認して部屋に戻る。

弥恵が苦しいと言うことに三葉がいち早く気づいてくれて良かった。

危うく、後戻りできない状況になっていたかもしれない。

俺は、敷布団の中に入りしばらくして、今日も日課に取り組んだ。

今回は『陰キャの日常』をおやすみにしてこちらにしました。

あちらの方は4章の途中ですが、ちょうど区切りが良かったので、1日おやすみにしました。


今回は弥恵が衰弱している様子を描きました。

年というのは重ねるごとに衰退していきやがて•••

ちなみに弥恵はとある病気にかかっています。その病気を次回は解明していくというのがあらすじだと思います。


今回も読んで頂きありがとうございました。

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